一般家庭で利用されるガスは、プロパンガス(LPガス)と都市ガスの2つの種類に分けることができます。
この2つには明確な違いがあり、原料や供給方法はもちろん、相場の料金も大きく異なります。
本記事では、プロパンガス(LPガス)と都市ガスの違いを分かりやすく解説します。
地域別のプロパンガス(LPガス)都市ガスの料金差も掲載しているので、ガス代に悩まれている方は、参考にお住まいの地域の料金差を確認してみて下さい。
都市ガスとプロパンガス(LPガス)は違うガス
都市ガスとは
日本における都市ガス(town gas, city gas)とは、広域的に供給販売されるメタンを主成分とした液化天然ガスを指します。
日本で供給されている都市ガスには、13A・12A・6A・5C・L1・L2・L3の7種類が存在します。
この区分は、ウォッベ指数(ガスの単位体積当たりの総発熱量(MJ/㎥)を空気に対する比重の平方根で除した値)と燃焼速度の掛け合わせで決められており、現在は13Aが主流です。
主に都市部の地下に設置されたガス管を通して供給されます。
プロパンガスとは
プロパンガスとは、液化石油ガス(英名:liquefied petroleum gas)の別名です。
また、LPガス・LPGとも呼ばれます。
プロパン・ブタンなどの天然ガスを原料としています。
ガスの充填されたボンベを各家庭に配送し、各家庭ごとの配管を通じて供給されます。
都市ガスとプロパンガスの見分け方
ご自宅のガスが都市ガスかプロパンガスかを見分けるには、以下の内容を確認してみましょう。
・自宅の敷地内にガスボンベがある
・ガス漏れ警報器が床付近に設置されている
・ガスコンロ・ガスメーターに「LPG」「プロパンガス用」の記載がある
いかがでしょうか。
いずれか一つでも当てはまる場合には、ご自宅はプロパンガスです。
または、いずれも当てはまらない場合には都市ガスの可能性が高いでしょう。
更に詳しく見分け方を知りたい方はコチラ
都市ガスとプロパンガス(LPガス)の料金比較
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(世帯人数別)
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(3人暮らしの場合)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥4,612 | ¥55,344 |
プロパンガス | ¥7,404 | ¥88,852 |
差額 | ¥2,792 | ¥33,508 |
一般的な3人暮らしの場合、都市ガスの年間費用は55,344円、プロパンガスの年間費用は88,852円です。
プロパンガスは都市ガスよりも年間で33,508円高く、1.6倍ほど割高ということになります。
2人暮らし、1人暮らしの場合の都市ガスとプロパンガスの平均は以下のようになります。
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(2人暮らしの場合)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥3,652 | ¥43,823 |
プロパンガス | ¥5,301 | ¥63,612 |
差額 | ¥1,649 | ¥19,790 |
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(1人暮らしの場合)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥2,951 | ¥35,412 |
プロパンガス | ¥4,810 | ¥57,717 |
差額 | ¥1,859 | ¥22,305 |
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(地方別)
全国の都市ガスとプロパンガスの平均料金は上記のようになりますが、地方別だとさらに料金は変わります。
ガスは地方によって相場が大きくことなるので、お住まいの地方ごとの料金の比較も確認してみましょう。
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(関東地方)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥4,276 | ¥51,313 |
プロパンガス | ¥7,207 | ¥86,481 |
差額 | ¥2,931 | ¥35,167 |
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(北海道地方)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥2,605 | ¥31,261 |
プロパンガス | ¥4,919 | ¥59,028 |
差額 | ¥2,314 | ¥27,767 |
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(東北地方)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥3,660 | ¥43,918 |
プロパンガス | ¥6,182 | ¥74,182 |
差額 | ¥2,522 | ¥30,264 |
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(中部地方)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥5,404 | ¥64,848 |
プロパンガス | ¥7,079 | ¥84,947 |
差額 | ¥1,675 | ¥20,099 |
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(近畿地方)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥4,832 | ¥57,985 |
プロパンガス | ¥7,293 | ¥87,518 |
差額 | ¥2,461 | ¥29,533 |
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(中国・四国地方)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥4,880 | ¥58,560 |
プロパンガス | ¥6,524 | ¥78,285 |
差額 | ¥1,644 | ¥19,725 |
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(九州地方)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥5,634 | ¥67,608 |
プロパンガス | ¥6,516 | ¥78,190 |
差額 | ¥882 | ¥10,581 |
都市ガスとプロパンガスの平均料金比較(沖縄地方)
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | ¥3,521 | ¥42,254 |
プロパンガス | ¥4,559 | ¥54,708 |
差額 | ¥1,038 | ¥12,454 |
このように、都市ガスとプロパンガスの価格差には地域ごとにかなり幅があります。
最も都市ガスとプロパンガスの料金差が大きいのは関東地方となっており、年間で35,167円の差がでます。
これは、関東の主要な都市ガス会社である東京ガスの料金設定が非常に安いことが起因しています。
逆に、最も都市ガスとプロパンガスの料金差が小さいのは九州地方となっており、その差額は年間で10,581円です。
都市ガスとプロパンガス(LPガス)は熱量も異なる
先述の通り、都市ガスと都市ガスは原料・供給方法・料金などが異なるほか、実は熱量も違います。
熱量とは、ガスが燃えた際に発生する熱の量を指します。
この熱量が、都市ガス1㎥あたり10750kcalなのに対し、プロパンガスは1㎥あたり24000kcalとなっています。
プロパンガスは、都市ガスの2.23倍熱量が高いの、つまりその分火力が2.23灰あるということです。
そのため、年間のガス使用量もプロパンガスと都市ガスでは大きく異なります。
都市ガスとプロパンガスの平均使用量比較
月間 | 年間 | |
---|---|---|
都市ガス | 28㎥ | 336㎥ |
プロパンガス | 10.3㎥ | 123.6㎥ |
都市ガスの料金とプロパンガスの料金を計算する場合には、上記の点も留意しておきましょう。
ガスの料金計算方法
基本料金+従量単価×使用量=請求金額
プロパンガス(LPガス)が都市ガスより高い理由
都市ガスとプロパンガスの平均料金の比較を見ていただいて、
「同じガスなのに都市ガスとプロパンガスの値段はなぜここまで変わるのだろう」
と疑問に思われた方もいるかもしれません。
都市ガスとプロパンガスの料金相場に大きな隔たりがある理由として、「料金制度の違い」と「配送コストの有無」が大きいと言われています。
都市ガスとプロパンガス(LPガス)の料金制度の違い
都市ガスとプロパンガスは、実は料金制度が全く異なります。
都市ガスは公共料金に含まれるため、「総括原価方式」とよばれる方法で料金設定を行うよう「ガス事業法」という法律で義務付けられています。
料金設定に一定の縛りがあるということなので、原価に対して高すぎる料金設定を行うことはできません。
一方、プロパンガスの料金は、小売業者がすべて自由に決定して良いとする「自由料金制」が採用されています。
かつてプロパンガス業界では、この自由料金制をいいことに原価に対して非常に高い価格でガスを販売する業者が横行していました。
さらに、業者間で結託してガス販売価格の相場を引き上げたり、ガス販売価格を消費者に非公開にしたりと、業界全体が非常に閉鎖的な状態でした。
ガスの販売価格を公開している会社が増えたこと、プロパンガスの切り替えが一般的になってきたことで、現在は少しずつプロパンガス料金の相場も下がってきました。
しかし、依然として都市ガスよりもプロパンガスのほうが割高です。
プロパンガス(LPガス)には配送コストがかかる
都市ガスは地下に設置されたガス管を通じて各家庭に供給されるため配送料がかかりませんが、プロパンガスはガスボンベの配送に費用がかかります。
このガスボンベの配送費用が基本料金に含まれるため、プロパンガスの基本料金は都市ガスの基本料金よりも高く設定されています。
都市ガスとプロパンガス(LPガス)のメリット・デメリット
都市ガスとプロパンガスの特徴や料金の違いはお分かり頂けたかと思います。
では、実際に利用する上で都市ガスとプロパンガスにはそれぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
以下に代表的なものを表にしてまとめています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
都市ガス |
・価格が安い ・自宅にボンベを置く必要がない |
・災害時の復旧に時間がかかる ・設置費用が高い ・対応エリアが狭い |
プロパンガス |
・熱量が高い ・災害時の復旧が早い ・対応エリアが広い ・設置費用が安い |
・価格が高い ・ボンベを置くスペースが必要になる |
プロパンガスから都市ガスへ変更はできるのか
現在プロパンガスを使っている方の中には、料金の安い都市ガスへの変更を考えている方も多いかと思います。
プロパンガスから都市ガスにすることは可能なのか、またどのくらいの費用で変更することができるのかを以下で解説しています。
都市ガスは対応エリアが限られている
都市ガスは、その名の通り基本的に都市部にしか配管が通っていません。
これは、都市ガスの配管の設置費用が非常に高額で、人の少ない地域に配管を設置すると元をとれなくなってしまうためです。
実際、都市ガスの配管は日本全土の6%にしか通っていないという調査結果が出ています。

出典:経済産業省「電力及びガスの小売全面自由化について」(平成29年3月)
現在プロパンガスを利用されている方の多くは、上記の都市ガス対応エリア外の地域にお住まいかと思います。
その場合には、残念ながら都市ガスへの変更はできません。
ご自宅のご住所の近くまで配管が通っている場合には、別途配管工事を行うことで都市ガスへの切り替えを行える可能性があります。
都市ガスの開通にかかる費用
プロパンガスから都市ガスへ切り替える場合、自宅に都市ガスを引き込むための配管を新しく取り付ける必要があります。
地下に設置された都市ガスの配管から自宅までの距離によってかかる費用は変わります。
目安として、ガス管を1㎥引き込むのに対して10,000円前後の費用がかかります。
一般的に、10~20万円くらいの費用がかかることが多いようです。
また、都市ガスとプロパンガスは使用できるガス機器が異なるので、ガスコンロ・給湯器の出力を変更する必要があります。
この出力の変更は各ガス機器のメーカーに問い合わせて、専用部品(4000円〜7000円前後)を取り付けてもらうことで行うことができます。
ガス機器が古い場合には、専用部品の生産が終了していて出力変更が行えないこともあるので、一度メーカーに確認しておきましょう。
その場合には、ガス機器の買い替えが必要になります。
更に詳しく「プロパンガスから都市ガスへの切り替え」を知りたい場合にはコチラ
主要な都市ガス会社の料金表
都市ガスへの切り替えをご検討される方の参考に、各地方の代表的な都市ガス会社とその料金表を記載しています。
※料金は、2020年1月現在HPで公開中の料金プランの一般A区分を記載
地方 | 都市ガス会社 | 基本料金 | 従量料金 |
---|---|---|---|
北海道 | 北海道ガス | ¥946 | ¥186 |
東北 | 東部瓦斯 | ¥913 | ¥173 |
関東 | 東京ガス | ¥1,056 | ¥127 |
中部 | 東邦ガス | ¥1,588 | ¥184 |
近畿 | 大阪ガス | ¥1,364 | ¥144 |
中四国 | 広島ガス | ¥954 | ¥207 |
中国 | 広島ガス | ¥954 | ¥207 |
四国 | 四国ガス | ¥1,238 | ¥275 |
九州 | 西部ガス | ¥1,133 | ¥232 |
沖縄 | 沖縄ガス | ¥834 | ¥241 |
プロパンガスを都市ガス並に安くするには?
都市ガスへの切り替えができないエリアにお住まいの場合には、プロパンガスの料金プランを今よりも安いプランに変更することでガス代を節約しましょう。
プロパンガス会社を変えればガス代は安くなる
現在利用中のプロパンガスの料金プランを安くするなら、プロパンガス会社の切り替えが最もおすすめです。
プロパンガスは、都市ガスと違って自由料金制を採用しているので、ガス会社ごとに料金プランが全く違います。
同じ地域のプロパンガス会社でも、A社とB社でガスの販売価格が数倍違うというのは、別段珍しいことではありません。
なので、プロパンガス会社を切り替えるだけで、年間で2万〜8万円ほどガス料金が安くなる場合があります。
プロパンガス会社の切り替えにはお金がかからないほか、最短一週間で切り替え作業は完了します。
複数のガス会社の料金プランを無料で比較できるサービスもあるので、ガス代に悩んでいる場合には、一度ご自身のガス会社のプランと見比べてみましょう。
都市ガスとプロパンガスは大きく異なる
都市ガスとプロパンガスの違いをまとめると、以下のようになります。
都市ガス | プロパンガス | |
---|---|---|
原料 | メタンを主成分とする液化天然ガス(LNG) | プロパン・ブタンを主成分とする液化石油ガス(LPG) |
性質 |
-162度まで冷却すると液体になる。 体積は1/600に。 |
-42度まで冷却すると液体になる。 体積は1/250に。 |
熱量 | 11,000Kcal/㎥ | 24,000Kcal/㎥ |
におい | 無臭だが、ガス漏れ防止の為に玉ねぎの腐ったような臭いを付けている | 無臭だが、ガス漏れ防止の為に玉ねぎの腐ったような臭いを付けている |
供給方法 | ガス導管を通じて供給 | ガスボンベをガス会社が配送して供給 |
重さ | 空気よりも軽い | 空気よりも重い |
ガス漏れ時の避難方法 | 態勢を低くして避難 | 態勢を高くして避難 |
事業者数 | 約200社 | 約18,500社 |
料金制度 | 総括原価方式 | 自由料金制 |
平均のガス料金(年間) | ¥55,344 | ¥88,852 |
メリット |
・価格が安い ・自宅にボンベを置く必要がない |
・熱量が高い ・災害時の復旧が早い ・対応エリアが広い ・設置費用が安い |
デメリット |
・災害時の復旧に時間がかかる ・設置費用が高い ・対応エリアが狭い |
・価格が高い ・ボンベを置くスペースが必要になる |
都市ガス・プロパンガスは同じガスでも、異なる点がたくさんあります。
ご自宅で使っているガスの種類ごとに光熱費を抑えるためにできることは違うので、まずは自分が使っているガスの種類を知りましょう。
プロパンガスをご利用中の場合には、enepiの「プロパンガス料金比較サービス」を使って高いガス代を安くすることができます。
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
プロパンガス(LPガス)と都市ガスの違いは何ですか? |
---|
日本における都市ガスとは、広域的に供給販売されるメタンを主成分とした液化天然ガスを指します。 プロパンガスとは、液化石油ガス(英名:liquefied petroleum gas)の別名です。 プロパン・ブタンなどの天然ガスを原料としています。 また、プロパンガスは、LPガス・LPGとも呼ばれます。 |
プロパンガス(LPガス)と都市ガスの料金の違いはありますか? |
プロパンガスは、都市ガスよりも年間で1.6倍ほど割高になります。 また、都市ガスとプロパンガスの価格差には地域ごとにかなり幅があります。 |
プロパンガス(LPガス)を都市ガス並に安くする方法はありませんか? |
プロパンガスの料金プランを今よりも安いプランに変更することでガス代を節約しましょう。 それには、プロパンガス会社の切り替えが最もおすすめです。 プロパンガス会社を切り替えるだけで、年間で2万〜8万円ほどガス料金が安くなる場合がありますので、ぜひ一度エネピにてご自身のガス会社のプランと見比べてみましょう。 |