冬の訪れとともに、暖房器具の使用は欠かせませんが、月末の電気代の請求額を見て驚いた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、ご家庭のメインの暖房としてエアコンを利用している場合、「つけっぱなしとこまめに消すのはどちらが経済的なのか」「設定温度は何度が適切なのか」など、日々の使い方に迷う場面も少なくないかもしれません。

この記事では、そうした疑問に明確な答えを提示します。ご自身のライフスタイルに合ったエアコンの使い方を見つけ、寒い冬を快適かつ経済的に乗り切るための一助として、ぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

  • エアコン暖房の部屋(広さ)ごとの具体的な電気代
  • 何時間の外出であれば「つけっぱなし」にする方がお得なのか
  • 他の暖房器具と比べてエアコンはコストパフォーマンスが高いのか
  • 他の暖房器具と使い分けることで全体の暖房費を抑える方法

【部屋の広さごと】エアコン暖房の1時間あたりの電気代

エアコンの電気代は、設定温度や部屋の広さによって、具体的にいくら変わるのか。今回は以下の条件で検証していきます。

【設定温度】
20~28℃

【部屋の広さ】
1人暮らし:8畳
4人家族:14畳

【エアコン機種※1
1人暮らし:日立 白くまくん RAS-XR2525S
4人家族:日立 白くまくん RAS-XR4025D

【電力量料金※2
31円/kWh

※1 省エネ型製品情報サイトより
※2 家電公取協より

【1人暮らし】エアコン暖房の1カ月の電気代は?

1人暮らしの場合、部屋の広さは8畳程度と考えると、日立のエアコン「白くまくんXシリーズ」の暖房期間消費電力量は464kWhとなります。したがって、設定温度20℃の1時間あたりの電気代は以下のとおりです。

464kWh ÷ (160日 × 18時間) × 31円 ≒ 4.99円

この値を基準とし、設定温度22℃・24℃・26℃・28℃までの電気代も計算します。設定温度を1℃緩和すると消費エネルギーは約10%削減出来ると言われているため、以下のように求められます。

■22℃:消費エネルギー約20%増加
(464kWh + 46.4kWh × 2) ÷ (160日 × 18時間) × 31円 ≒ 5.99円

■24℃:消費エネルギー約40%増加
(464kWh + 46.4kWh × 4) ÷ (160日 × 18時間) × 31円 ≒ 6.99円

■26℃:消費エネルギー約60%増加
(464kWh + 46.4kWh × 6) ÷ (160日 × 18時間) × 31円 ≒ 7.99円

■28℃:消費エネルギー約80%増加
(464kWh + 46.4kWh × 8) ÷ (160日 × 18時間) × 31円 ≒ 8.99円

それでは、以上の結果を表にまとめます。

設定温度1日の電気代1カ月の電気代
20℃¥90¥2,695
22℃¥108¥3,235
24℃¥126¥3,775
26℃¥144¥4,315
28℃¥162¥4,855

以上が1人暮らしのエアコン暖房の電気代です。ただし機種や気温によってエアコンの電気代は変動するため、目安として参考にしてみてください。

【4人家族】エアコン暖房の1カ月の電気代は?

4人家族の場合、部屋の広さは14畳程度と考えると、同エアコンの暖房期間消費電力量は761kWhとなります。したがって、設定温度20℃の1時間あたりの電気代は以下のとおりです。

761kWh ÷ (160日 × 18時間) × 31円 ≒ 8.19円

同様に、設定温度22℃・24℃・26℃・28℃までの電気代も計算します。

■22℃:消費エネルギー約20%増加
(761kWh + 76.1kWh × 2) ÷ (160日 × 18時間) × 31円 ≒ 9.83円

■24℃:消費エネルギー約40%増加
(761kWh + 76.1kWh × 4) ÷ (160日 × 18時間) × 31円 ≒ 11.47円

■26℃:消費エネルギー約60%増加
(761kWh + 76.1kWh × 6) ÷ (160日 × 18時間) × 31円 ≒ 13.11円

■28℃:消費エネルギー約80%増加
(761kWh + 76.1kWh × 8) ÷ (160日 × 18時間) × 31円 ≒ 14.74円

それでは、以上の結果を表にまとめます。

設定温度1日の電気代1カ月の電気代
20℃¥147¥4,423
22℃¥177¥5,308
24℃¥206¥6,194
26℃¥236¥7,079
28℃¥265¥7,960

以上が4人家族のエアコン暖房の電気代です。ただし諸条件によって電気代は変動するため、目安として参考にしてみてください。

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【結論】「つけっぱなし」vs「こまめオフ」お得なのはどっち?

エアコンの使い方で最も議論されるのが、この「つけっぱなし」問題です。結論から言うと、「短時間の外出」であれば「つけっぱなし」の方がお得になる可能性が高いと考えられます。

お得の境界線は「30分〜1時間」:エアコンは、電源を入れてから設定温度に到達するまでが最も多くの電力を消費します。そのため、コンビニや少しの買い物など、30分から1時間以内の外出であれば、電源を切らずにつけっぱなしにしておいた方が、再稼働時の大きな電力消費を避けられ、結果的に電気代が安くなる傾向があります。

1時間を超える外出なら「オフ」が基本:通勤や長時間の買い物など、1時間を超えて家を空ける場合は、迷わず電源をオフにすることをおすすめします。つけっぱなしで室温を維持する電力よりも、一度電源を切り、帰宅後に再度運転する方が消費電力は少なくなります。

専門機関の実験結果:状況に応じた判断が最も賢明

専門的な実験結果を基に、この「つけっぱなし」問題をより詳細に分析します。

①ダイキンの実験:時間帯がもたらす境界線の変化
空調専門メーカーであるダイキン工業が実施した実証実験は、この問題に重要な視点を加えています。それは、時間帯によって「お得の境界線」が変動するという事実です。

  • 日中(9:00~18:00):外気温が比較的高い日中は、部屋の温度が下がりにくく、再起動時の負荷も小さくなります。この条件下での実験では、境界線は約35分となりました。つまり、35分以内の外出であれば「つけっぱなし」の方が経済的です。
  • 夜間(18:00~23:00):外気温が大きく下がる夜間は、部屋の温度も急速に低下し、再起動には大きなエネルギーが必要となります。そのため、境界線は約18分という結果になりました。18分を超える外出であれば、夜間は「こまめオフ」が有利となります。

②パナソニックの実験:外気温という決定的な要因
さらにパナソニックが行ったシミュレーションは、もう一つの決定的な変数、すなわち外気温の重要性を明らかにします。 この研究によると、30分間の外出という条件下で「お得の境界線」を分けるのは外気温が3℃であるかどうかという点です。

  • 外気温が3℃以上の場合:比較的温暖な状況では、電源をオフにしても室温の低下が緩やかであるため、再起動時の負荷が小さく済みます。このため、「こまめオフ」の方が消費電力が少なくなります。
  • 外気温が3℃未満の場合:厳しい寒さの中では、電源を切ると室温が急激に低下します。冷え切った部屋を再び暖め直すためには膨大なエネルギーが必要となり、結果として「つけっぱなし」で室温を維持し続けた方が総消費電力量は少なくなります。

まとめ:ご自身に合わせた判断ガイド

これらの専門的な実験結果を統合すると、一定のルールではなく、状況に応じた判断が最も賢明であることがわかります。以下に、ご自身の状況に合わせて最適な選択をするための判断フローを示します。

つけっぱなし?いったんオフ?判断フロー

外出時間はどのくらい?

  • 20分未満 → 迷わず「つけっぱなし」を選択。再起動のロスが確実に上回ります。
  • 90分以上 → 迷わず「こまめオフ」を選択。維持運転の電力消費が再起動のコストを上回ります。
  • 20分~90分 → 次の質問へ。

外の気温はどのくらい?

  • 比較的暖かい(目安として5℃以上) → 「こまめオフ」が有利になる可能性が高いです。
  • 非常に寒い(目安として5℃未満) → 「つけっぱなし」が有利になる可能性が高いです。特に氷点下に近い場合は、つけっぱなしを推奨します。

時間帯はいつごろ?

  • 夜間(18時以降) → 外気温が下がりやすいため、同じ外出時間でも「つけっぱなし」が有利になる傾向が強まります。
  • 日中 → 外気温が高めであれば、「こまめオフ」を選択しやすくなります。

この判断フローは、ご自宅の断熱性能によっても左右されます。断熱性の高い住宅は室温が下がりにくいため、「こまめオフ」が有利になる時間が長くなる傾向があります。逆に断熱性の低い住宅では室温がすぐに下がるため、「つけっぱなし」が有利になる場面が増えます。

【根本対策】その電気料金、高すぎかも?最適なプランへ見直そう

日々の使い方や節約術も大切ですが、そもそも契約している電気料金プランがご家庭に合っていなければ、どんなに節約を頑張っても効果は半減してしまいます。 電力自由化以降、多くの会社が様々な料金プランを提供しており、乗り換えるだけで電気代がぐっと安くなる可能性があります。

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【徹底比較】エアコンはコスパが良い?他の暖房器具との料金比較

エアコンの電気代が気になっている方の中には、「ほかの暖房器具を使った方が電気代を節約できるのでは?」と考える方もいると思います。そこで、エアコンとほかの暖房器具の電気代を比較してみます。今回はエアコン・電気ストーブ・こたつの3種暖房器具を取り上げます。

暖房器具1日の電気代1カ月の電気代
こたつ¥34¥1,027
エアコン(8畳用)¥90¥2,695
エアコン(14畳用)¥147¥4,423
電気ストーブ(ハロゲンヒーター)¥195¥5,869
電気ストーブ(カーボンヒーター)¥146¥4,402

暖房器具の中で、こたつの電気代がひときわ安いことが分かります。そこでエアコンの電気代を抑えるためには、こたつを併用することが有効です。この点については次項で詳しく説明します。

【節約術】エアコンの賢い使い方と根本的に電気代を削減する方法

エアコンの電気代は冷房よりも暖房の方が高い傾向にあります。これは夏季よりも冬季の方がエアコンの設定温度と外気温との差が大きくなるためです。以下は夏季と冬季の月間電気代の比較です。

夏季冬季
全国平均¥12,427¥16,404

※エネピ調べ

このように冬季は夏季と比べて電気代が約1.3倍になるため、節電対策がより重要になります。以下にエアコン暖房の効果的な節約方法を紹介しますので、ぜひ実践してみてください。

節約方法①適切な温度設定にする

エアコンの暖房時の設定温度は快適さと電気代のバランスを考慮して設定することが重要です。環境省は冬季の室温を20℃に保つことを推奨しています。設定温度を1℃下げるだけでも電気代は削減できます。例えば21℃から20℃に下げると年間で約1,650円※の節約になります。

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト

節約方法②短時間にオンオフを繰り返さない

エアコンは起動時に多くの電力を消費します。そのため短時間の外出時に頻繁にオンオフを繰り返すと、逆に電気代が高くなることがあります。実験によると、30分程度※の外出であればエアコンをつけっぱなしにしておく方が電気代の節約につながることが示されています。ただし、時間帯や外気温によって判断基準は異なります。

ダイキン/冬のエアコンつけっぱなし検証!

節約方法③部屋の断熱性を高める

部屋の断熱性を高めることで、暖房効率を向上させることができます。具体的には、窓に断熱シートを貼る、厚手のカーテンを使用する、ドアや窓の隙間を塞ぐなどの方法が効果的です。これにより、室内の熱が逃げにくくなり、エアコンの負担が軽減されます

節約方法④こたつを併用する

こたつはエアコンに比べて電気代が安く、体感温度を上げるのに効果的です。エアコンで部屋全体を暖めつつ、こたつを併用することで、エアコンの設定温度を低く保ちながら快適に過ごすことができます。これにより全体の電気代を抑えることが可能です。

節約方法⑤サーキュレーターを利用する

サーキュレーターを併用することで、部屋の空気を効率的に循環させ、暖房効果を高めることができます。暖かい空気は天井付近に溜まりやすいため、サーキュレーターを使って空気を循環させることで、部屋全体を均一に暖めることができ、エアコンの設定温度を下げることが可能です。

節約方法⑥フィルターを掃除する

エアコンのフィルターが汚れていると、空気の流れが悪くなり、暖房効率が低下します。定期的にフィルターを掃除することでエアコンの性能を維持し、無駄な電力消費を防ぐことができます。フィルター掃除を行うことで、年間で約990円※の節約になります。

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト

節約方法⑦電気料金プランを見直す

自宅の電気代が高いとお困りの方は、契約している料金プランを見直してみてください。

enepi(エネピ)では、お客様一人ひとりの家族構成やライフスタイルに適した電気料金プランの無料相談を実施しております。これまでにも毎月1万名のお客様に提案させていただいており、平均で年間21,071円※の電気代を削減しています。ぜひこの機会に相談してみてください。

※エネピのユーザー様の削減実績データから算出した金額です
※3~4人暮らしの場合の金額です

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まとめ

ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。

1人暮らしのエアコン暖房の電気代とは?
1人暮らしの場合、部屋の広さは8畳程度と考えると、エアコンの暖房期間消費電力量は464kWhとなります。したがって、設定温度20℃の1時間あたりの電気代は約4.99円となります。ただし、エアコンの機種などによって電気代は異なります。
4人家族のエアコン暖房の電気代とは?
4人家族の場合、部屋の広さは14畳程度と考えると、エアコンの暖房期間消費電力量は761kWhとなります。したがって、設定温度20℃の1時間あたりの電気代は約8.19円となります。ただし、エアコンの機種などによって電気代は異なります。
エアコン暖房の節約方法とは?
エアコン暖房の節約方法はいくつかあります。適切な温度設定にする、短時間にオンオフを繰り返さない、部屋の断熱性を高める、こたつを併用する、サーキュレーターを利用する、フィルターを掃除するなどです。また、電気代を削減するためには料金プランを見直すことも重要です。

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今村 一優の写真

エネルギー事業部責任者

今村 一優

新卒で太陽光発電事業を行うベンチャー企業に入社。商社部門の仲卸営業として、国内外の太陽光発電メーカーの商品を取り扱い、全国の販売施工会社を担当。その後、太陽光発電の一括見積もりサイト運営にも携わる。
2015年にはプロパンガス料金比較サービスenepi(エネピ)の立ち上げを行い、数万人のプロパンガス代削減のサポートをするサービスへ成長させる。
エネルギー領域で10年以上携わった経験と知識を活かして、じげんエネルギー事業のマネージャーにて事業開発を行なっている。

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ライター

藤巻 創

電気・プロパンガスに関する記事のライティングを担当。
制作ポリシーに基づいてエネルギー全般の記事作成・管理を行う。