「プロパンガス料金は高い」。この言葉は、都市ガス料金との比較の文脈で使われることが多いです。
では実際にどれくらい料金差があるのか、以下のグラフで見てみましょう。

※単位:円(一月あたり)
※参照:プロパンガス消費者センター/都市ガスとプロパンガスの4つの違い
このように、プロパンガスの料金は都市ガスの約1.76倍です。
では、なぜこれほど料金差がでてしまうのか……その理由をこれから解説します。
プロパンガス料金が高い理由
理由1:料金を自由に設定できる

プロパンガスは自由料金のため、各々のガス会社が言い値で請求することができます。ちなみに都市ガスは公共料金のため、料金設定に縛りがあります。
そして自由料金にあぐらをかき、相場とかけ離れた金額を請求し利益を上げているプロパンガス会社も存在するのです。これがプロパンガス料金が高い一番の理由です。
さらに、契約時は平均的な料金設定だったとしても、後々値上げが行われるケースもあります。「プロパンガスの料金が急に高くなったが、ガス会社からは特に説明がなく、請求された金額を支払い続けた」というような経験がある方もいらっしゃるでしょう。
ただし、実はプロパンガス会社は値上げを行う場合、事前に書面等で通知をしています。しかし契約者がそれに気づかずに、「知らない間にプロパンガスの料金単価が上がっていた」というようなことも起きています。
いずれにせよ、大幅な値上げをしたり何度も値上げをしたりするようなプロパンガス会社との契約は見直すべきでしょう。
「もしかして、自分は不当な高い料金を払っている?」そう感じたら、プロパンガスの平均料金と比較してみてください。
もし平均よりも高い、あるいは同じくらいの場合は『ガス会社の切り替え』を検討すべきでしょう。平均よりも低い料金設定のガス会社に切り替えることで、毎月のガス代を簡単に節約できます。
ちなみに、当社が運営するenepi(エネピ)は『ガス会社の切り替え』を無料でサポートしております。お住まいの地域にあるガス会社の料金をWEB上で一括比較できるため、「なるべく手間をかけずにガス会社を探したい!」という方におすすめです!
理由2:ガスボンベの配送コストが高い

プロパンガスはガスボンベから家庭に供給されるため、ガスボンベの配送費用がかかります。
またガスボンベの交換や点検、検査なども定期的に行わなければなりません。
このような手間賃が料金に上乗せされることも、プロパンガス料金が高い理由の一つです。
理由3:設置工事に費用がかかる

プロパンガスを使用するためには供給設備の設置工事も必要です。
工事費は建物の大きさや付近の環境によりますが、大体15万〜20万円程度です。
一般に工事費はプロパンガス会社が負担してくれます。が、実は工事費は分割されて月々のガス料金に上乗せされ少しずつ回収されていく仕組みなのです。
ちなみに、工事費の回収完了後も上乗せ料金を続けるような悪徳会社も存在します。同じガス会社と15年以上契約している場合は、念のため料金内訳を見直してみてください。
高額な工事費を一括請求されずに済むのは助かりますが、このような仕組みもプロパンガス料金が高い理由なのです。
理由4:ガス会社の競争が起こりにくい

一般に、商品・サービスの料金が安くなったり是正されたりしない理由は、供給側の競争が起こりにくいためですが、プロパンガス業界も同様の状況といえます。
では、なぜプロパンガス業界は競争が起こりにくいのか……理由は2つ考えられます。
1つは、プロパンガス会社同士が料金設定の取り決めをしているためです。
ある地域の中で1社だけ料金を安くすると 、他の会社も顧客を逃さないように料金を下げるため、 価格競争が起こります。そうならないように、地域内の会社同士で予め価格帯を設定しておく。こうなると料金は高止まりしてしまいます。プロパンガス業界でも、こうしたことが起こらないとは限りません。とはいえ、公平性や透明性が一層重視されている現代においては起こりづらいことも確かです。
もう1つは、プロパンガス会社を切り替える人が少ないためです。
実はガス会社は消費者が自由に選べるのですが、多くの人が同じガス会社と契約し続けています。設置工事でお世話になったし、解約するなんて言いづらい。そんなふうに考えるかもしれませんが、今より安くて条件の良いガス会社があるなら遠慮することはありません。ガス会社を切り替える人が増えれば、すなわち市場が活性化すれば、ガス会社間の競争が生まれ、料金が下がる可能性も出てくるでしょう。
いずれにせよ現時点では、プロパンガス市場は活性化しているとはいえません。これがプロンパンガス料金が高い最後の理由です。
プロパンガス料金を安くするにはどうすればいい?

まずは、プロパンガス料金の計算方法を理解し、ご自身のプロパンガス料金の内訳を把握しましょう。
そして、ご自身のプロパンガス料金がどれくらい高いのか、地域別の平均料金と比較してみましょう。
プロパンガス料金の計算方法
一般に、プロパンガス料金は「基本料金」と「従量料金」とで構成されています。
このような料金形態を「二部料金制」といいます。
プロパンガス料金の計算式は以下の通りです。
{ 基本料金 +( 従量単価 × 使用量㎥ )}×消費税率=ガス料金
ちなみに、基本料金は検針票や請求書を見れば分かりますが、従量単価は記載が無いこともあります。その場合は、以下の計算式で従量単価を確認しましょう。
{(請求金額÷消費税率)-基本料金}÷使用量=従量単価
プロパンガスの平均料金
ご自身のプロパンガス料金の内訳が把握できたら、平均料金と比較してみてください。
以下の表は、都道府県別の基本料金と従量単価の平均をまとめたものです。
基本料金 | 従量単価 | |
---|---|---|
北海道 | 2,170 | 871 |
青森県 | 1,987 | 824 |
岩手県 | 2,021 | 802 |
宮城県 | 1,828 | 698 |
秋田県 | 1,953 | 786 |
山形県 | 1,949 | 798 |
福島県 | 1,860 | 733 |
茨城県 | 1,763 | 637 |
栃木県 | 1,747 | 629 |
群馬県 | 1,818 | 624 |
埼玉県 | 1,800 | 607 |
千葉県 | 1,808 | 610 |
東京都 | 1,809 | 607 |
神奈川県 | 1,847 | 636 |
新潟県 | 1,964 | 720 |
富山県 | 2,099 | 764 |
石川県 | 1,949 | 747 |
福井県 | 1,893 | 727 |
山梨県 | 1,763 | 647 |
長野県 | 1,840 | 708 |
岐阜県 | 1,909 | 680 |
静岡県 | 1,879 | 670 |
愛知県 | 1,865 | 666 |
三重県 | 1,901 | 660 |
滋賀県 | 1,932 | 675 |
京都府 | 1,975 | 672 |
大阪府 | 1,842 | 612 |
兵庫県 | 2,044 | 685 |
奈良県 | 1,892 | 618 |
和歌山県 | 1,972 | 634 |
鳥取県 | 2,012 | 762 |
島根県 | 2,131 | 762 |
岡山県 | 2,026 | 709 |
広島県 | 1,946 | 700 |
山口県 | 2,091 | 736 |
徳島県 | 1,997 | 656 |
香川県 | 1,932 | 695 |
愛媛県 | 1,954 | 679 |
高知県 | 1,978 | 637 |
福岡県 | 2,034 | 668 |
佐賀県 | 1,961 | 702 |
長崎県 | 1,878 | 714 |
熊本県 | 1,781 | 674 |
大分県 | 1,877 | 659 |
宮崎県 | 1,803 | 700 |
鹿児島県 | 1,695 | 707 |
沖縄県 | 1,796 | 730 |
※単位(円)
※日本エネルギー経済研究所石油情報センターのデータを基にエネピが独自で算出(2022年12月時点)
さて、比較してみていかかでしょうか。
「平均よりもずっと高い」
「だいたい平均くらい」
「基本料金、従量単価ともに安く、従量単価は平均の半分くらい」
結果は様々かと思います。
しかし、この中で今のプロパンガス料金に納得してよいのは、「基本料金、従量単価ともに安く、従量単価は平均の半分くらい」という方のみです。
「平均よりもずっと高い」「だいたい平均くらい」という方は、プロパンガスの適正価格よりもかなり高い料金を払っている可能性があります。
プロパンガスの平均料金は、適正価格ではない
「平均と同じくらいなのに、なぜ料金が高いと言えるの?」
こう思われる方もいらっしゃるでしょう。
世間一般ではあまり認知されていませんが、プロパンガスの価格設定はそもそも適正でないことの方が多く、平均料金がかなり高めになってしまうのです。
本来はもっと安く提供できるものを業界全体で値上げして平均をつり上げているため、平均料金であっても割高な料金設定であると言えるのです。
プロパンガス料金を安くする方法は2つある
プロパンガス料金を安くする方法は、大きく分けて次の2つです。
1つは「ガスの使用量を減らす」です。
ガスの使用量が比較的多い場所はキッチンとお風呂です。したがって、その2カ所でガスを節約することが重要になります。
キッチンであれば「調理中は鍋にフタをする」「火力を鍋の大きさに合わせる」などの方法が有効です。
またお風呂であれば「シャワーをこまめに止める」「追い焚きの回数を減らす」などの方法があります。
なお他にも色々な方法がありますので、以下記事でチェックしてみてください。
もう1つは「ガスの料金設定を下げる」です。
そもそも料金設定を下げることができれば、節約のために毎日コツコツ努力したり、生活スタイルを変えてストレスを感じたりすることもありません。
そこでここからは、ガスの料金設定を下げる方法について詳しく解説していきます!
ガス会社を切り替えてプロパンガス料金を安くしよう!
前述のとおり、プロパンガス料金を安くしたいのであれば、料金設定を下げることが肝要です。
では、どうすれば料金設定を下げられるのか……それは、料金設定が低いガス会社に切り替えればよいのです。
プロパンガスは自由料金のため、ガス会社ごとの料金差がひらきやすい傾向があります。
そのため、比較的安いガス会社に切り替えるだけで、ガス代を大幅に節約できる可能性が高いのです。
ガス会社を切り替えると、どれくらい安くなるのか?
ガス会社を切り替えたことで、実際にガス代がいくら安くなったのか、enepi利用者の事例をもとに紹介します。
【ガス会社切り替え前】
基本料金:1,809円 従量単価:608円
↓ ↓ ↓
【ガス会社切り替え後】
基本料金:1,650円 従量単価:341円
月間で3,668円のガス代を削減できました。
【ガス会社切り替え前】
基本料金:1,949円 従量単価:728円
↓ ↓ ↓
【ガス会社切り替え後】
基本料金:1,850円 従量単価:400円
月間で3,835円のガス代を削減できました。
【ガス会社切り替え前】
基本料金:2,100円 従量単価:810円
↓ ↓ ↓
【ガス会社切り替え後】
基本料金:1,500円 従量単価:419円
月間で1,929円のガス代を削減できました。
このように、いずれのケースも基本料金・従量単価がともに安くなっており、特に従量単価は半額近くまで下がっています。
なお、自分はガス代をいくら安くできるのか知りたい方は、「プロパンガス料金診断」を利用してみてください。切り替え後の料金イメージをラクラク算出できますよ。

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月
円(税込)

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推定使用量
-㎥
基本料金
-円
従量単価
-円/㎥
現在の料金
基本料金
-円
従量単価
-円/㎥
※基本料金は地域平均と同額として推算しています。※従量単価250円以下で表示された場合は間違えている場合がございます。
enepiをご利用いただくと
年間0円
ガス会社を切り替える方法
続いて、『ガス会社の切り替え』が完了するまでの具体的な流れを説明します。
手順1:変更先のガス会社を探す
まずは新しいガス会社を探します。ただし、実は一番難しいのがこの作業です。
その理由は、全国に15,000社以上あるプロパンガス会社の多くが、料金設定をホームページ等で公開していないためです。新しいガス会社を探したくても、料金設定が分からなければ先に進めません。
この問題を解決するために、当社はenepiを運営しております。enepiは日本で唯一、WEB上で複数社のプロパンガス料金を比較できるサービスです。費用は一切かかりませんので、ぜひお気軽にご利用ください。
手順2:旧ガス会社の解約手続き
新しいガス会社が決まったら、旧ガス会社の解約手続きをしてもらいます。
新ガス会社が旧ガス会社に対して「委任状」と呼ばれる解約通知の書面を送付し、手続きは終了です。契約者の方から旧ガス会社へ連絡する必要はありません。
なお、「委任状」の送付後1週間以内であれば、旧ガス会社との契約を復活させることが可能です。これをクーリングオフ期間といいます。
手順3:新ガス会社の契約手続きと切り替え工事
いよいよ新ガス会社と正式な契約手続きをすることになります。とはいえ書面に記名するだけの簡単な作業です。
そして、ガスボンベやメーターの切り替え工事が行われます。その後、ガスを無事開栓したら『ガス会社の切り替え』は完了です。
ガス会社を切り替えるときの注意事項
ガス会社を切り替えるにあたり、旧ガス会社との間でトラブルが起きないように、気をつけるべきポイントをチェックしておきましょう。
注意事項1:残存期間
新しいガス会社を探す前に、今のガス会社との契約期限を確認しておきましょう。ちなみに契約期限までの残り期間のことを「残存期間」といいます。
もし残存期間満があるにもかかわらずガス会社を切り替えてしまうと、違約金を請求されてしまうので注意してください。
注意事項2:供給設備の所有権
ガス会社を切り替える時、ガスボンベなどの供給設備が借用であると発覚することがあります。そして借用期限を満たしていないため違約金を請求される場合があります。この点も事前に契約書で確認しておきましょう。
注意事項3:解約金
もし契約書に「解約金」の記述があるなら支払う義務があります。ただしあまりに高額の場合は、新しいガス会社や消費者センターに相談する方がよいでしょう。
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
プロパンガス料金が高い理由は? |
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プロパンガス料金が高い理由は次の4つです。①料金を自由に設定できる、②ガスボンベの配送コストが高い、③設置工事に費用がかかる、④ガス会社同士の競争が起こりにくい。 |
プロパンガスの平均料金はいくら? |
プロパンガスの平均料金は地域によって差がありますが、概ね基本料金が1,800円~2,000円、従量単価が600円~800円です。(各地域の相場一覧はコチラ) |
プロパンガス料金を安くする方法は? |
最も効果的な方法は『ガス会社の切り替え』です。なかには年間で10万円以上安くなった方もいらっしゃいますので、ぜひ一度検討してみてください。 |