2026年11月1日から、北陸電力を除く大手電力9社が電気料金を改定しました。各社が公表したモデル家庭(月230〜260kWh前後)では、月254〜590円の値上げです。
ただし11月検針分は日割り計算で、新料金が丸1カ月分かかるのは12月検針分から。さらに国の電気・ガス料金支援も9月使用分で終了しており、秋は負担が2段階で増えます(※冬は12月使用分から補助が再開)。
本記事では、各社の値上げ額一覧、手元の検針票でご家庭の影響額を出す方法、値上げに負けない対策をまとめます。

2026年11月の電力会社値上げは「いつから?なぜ上がる?」

2026年11月の電力会社値上げは「いつから?なぜ上がる?」

今回の料金改定がどのような理由で実施され、実際の請求書へいつ反映されるのかという疑問について整理します。

値上げの理由は「託送料金」の見直し

今回の電気料金改定の主な要因は、発電所から各家庭へ電気を運ぶ送配電ネットワークの利用手数料である「託送料金」の見直しです。
託送料金が見直される理由は、2023年4月から5年間の事業計画で決めた収入見通しを、次の変化に合わせて期中に調整するためです。

  • 物価の上昇
  • 労務費(人件費)の上昇
  • 金利の上昇

託送料金は電気料金の原価に含まれるため、小売電気事業者が設定する販売料金へ転嫁されることになります。

いつの使用分・請求から上がる?日割り計算の仕組み

改定単価は2026年11月1日の使用分から適用されます。ただし、一般家庭の検針日は月途中に設けられているケースが多いため、10月と11月をまたぐ請求期間においては日数に応じた日割り計算が実施されます。
10月31日までの使用分は改定前の旧料金、11月1日以降の使用分は改定後の新料金として計算されるため、11月検針分(10月〜11月上旬使用分)の請求書では値上げの影響は一部にとどまります。改定料金が丸1カ月分満額で反映された請求が届くのは、「12月検針分(11月〜12月上旬使用分)」からとなります。

政府支援(電気代補助金)の一時終了と再開について

さらに注意しておきたいのが、政府による電気・ガス料金の補助金の動向です。秋までの値引き措置は、2026年10月検針分(9月使用分)をもって終了しました。
これにより、11月検針分(10月使用分)と、12月検針分(11月使用分)には国の値引きが適用されません。今回の託送料金見直しによる値上げとタイミングが重なるため、前月と比較して「急激に電気代が上がった」と感じやすくなると考えられます。
しかし、政府は冬の需要期の負担軽減として、2026年12月使用分から2027年2月使用分に再び電気・ガス料金支援を実施します。

今後の値引き単価(一般家庭・低圧)

  • 12月使用分(2027年1月検針分):1.0円/kWh
  • 2027年1・2月使用分(2・3月検針分):4.5円/kWh

出典:資源エネルギー庁「エネルギー価格の支援について」

したがって、冬の支援が再開する前の11月・12月の請求分は、一時的に家計への負担が重くなるタイミングとなります。補助金が適用されない期間や、割引額が少ない月でも無理なく電気代を抑えられるよう、今のうちに料金プランを比較・見直しておくことをおすすめします。

大手電力9社の値上げ額一覧【2026年11月改定】

大手電力9社の値上げ額一覧【2026年11月改定】

経済産業省への届出および各社の公表資料に基づく、大手電力各社の低圧規制料金(従量電灯)におけるモデル世帯の月額影響額一覧は以下の通りです。

電力会社モデル条件月の増額(税込)
北海道電力従量電灯B(30A・230kWh)+481円
東北電力従量電灯B(30A・260kWh)+485円
東京電力EP従量電灯B(30A・260kWh)+254円
中部電力ミライズ従量電灯B(30A・260kWh)+395円
北陸電力—改定なし
関西電力従量電灯A(260kWh)+407円
中国電力従量電灯A(260kWh)+363円
四国電力従量電灯A(260kWh)+478円
九州電力従量電灯B(30A・250kWh)+367円
沖縄電力従量電灯(260kWh)+590円

※各社公表のモデル家庭の、託送料金見直しによる月額の増加分(税込)です。実際の請求額は燃料費調整額・再エネ賦課金・使用量で変わります。モデル条件は各社で異なるため、増額を会社間で単純比較はできません。

▼ 各電力会社の公式お知らせ・詳細ページ

各社の基本料金・最低料金および電力量料金の改定前後一覧

各電力会社における料金内訳(基本料金・最低料金および電力量料金単価)の改定内容は以下の通りです。

電力会社主な対象プラン基本料金(10A) or 最低料金電力量料金
北海道電力従量電灯B・C418.00円→572.10円+0.08円/kWh
東北電力従量電灯B・C369.60円→410.71円+1.39円/kWh
東京電力EP従量電灯B・C311.75円→392.06円+0.05円/kWh
中部電力ミライズ従量電灯B・C321.14円→447.92円+0.05〜0.06円/kWh
北陸電力———
関西電力従量電灯A522.58円→763.81円+0.68円/kWh
中国電力従量電灯A759.68円→983.37円+0.57円/kWh
四国電力従量電灯A666.89円→953.13円+0.77円/kWh
九州電力従量電灯B・C316.24円→441.69円▲0.04円/kWh
沖縄電力従量電灯643.05円→767.82円+1.86円/kWh

自由料金プランも多くが見直し対象

大手電力の自由料金プラン(東京電力の「スタンダードS/L」や各社の時間帯別プラン、オール電化向けプランなど)も多くは11月1日から見直し対象ですが、反映の時期や幅はプランごとに異なります。新電力も各社が発表しており、反映の程度は会社次第です。ご契約のプランのお知らせをご確認ください。

地域で異なる値上げの傾向

今回の改定内容を精査すると、契約容量に応じて毎月固定でかかる「基本料金(最低料金)」の引き上げ幅が大きいことが共通の特徴です。
そのうえで、東北・関西・中国・四国・沖縄は電力量料金単価も0.57〜1.86円/kWh上がるため、使用量が多い冬は増額がさらに大きくなります。東京・北海道・中部・九州はほぼ据え置き(九州は−0.04円)です。

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我が家の影響額はいくら?検針票(マイページ)の3大確認項目

我が家の影響額はいくら?検針票(マイページ)の3大確認項目

各家庭における負担増を割り出すために、手元の検針票またはWEBマイページで以下の3点を確認しておきましょう。

  • 契約プラン名:現在契約中のプランが「従量電灯(規制料金)」か、時間帯別プラン等を含む「自由料金プラン」かを確認します。
  • 契約容量(アンペア数 / kVA):東京電力や中部電力などのエリアでは、アンペア数が基本料金の値上げ額を直接左右します。
  • 月間使用量(kWh):関西電力や中国電力など従量単価の引き上げ幅が大きい地域では、使用電力量が負担増の主要因となります。

各家庭での影響額は、以下の計算式で概算できます。

基本料金の改定差額 + (電力量単価の改定差額 × 月間使用量kWh) = 月々の増額幅

世帯人数・使用量別の月額影響額【東京電力エリア】

公式発表のモデル世帯(月間使用量260kWh)の数値だけでは、単身世帯や多人数世帯における実態がつかみにくいでしょう。そこで、基本料金主導型である東京電力エリア(従量電灯B)を基準に、世帯人数別の試算結果を整理しました。

世帯区分・想定使用量契約アンペア基本料金の上昇額電力量料金の上昇額月額影響額(合計・概算)
単身世帯(約150kWh)20A+約161円+約8円+約169円
2〜3人世帯(約300kWh)30A+約241円+約15円+約256円
4人以上世帯(約450kWh)40A〜50A+約321〜401円+約23円+約344〜424円

※東京電力エナジーパートナーの改定単価(従量電灯B:30Aで基本料金+240.93円、電力量料金+0.05円/kWh)に基づき試算。

東京電力エリアなどのアンペア制地域では、契約容量が大きいほど毎月の固定費負担増が顕著になります。一方で、これから冬に向けて使用量が増えても、単価自体の上がり幅は小さいため、増額分のほとんどは基本料金の差額によって占められます。

新電力各社の改定動向と契約上の注意点

新電力が家庭へ電気を供給する際も地域の一般送配電事業者の電線網を利用しているため、今回の値上げの影響を受けることになります。ソフトバンクでんきなど複数の新電力が11月1日の料金改定を発表しています。

確認すべき「約款の改定通知」と「調整費」

新電力を利用しているご家庭では、登録メールアドレスや会員マイページに届く「電気供給約款の変更通知」を必ず確認してください。特に「電源調達調整費」や市場連動型プランを採用する会社では、調整額の算定基準や反映時期が変わっていないか、各社のお知らせで確認しましょう。

2026年11月以降の電気代を抑えるための具体策

2026年11月以降の電気代を抑えるための具体策

ここまで値上げの影響について解説しましたが、電気代の負担を少しでも和らげるための対策をご紹介します。

対策1:契約アンペア(容量)の見直し

基本料金が大きく引き上げられたエリアにお住まいの場合、契約アンペア数を下げることで固定費を削減できます。例えば東京電力エリアなら、40Aから30Aで基本料金が月392.06円下がり、今回の増額(モデル家庭で254円)を上回ります。関西・中国・四国・沖縄のような最低料金制ではアンペアによる基本料金の差はありません。

対策2:改定後単価を踏まえた新電力・他社プランへの切り替え

「大手も新電力も一律に値上げするなら同じ」ではありません。 電力会社によっては、「基本料金が0円のプラン」や「通信費やガスとのセット割引」、「ポイント還元が手厚いプラン」など多様なサービスを提供しています。
使用量や契約内容によっては、プランの見直しで電気代が下がる可能性があります。ただし、燃料費調整額の上限の有無・市場連動型かどうか・解約違約金の設定・ポイント還元の利用状況によって、かえって高くなる場合もあります。単価だけでなく、これらの条件も含めて比較しましょう。

【エネピで診断】最新単価に対応した料金シミュレーション

電気料金の比較には、専門サイトのシミュレーションを活用することをおすすめします。 エネピなら、お住まいの地域と使用量に合わせて電力会社のプランを一括で比較できます。料金改定後の最新プランの中から、どれくらい安くなるのか無料で確認できますので、ぜひエネピの料金シミュレーションを利用してみてください。

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電力会社の値上げに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 11月分の請求書を見てもあまり値上げされていないのはなぜですか?

11月検針分の請求は、10月31日までの旧料金と11月1日以降の新料金を日数按分する「日割り計算」が適用されるため、値上げの影響は一部です。ただし10月使用分から国の支援が終了しているため、請求額は補助終了分だけ上がっている場合があります。

Q2. オール電化住宅向けのプランも値上げの対象となりますか?

多くの会社で見直しの対象です。中部電力ミライズのオール電化向け(スマートライフプラン)は、11月1日の見直しに加え、2027年4月にも時間帯別単価の変更が案内されています。契約先の公式案内でご確認ください。

Q3. 値上げを理由に電力会社を切り替える場合、違約金は発生しますか?

大手電力の「従量電灯」であれば解約違約金は発生しません。新電力や自由料金プランにおいても大半は解約金不要ですが、一部の長期割引プランなどでは契約解除料が設定されているケースがあります。各社の約款・料金表で確認してください。

まとめ

2026年11月に実施される電気料金改定の要点は以下の通りです。

  • 料金改定の施行:大手電力9社が11月1日から改定(北陸電力は今回の改定対象外)。新電力は各社の発表に沿って反映される。
  • 請求への反映時期:11月検針分は日割り計算のため影響は限定的であり、新単価が満額反映されるのは12月検針分からとなる。
  • 政府補助金の影響:冬本番には再び補助が受けられるものの、補助が途切れる11月・12月請求分の負担感は重くなると考えられます。

これからの季節は電気代の負担がより重く感じられる時期となります。値上げの影響を最小限に抑えるために、契約プラン・電力会社の切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。まずはご自身の検針票を手元にご用意のうえ、エネピの料金シミュレーションで、ご家庭にぴったりのプランを比較してみてください。

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エネルギー事業部責任者

今村 一優

新卒で太陽光発電事業を行うベンチャー企業に入社。商社部門の仲卸営業として、国内外の太陽光発電メーカーの商品を取り扱い、全国の販売施工会社を担当。その後、太陽光発電の一括見積もりサイト運営にも携わる。
2015年にはプロパンガス料金比較サービスenepi(エネピ)の立ち上げを行い、数万人のプロパンガス代削減のサポートをするサービスへ成長させる。
エネルギー領域で10年以上携わった経験と知識を活かして、じげんエネルギー事業のマネージャーにて事業開発を行なっている。

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ライター

藤巻 創

電気・プロパンガスに関する記事のライティングを担当。
制作ポリシーに基づいてエネルギー全般の記事作成・管理を行う。