電気料金の値上げは、私たちの生活に直接的な影響を及ぼしています。この記事では、電気料金値上げの要因から見通しまで詳しく解説します。また、電気料金値上げに対する具体的な対策として、電力使用の節約方法や電力会社の変更方法を紹介します。

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電気料金の値上げの理由

近年、日本で電気料金の値上げが起こっている主な理由はいくつかあります。

  • 燃料価格の高騰
  • 賦課金の上昇
  • 国内の電力供給不足

燃料価格の高騰については、近年、円安傾向が続いていることが影響しています。電力会社は発電に使用する燃料を海外から輸入しており、石炭や天然ガスなどの燃料はドル建てで取引されています。そのため、円安になると燃料費が高くなるのです。

賦課金の上昇については、再生可能エネルギーの導入量が増えているため、再エネ賦課金が値上がりしています。2024年度の再エネ賦課金は2023年度に比べて1.40円/kWhの値上げとなっています。

国内の電力供給不足については、発電所の老朽化や自然災害による影響で、国内の電力供給能力が低下しています。特に原子力発電所の稼働停止が続いているため、火力発電への依存度が高まり、その結果として燃料価格の高騰が電気料金に直結しています。

出典:経済産業省資源エネルギー庁/電力システムを取り巻く現状

電気料金の値上げはいつから?

2024年10月から電気料金が値上がりします。これは政府の補助政策「酷暑乗り切り支援」が縮小することが主な原因です。

10月使用分の電気料金は、9月と比較して300〜400円程度値上がりする見通しです。電気料金の値上げは、家計への負担増加に直結します。特に光熱費の支出が増加し、生活費全体を圧迫する可能性があります。

長期的な影響としては、2025年頃までは天然ガスの値上がりが続くと予想されており、電気料金の値上がり傾向はしばらく続く可能性があります。 そのため、家庭においても、電気料金の値上がりに対する対策を検討していく必要があります。

出典:企業省エネの教科書

値上げによる電気料金の推移

前述のとおり、電気料金はさまざまな要因によって変動します。では、近年の電気料金はどのように推移しているのか。グラフを見てみると、2021年から2023年は上昇傾向にありますが、2023年から2024年は比較的落ち着いています。これは政府の補助政策などが影響しています。

電気代の平均額の推移

【エリア別】電力会社の最新料金

2024年11月以降、日本全国の主要電力会社で電気料金の値上げが予定されています。この値上げの具体的な金額は以下の通りです。

電力会社11月請求分10月請求分差額
北海道電力¥8,978¥8,654¥324
東北¥8,186¥7,802¥384
東京¥8,260¥7,864¥396
中部¥8,031¥7,628¥403
北陸¥7,172¥6,838¥334
関西¥7,014¥6,624¥390
中国¥7,845¥7,471¥374
四国¥7,945¥7,571¥374
九州¥6,931¥6,556¥375
沖縄¥9,016¥8,649¥367

出典:日本経済新聞

ただし、上記は平均的な使用量に基づいた金額です。実際の料金は、各家庭の契約プランや使用パターンにより異なる場合があります。

値上げに対する補助金制度について

電気代の値上げに対する政府の補助政策について、最近実施されたものを紹介します。

酷暑乗り切り緊急支援(2024年8月~10月使用分)

「酷暑乗り切り緊急支援」は2024年8月から10月にかけて実施された、電気料金と都市ガス料金の値引き支援策です。国際情勢の緊迫化等によるエネルギー価格高騰を受け、政府が国民生活の安定と経済活動の維持を図るために実施しました。

値引き額は、電気と都市ガスでそれぞれ異なり、使用量に応じて計算されます。値引き単価は、8月と9月、10月で異なっています。

【2024年8月・9月使用分】
電気 | 低圧:4.0 円/kWh
電気 | 高圧:2.0 円/kWh
都市ガス:17.5 円/㎥

【2024年10月使用分】
電気 | 低圧:2.5 円/kWh
電気 | 高圧:1.3 円/kWh
都市ガス:10.0 円/㎥

値引き単価に月々の使用量を掛けることで、毎月の値引き額を算出できます。 例えば、8月に低圧の電気料金で100kWh使用した場合、値引き額は400円となります。

電気・ガス価格激変緩和対策(2024年5月使用分まで)

2023年1月以降、政府は「電気・ガス料金の激変緩和措置」を実施しています。これは燃料費の高騰による国民の負担を軽減するための特別措置であり、家庭の電気料金については1kWhあたり7円の補助金(2023年10月からは3.5円/kWhに減額)が支給されていました。しかし同補助金は2024年5月に終了しました。

つまり、政府はエネルギー価格高騰に対し、2024年5月使用分までは「電気・ガス価格激変緩和対策」を実施していました。 しかし、LNGや石炭の輸入価格がロシアのウクライナ侵略前の水準に低下したことを受け、5月使用分をもって終了しました。 その後、夏季の電力需要増加によるさらなる料金高騰を懸念し、「酷暑乗り切り緊急支援」が開始されました。

なお、10月使用分以降の支援については、現時点では情報がありません。政府の発表や電力会社・ガス会社のウェブサイトなどで最新情報を確認することをおすすめします。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁/電気・ガス料金支援

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値上げはいつまで?今後の見通し

2024年以降の家庭の電気料金の見通しは、エネルギー価格の動向、政府の政策、電力システム改革の進展など、様々な要因によって複雑に影響を受けます。

電力会社は、発電に使用する燃料(LNG、石炭など)の輸入価格に応じて電気料金を調整しています。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、2022年には燃料価格が高騰し、電気料金も上昇しました。

2023年以降は、燃料輸入価格が低下したことに伴い、電気料金も低下傾向にあります。しかし、国際情勢は依然として不安定であり、今後の燃料価格の動向は不透明です。燃料価格が再び高騰した場合、電気料金にも影響が出ることが懸念されます。

政府は、エネルギー価格高騰の影響を緩和するため、2023年から2024年にかけて電気・ガス料金の値引き支援策を実施しました。2023年1月から2024年5月までは「電気・ガス価格激変緩和対策」が、2024年8月から10月までは「酷暑乗り切り緊急支援」が実施されました。

これらの支援策により、電気料金の負担は一定程度軽減されました。しかし、これらの支援策は終了しており、今後の電気料金は燃料価格や電力会社の経営状況などを反映して変動する可能性があります。

ところで、電力システム改革により、電力会社間の競争が促進され、電気料金の低下や料金メニューの多様化が期待されました。実際、電力小売全面自由化以降、多くの新電力会社が参入し、様々な料金メニューが提供されています。

しかし、電力市場価格の変動や燃料価格高騰の影響を受け、新電力会社の中には経営が悪化し、事業を休止・廃止するケースも出ています。今後、電力システム改革がさらに進展することで、電気料金や電力供給の安定性にどのような影響が出るかは、引き続き注目が必要です。

以上のように、2024年以降の家庭の電気料金は燃料価格の動向、政府の政策、電力システム改革の進展など、様々な要因によって複雑に影響を受けるため、予測が難しい状況です。とはいえ、エネルギー価格の高止まりや電力会社のコスト増加などを考慮すると、電気料金は上昇圧力にさらされる可能性が高いと考えられます。

したがって、家庭においては省エネ行動の実践や省エネ家電への買い替え、太陽光発電の導入など、電気料金の値上がりに対する対策を検討していくことが重要です。

出典:経済産業省資源エネルギー庁/電力システムが直面する課題と対応方針②

誰でも使える!電気料金の値上げ対策

電気料金の値上げに対する具体的な対策をいくつか紹介します。

対策1:節電の実践

家庭内での電気の無駄な使用を減らすことで、電気料金を節約できます。具体的には、不要な照明や家電の消し忘れを防ぐ、エアコンや暖房器具の設定温度を適切に保つ、省エネ性の高い家電を導入するなどの方法があります。

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対策2:再エネ・創エネ設備の導入

太陽光発電や風力発電、蓄電池などの再生可能エネルギー設備を導入することで、自家発電による電気料金の削減が可能です。ただし同設備は高額な初期費用がかかるため、販売施工会社を慎重に選ぶ必要があります。

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対策3:電力会社・料金プランを見直す

電力会社が提供する料金プランや割引サービスを比較し、自宅の使用状況に合った最適なプランを選択することで、電気料金を節約することができます。ピークタイムとオフピークタイムの料金差を活用するなど、料金プランの見直しは効果的な節約策の一つです。

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また、現在の電力会社と他の電力会社の料金やサービスを比較し、より条件の良い会社に切り替えることで、電気料金をぐっと抑えられることがあります。競争が激化しているエネルギー市場では、新規顧客獲得のために料金の割引や特典が用意されています。

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まとめ

ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。

電気料金の値上げ理由とは?
近年の電気料金の値上げ理由には、燃料価格の高騰や賦課金の上昇、国内の電力供給不足などが挙げられます。日本は石油などの燃料を輸入でまかなっているため、特に燃料価格の高騰に影響を受けています。
電気料金の最新価格とは?
電気料金は各地域の電力会社や料金プランによって異なるため、契約している電力会社のホームページや請求書を確認してみてください。なお、全国の平均的な電気料金はこちらのページで確認できます。
電気料金の今後の見通しとは?
エネルギー価格の高止まりや電力会社のコスト増加などを考慮すると、2024年以降の電気料金は上昇圧力にさらされる可能性が高いと考えられます。そのため省エネ行動や電力プランの見直しなど、電気料金の値上げ対策を検討していくことが重要です。
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エネルギー事業部責任者

今村 一優

新卒で太陽光発電事業を行うベンチャー企業に入社。商社部門の仲卸営業として、国内外の太陽光発電メーカーの商品を取り扱い、全国の販売施工会社を担当。その後、太陽光発電の一括見積もりサイト運営にも携わる。
2015年にはプロパンガス料金比較サービスenepi(エネピ)の立ち上げを行い、数万人のプロパンガス代削減のサポートをするサービスへ成長させる。
エネルギー領域で10年以上携わった経験と知識を活かして、じげんエネルギー事業のマネージャーにて事業開発を行なっている。

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ライター

藤巻 創

電気・プロパンガスに関する記事のライティングを担当。
制作ポリシーに基づいてエネルギー全般の記事作成・管理を行う。