関西電力の電気料金が値上げとなり、家計への影響が心配されています。日々の節電に気をつけながらも、さらなる対策が必要だと感じている方も多いと思います。
この記事では関西電力の値上げの背景や、具体的な値上げ額などについて解説します。また、対策として電気代の削減方法もご紹介します。みなさんの家計を守るための参考になれば幸いです。
- 関西電力の値上げは、燃料費高騰・補助金終了・賦課金引き上げなどの複合的な要因によります。
- 関西電力の値上げは、政府の補助金が終了した2024年5月以降で顕著になりました。
関西電力の値上げの理由
関西電力の値上げの背景には、以下のような理由があります。
- 燃料費高騰
- 補助金終了
- 賦課金引き上げ
それぞれの理由について詳しく説明します。
理由①燃料費高騰
電力を生産するために必要な石炭・石油・天然ガスなどの価格が世界的に高騰しています。その理由は、世界的なエネルギー需要の増加、ウクライナ情勢等による国際エネルギー市場の混乱、円安の進行による輸入コストの上昇などです。
この燃料費の上昇は電力会社のコストを増加させ、結果的に電気料金の引き上げにつながります。特に関西電力は火力発電所が多いため、燃料費の影響を強く受けます。
理由②補助金終了
政府が行っていた電気料金の補助金が終了したことも、値上げの要因です。この補助金は燃料価格の高騰による家計への影響を緩和するために支給されていましたが、2024年5月で終了となりました。
しかし、新たな支援策が2024年8月より開始されるため、補助金終了の影響は緩和されるかもしれません。なお、この点については後述します。
理由③賦課金引き上げ
賦課金(ふかきん)は、主に再生可能エネルギーの普及を促進するためのもので、2023年度の1.40円から2024年度には3.49円に引き上げられました。この「再エネ賦課金」の引き上げも、電気料金の値上げに影響を与えています。
関西電力の値上げはいつから?
関西電力の電気料金は「再エネ賦課金」の引き上げの影響で、4カ月連続で値上がりしています(2024年7月時点)。平均的な家庭では、4カ月前と比べて約1,500円の値上がりとなっています。
さらに、政府の補助金終了に伴い、6月・7月請求分が値上がりしています。平均的な家庭で、6月請求分は5月より442円高い7,196円、7月請求分は6月より468円高い7,664円となっています。
関西電力の電気代の推移
関西電力の電気代の推移(2023年12月〜2024年7月)を紹介します。
値上げが顕著になった2024年6月ですが、他の月と比べると電気代が低くなっています。このように、電気代は季節要因が大きく関係します。一般に電気代が最も高くなるのは、暖房代がかかる1〜3月の請求分です。
値上げで電気代はいくら高くなる?
関西電力の電気料金は以下の要素で構成されています。
基本料金:
契約しているアンペア数に応じて固定的に課される料金です。
電力量料金:
実際に使用した電力量に基づいて課される料金です。
燃料費調整額:
燃料価格の変動に応じて毎月調整される料金です。
再エネ賦課金:
電力量に応じて課され、電気料金に追加されます。
これらのうち値上げの対象となっているのが、燃料費調整額と再エネ賦課金です。
再エネ賦課金の値上げについては前述のとおりです。さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
再エネ賦課金とは?電気代への影響について解説
燃料費調整額の値上げについては、料金プランによって金額が異なります。例えば「従量電灯A」と「なっトクでんき」の燃料費調整単価は以下のように改定されています。
従量電灯A | なっトクでんき | |
---|---|---|
2023年1月 | 10.91円/kWh | 1.20円/kWh |
2023年2月 | 4.20円/kWh | 2.03円/kWh |
2023年3月 | 3.54円/kWh | 2.24円/kWh |
2023年4月 | 2.67円/kWh | 2.24円/kWh |
2023年5月 | 1.94円/kWh | 2.24円/kWh |
2023年6月 | 1.07円/kWh | 2.24円/kWh |
2023年7月 | 0.05円/kWh | 2.24円/kWh |
2023年8月 | -1.08円/kWh | 2.24円/kWh |
2023年9月 | -2.00円/kWh | 2.24円/kWh |
2023年10月 | 1.02円/kWh | 2.24円/kWh |
2023年11月 | 0.77円/kWh | 2.24円/kWh |
2023年12月 | 0.58円/kWh | 2.24円/kWh |
2024年1月 | 0.59円/kWh | 0.59円/kWh |
2024年2月 | 0.67円/kWh | 0.67円/kWh |
2024年3月 | 0.89円/kWh | 0.89円/kWh |
2024年4月 | 0.92円/kWh | 0.92円/kWh |
2024年5月 | 0.96円/kWh | 0.96円/kWh |
2024年6月 | 2.52円/kWh | 2.52円/kWh |
2024年7月 | 4.08円/kWh | 4.08円/kWh |
2024年8月 | 3.89円/kWh | 3.89円/kWh |
参照:過去の燃料費調整単価
値上げによる具体的な影響
関西電力の値上げが、家庭の電気代に与える具体的な影響について説明します。
1人暮らしの場合
1人暮らしの平均的な電気使用量は約280kWhです。関西電力の値上げ幅を考慮すると、電気代は以下のように変わります。
請求月 | 請求額 |
---|---|
2023年7月 | 5,738円 |
2024年7月 | 8,346円 |
4人家族の場合
4人家族の平均的な電気使用量は約524kWhです。関西電力の値上げ幅を考慮すると、電気代は以下のように変わります。
請求月 | 請求額 |
---|---|
2023年7月 | 11,861円 |
2024年7月 | 16,660円 |
参照:従量電灯A料金早見表
このように、世帯人数が多い家庭ほど使用量が増えるため、値上げの影響を強く受けます。そこで、効果的な対策が一層求められます。
効果的な値上げ対策とは
電気代の値上げに対処するためには2つのアプローチが考えられます。
- 節電、省エネ対策
- 料金プランの見直し
一つは節電・省エネ対策です。照明やテレビ、パソコンなどの使用時間を減らすことで、電気使用量を抑えることができます。使用していない部屋の電気をこまめに消すことも重要です。
また、冷蔵庫や電子レンジなど消費電力の大きな家電を省エネ性能の高い最新モデルに買い替えることで、電気使用量を効率的に削減できます。
なお、節電・省エネ対策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
電気代を安くしたい!節約のコツとは?
もう一つは料金プランの見直しです。電気代の値上げ対策として、電力会社や料金プランを切り替えることは非常に有効です。
①現在の使用状況を確認:
まず、現在の電力使用量や契約内容を確認します。請求書や電力会社のウェブサイトで確認できます。
②電力会社の比較サイトを利用:
各地域の電力会社を比較するためのサイトを利用すると便利です。複数の電気料金プランを簡単に比較できます。
③料金プランの種類を理解:
電力会社によって提供される料金プランには様々な種類があります。自分のライフスタイルに合ったプランを探してください。
④契約の変更手続き:
新しい電力会社や料金プランを選んだら、契約の変更手続きを行います。多くの場合、新しい電力会社が現在の契約の解約手続きを代行してくれます。
以上のステップを踏むことで、より安価な料金プランを見つけられ、電気代を削減できる可能性があります。
政府の補助金制度について
政府はエネルギー価格の負担を軽減するための緊急対応策として「酷暑乗り切り緊急支援」を実施します。これは2024年8月から10月までの電気・都市ガス料金に対して、使用量に応じて自動的に値引きが適用される制度です。
値引き額は電気と都市ガス、また月によって異なります。 電気料金の場合、8月と9月は1kWhあたり4円、10月には値引き額が減り1kWhあたり2.5円となります。 都市ガス料金の場合、8月と9月は1㎥あたり17.5円、10月は1㎥あたり10円の値引きとなります。
なお、この支援に関して、個人情報や手数料を求める不審な電話が発生しているようです。 値引きを受けるための申請や手続きは不要であり、個人情報や手数料が求められることはありません。不審な電話には対応せず、公式サイト記載の窓口に相談してください。
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
関西電力の値上げの理由とは? |
---|
関西電力の値上げの理由は主に3つあります。燃料費の高騰と政府の補助金の終了、再エネ賦課金の引き上げです。ただし、2024年8月より政府は新たな支援策を開始するため、補助金終了の影響は緩和されるかもしれません。 |
関西電力の値上げの影響とは? |
関西電力の電気料金は「再エネ賦課金」の引き上げの影響で、4カ月連続で値上がりしています(2024年7月時点)。さらに、政府の補助金終了に伴い、6月・7月請求分が値上がりしています。平均的な家庭で、6月請求分は5月より442円高い7,196円、7月請求分は6月より468円高い7,664円となっています。 |
関西電力の値上げの対策とは? |
電気代の値上げ対策は大きく分けて2つです。一つは節電・省エネ対策です。照明やテレビなどの使用時間を減らしたり、冷蔵庫や電子レンジなどを省エネ性能の高い最新モデルに買い替えたりすることで、電気使用量を削減します。もう一つは料金プランの見直しです。より安価で、自分の生活習慣に合ったプランを見つけることが重要です。 |