家計の中でも電気料金は重要な支出の一つです。そんな電気料金の中に「燃料費調整額」という言葉が登場し、その影響が気になる方も多いのではないでしょうか。燃料費調整額は、電気料金を決定する上で重要な要素の一つであり、その高騰によって家計に負担がかかることもあります。そこで今回は燃料費調整額の変動要因やエリアごとの特性、平均価格や上限について解説します。これらの情報を得ることで、電気料金に関する理解を深めていきましょう。
燃料費調整額とは
燃料費調整額は、電気料金において原油・液化天然ガス(LNG)・石炭などの燃料価格の変動を自動的に反映する料金です。原油・液化天然ガス(LNG)・石炭などの燃料は市場で取引されており、価格が刻々と変動しています。これは株式や外国為替と同様です。
つまり燃料費調整額の役割は、燃料価格の激しい変動を電力会社の収入である電気料金に反映し、電力会社の経営を安定化させることです。
なお、月々の電気料金は、基本料金・電力量料金・賦課金(ふかきん)の3つの要素で決定されます。燃料費調整額は、この中の電力量料金に含まれます。
燃料費調整額の算定方法
燃料費調整額は「燃料費調整単価」に「その月の使用電力量」をかけることで求めることができます。
燃料費調整単価は、各電力会社が定めている「基準燃料価格」と、実際の燃料価格である「平均燃料価格」によって決まります。電力会社は直近3カ月の燃料価格の貿易統計価格をもとに、平均燃料価格を算出しています。
平均燃料価格が基準燃料価格を上回る場合は「プラス調整」が行われ、燃料費調整単価が増加します。逆に平均燃料価格が基準燃料価格を下回る場合は「マイナス調整」が行われ、燃料費調整単価が減少します。
つまり、燃料費が安くなれば電気代は下がり、燃料費が高くなれば電気代も上がる仕組みになっているのです。
例えば、もし燃料費調整単価が1kWhあたりプラス0.82円、使用電力量が500kWhの場合、燃料費調整額は410円となり、電気代が410円増加します。
反対に、もし燃料費調整単価が1kWhあたりマイナス0.82円、使用電力量が500kWhの場合、燃料費調整額はマイナス410円となり、電気代が410円減少します。
【電力会社別】燃料費調整額の単価一覧
燃料費調整額の単価は電力会社によって異なります。ここでは全国の大手電力会社を取り上げ、各社の家庭用料金プランで採用されている燃料費調整単価(2024年5月分)を一覧で紹介します。
電力会社 | 燃料費調整単価 |
---|---|
北海道電力 | -9.02円 |
東北電力 | -10.10円 |
東京電力 | -9.14円 |
中部電力 | +0.04円 |
北陸電力 | -9.77円 |
関西電力 | -18.84円(15kWhまで) -1.26円(16kWhから) |
中国電力 | -171.29円(15kWhまで) -11.41円(16kWhから) |
四国電力 | -99.65円(11kWhまで) -9.06円(12kWhから) |
九州電力 | -1.64円 |
沖縄電力 | -150.48円(10kWhまで) -15.05円(11kWhから) |
このように、燃料費調整額の単価はエリアによってばらつきがあります。各電力会社は、地域ごとに異なる燃料価格や供給状況を考慮して調整を行っています。また、前述のとおり燃料費調整額は直近3カ月の平均燃料価格に基づいて算出されるため、月によっても変動します。
なお、各電力会社は公式ウェブサイトで燃料費調整額の最新情報を発信しています。詳細はそちらでご確認いただくことをお勧めします。
最適な電力会社・プランの選び方
電力会社を選ぶ際は、基本料金や電力量料金だけでなく、燃料費調整額も含めた実質的な電気代を比較する必要があります。とはいえ、複雑な料金体系を考慮しながら、自宅の環境や自身のライフスタイルに合う電力会社を見分けるのは難しいかもしれません。
そこで、enepi(エネピ)では『電気料金比較サービス』を運営し、お客様の条件に合わせた最適な電気料金プランをご提案しております。ちなみに、当サービスは平均月間1,500円の電気代削減という確かな実績に裏打ちされています。ぜひあなたも試してみてください。
燃料費調整額の確認方法
電気料金に含まれる月々の燃料費調整額を確認する方法は、一般的に以下の2つです。
- 電力会社のWebサイトで確認
- 検針票(請求書)で確認
最も一般的な方法は、契約している電力会社のWebサイト上の「マイページ」から確認することです。マイページにログインすると、その月の電気料金内訳が表示されます。「燃料費調整額」という項目があり、その金額が記載されています。
また、一部の電力会社では検針票(請求書)に燃料費調整額が記載されています。Webでの確認が難しい場合は、検針票の郵送を電力会社に依頼できます。検針票には、その月の電気使用量とともに燃料費調整額が印字されています。
燃料費調整額の高騰について
近年の電気料金の高騰には3つの要因があります。
- 燃料(原油・LNG・石炭)価格の高騰
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げ
- 政府による電気代補助の終了
一方で、燃料費調整額は、燃料価格の変動を毎月の電気料金に反映させるものです。そこで、燃料価格の高騰により燃料費調整額は上昇します。
つまり、近年の電気料金の高騰には、燃料価格の高騰による燃料費調整額の上昇に加え、再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げや政府補助の終了といった要因が複合的に影響しているのが現状です。
燃料費調整額の上限撤廃について
燃料費調整額には上限設定があります。この上限は電力会社やプランによって異なります。上限設定がある場合、燃料費調整額が上限を超える分は料金に反映されません。例えば、平均燃料価格が一定の基準を超えた場合、その上限価格が適用されます。
しかし、最近の燃料価格の高騰などを受けて、一部の電力会社では上限を撤廃しています。この変更により、燃料費調整額はより正確に燃料コストに応じて請求されることになります。
電力会社ごとに異なる上限設定があるため、詳細な情報は各電力会社の公式ホームページや通知を確認することをおすすめします。
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
燃料費調整額の役割とは? |
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燃料費調整額の役割は、燃料価格の激しい変動を電力会社の収入である電気料金に反映し、電力会社の経営を安定化させることです。なお、電気料金は基本料金・電力量料金・賦課金(ふかきん)の3つで構成されており、燃料費調整額は電力量料金に含まれます。 |
燃料費調整額の算定方法とは? |
燃料費調整額は「燃料費調整単価」に「その月の使用電力量」をかけることで求めることができます。なお、燃料費調整単価は、各電力会社が定めている「基準燃料価格」と、直近3カ月の実際の燃料価格である「平均燃料価格」によって決まります。 |
燃料費調整額の高騰理由とは? |
燃料費調整額は、燃料価格の高騰により上昇します。ちなみに、燃料費調整額には上限設定がありますが、最近の燃料価格の高騰などを受けて一部の電力会社では上限を撤廃しています。 |