電気代の中には「賦課金(ふかきん)」という項目があり、これが高くなると負担が大きくなります。この賦課金とは一体何なのか、そしてどうすれば賦課金を安くできるのか、ここでわかりやすく解説します。
電気料金の高騰により家計が圧迫されている状況で、賦課金を無視することはできません。ぜひ本記事を読み、賦課金への正しい理解と対策を身に付けてください。
- 電気料金の賦課金とは再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)のことです
- 再エネ賦課金は1kWhあたり1.40円(2023年)から3.49円(2024年)に値上げします
再エネ賦課金(ふかきん)とは
電気代に含まれる「賦課金(ふかきん)」とは、再生可能エネルギー発電促進賦課金のことを指し、一般に「再エネ賦課金」と呼ばれます。
再エネ賦課金は、再生可能エネルギーの導入と普及を支援するために設けられた制度です。再生可能エネルギーによる発電を促進し、化石燃料への依存を減らすことを目的としています。そして長期的には、エネルギー自給率の向上による電気の低価格化が期待されています。
再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーは太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなど、自然由来のエネルギーを利用して発電する方法を指します。これらのエネルギー源は枯渇せず繰り返し利用できるため、持続的なエネルギー供給が可能です。
再生可能エネルギーは化石燃料に比べて温室効果ガスの排出が少なく、有害物質や放射性廃棄物が発生しません。また、日本のように資源が乏しい国でもエネルギー自給率の向上が期待できるため、世界中で注目されています。
再エネ賦課金の仕組み
再エネ賦課金は、FIT制度(固定価格買取制度)に基づいています。FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が決めた固定価格で一定期間電力会社に買い取らせる制度です。
つまり、FIT制度は再生可能エネルギーの導入拡大に大きな役割を果たしていますが、その分「再エネ賦課金」という形で国民負担も発生しています。
再エネ賦課金の計算方法
再エネ賦課金は、使用した電力量(kWh)にその年度の賦課金単価をかけることで求められます。つまり、再エネ賦課金は月ごとの使用量によって変動し、使用量が多い月ほど高額になります。
例えば、2023年度の賦課金単価は1kWhあたり1.40円です。この場合、月に300kWhの電力を使用した場合の再エネ賦課金は以下のように計算されます。
300(kWh) × 1.40(kWh/円) = 420(円)
ちなみに賦課金単価は毎年度変わります。例えば、2022年度の賦課金単価は1kWhあたり3.45円でしたが、2023年度には1.40円に下がりました。なおこの点については後述します。
再エネ賦課金の減免措置
再エネ賦課金の減免措置は、主に特定の事業者や企業を対象としており、家庭向けの減免措置は基本的に存在しません。
ただし、家庭で再生可能エネルギーの発電設備を導入し、再エネ由来の電力を使用することで、再エネ賦課金を減額するか完全に避けることが可能です。例えば、ソーラーパネルなどの太陽光発電設備を設置することで、購入する電力量を削減し賦課金を抑える方法があります。
再エネ賦課金を確認する方法
月々の再エネ賦課金は以下の方法で確認することができます。
検針票で確認する:
毎月の電気代や使用量を記載した「検針票」または「請求書」に再エネ賦課金の金額も記載されています。
電力会社のウェブサイトで確認する:
多くの電力会社は、検針票の内容をオンラインで確認できるサービス「Web検針票」を提供しています。契約している電力会社のウェブサイトから「マイページ」や「会員ページ」にログインすると、料金明細にアクセスできます。
ちなみに料金明細には、基本料金・従量料金・再エネ賦課金の3つの項目があり、これらの金額を足し合わせたものが電気代として請求されます。詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
電気代の基本料金とは?電気料金の仕組みから電力会社・契約プランによる料金差まで徹底解説!
再エネ賦課金の値上げはいつから?
再エネ賦課金の単価は毎年変動しており、以下のような推移を見せています。
年度 | 賦課金単価(/kWh) |
---|---|
2012 | ¥0.22 |
2013 | ¥0.35 |
2014 | ¥0.75 |
2015 | ¥1.58 |
2016 | ¥2.25 |
2017 | ¥2.64 |
2018 | ¥2.90 |
2019 | ¥2.95 |
2020 | ¥2.98 |
2021 | ¥3.36 |
2022 | ¥3.45 |
2023 | ¥1.40 |
2024 | ¥3.49 |
出典:新電力ネット
2024年度の再エネ賦課金は1kWhあたり3.49円に設定されました。これは2012年に再エネ賦課金が導入されて以来、過去最高の金額です。2023年度の1.40円と比較すると、2.09円の大幅な値上がりとなっています。
ちなみに2023年度に賦課金単価が一時的に低下した理由は、ウクライナ情勢による化石燃料価格の高騰で再エネ電力の市場価格が上昇したためです。
では実際に支払う賦課金がどれくらい変わるのか、2024年度と2023年度で比較してみます。それぞれの賦課金単価と、世帯人数別の平均消費電力量(東京都)をもとに計算すると以下のとおりです。
【1人世帯・戸建住宅】
時期 | 2023年賦課金 | 2024年賦課金 |
---|---|---|
5月(中間期) | ¥260 | ¥649 |
8月(冷房期) | ¥401 | ¥1,001 |
1月(暖房期) | ¥432 | ¥1,078 |
【1人世帯・集合住宅】
時期 | 2023年賦課金 | 2024年賦課金 |
---|---|---|
5月(中間期) | ¥176 | ¥439 |
8月(冷房期) | ¥292 | ¥729 |
1月(暖房期) | ¥270 | ¥673 |
【4人以上世帯・戸建住宅】
時期 | 2023年賦課金 | 2024年賦課金 |
---|---|---|
5月(中間期) | ¥453 | ¥1,130 |
8月(冷房期) | ¥744 | ¥1,856 |
1月(暖房期) | ¥851 | ¥2,121 |
【4人以上世帯・集合住宅】
時期 | 2023年賦課金 | 2024年賦課金 |
---|---|---|
5月(中間期) | ¥400 | ¥998 |
8月(冷房期) | ¥652 | ¥1,626 |
1月(暖房期) | ¥593 | ¥1,479 |
このように2024年の再エネ賦課金の請求額は、1人暮らしの場合は263円~646円程度、4人家族の場合は598円~1,270円程度、前年よりも高くなることが予想されます。
再エネ賦課金を安くする対策
再エネ賦課金の負担を減らす対策は大きく分けて3つあります。
- 電気使用量の削減
- 再エネ設備の導入
- 電気料金プランの見直し
それぞれの対策について詳しく説明します。
対策①電気使用量の削減
電気使用量と再エネ賦課金は比例関係にあるため、使用量を削減することで再エネ賦課金の負担を減らすことができます。例えば以下のような方法があります。
一つは省エネ家電の導入です。エネルギー効率の高い家電製品を使用することで、電力消費を抑えることができます。例えばLED照明は従来の蛍光灯や白熱灯に比べて消費電力が少なく、長寿命です。
もう一つは節電意識の向上です。不要な電気をこまめに消す、エアコンの設定温度を適切にするなど、日常的な節電行動を心がけることが重要です。これらの対策により電力使用量が減少し、再エネ賦課金も削減できます。
対策②再エネ設備の導入
再生可能エネルギー設備を導入することで、再エネ賦課金の負担を軽減することができます。例えば、太陽光発電システムや蓄電池を設置する方法があります。
自宅に太陽光発電システムを設置することで、自家発電した電力を使用し、電力会社から購入する電力を減らすことができます。さらに、蓄電池を導入することで発電した電気を無駄なく利用できるため、電力購入量をより減らすことが可能です。
対策③電気料金プランの見直し
2016年の電力自由化により、消費者は複数の電気料金プランを比較し、料金面やサービス面などの条件が良いプランを選択できるようになりました。
再エネ賦課金の単価は全国一律であるため、電気料金プランを選ぶことで再エネ賦課金自体を安くすることはできませんが、基本料金や従量単価が比較的安いプランを選ぶことで、効果的に電気代を削減することができます。
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※エネピのユーザー様の削減実績データから算出した金額です
※3~4人暮らしの場合の金額です
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
再エネ賦課金の役割とは? |
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再エネ賦課金の役割は、再生可能エネルギーによる発電を促進し化石燃料への依存を減らすことです。長期的には、エネルギー自給率の向上による電気の低価格化を目指しています。 |
再エネ賦課金の確認方法とは? |
月々の再エネ賦課金は検針票または電力会社のウェブサイトで確認することができます。多くの電力会社は検針票の内容を自社ウェブサイトで確認できるサービス「Web検針票」を提供しています。 |
再エネ賦課金の値上げへの対策とは? |
再エネ賦課金は使用した電力量(kWh)に比例するため、電気使用量を削減することが値上げへの対策になります。また、再エネ設備の導入や電気料金プランの変更も電気代を削減する有効な手段です。 |