CP(contract price)とは
CP(contract price)とは、プロパンガス(LPガス)の価格を左右する重要な指標です。
CPはサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが、プロパンガス産出国の入札価格などを基に決定。世界のプロパンガス輸出国の港で用いられています。ちなみに単位は、$/t(dollar/ton)です。
CPには運送料や保険料が含まれていません。あくまで貨物料で取引されています。このような貿易条件をFOB(Free on Board)といいます。
一方、運送料や保険料を含めた価格で取引する貿易条件をCIF(cost,insurance and freight)といいます。
またMB(Mont Bellevue)という、CPと同様の指標があります。MBはアメリカのテキサス州、モントベルビュー地区のプロパンガス基地における取引価格です。
アメリカ全土のプロパンガス原料が同基地に集められるため、MBはCPと並ぶ重要な価格といえます。
ちなみに、日本は自国で消費しているプロパンガスの大半を、海外からの輸入でまかなっています。そして輸入量の約7割はアメリカによるのです。
出典:日本LPガス協会
原油価格とCPの関係
原油価格とは
原油価格とは、原油を取引する際の価格です。地域によって指標は異なりますが、主に次の3つが用いられています。
ヨーロッパの指標となるブレント原油価格、アメリカの指標となるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)、そして日本を含むアジアの指標となるドバイ原油価格です。
実は、原油価格はCPと深く関連しています。
以下のグラフをご覧ください。
出典:
財務省貿易統計/概況品別表
ENEOSグローブ株式会社/CP情報
上記は、2021~22年の原油価格とCPの推移をグラフにしたものです。
このように、CPが上昇すると原油価格も上昇します。
ただ、2022年後半からは、原油価格とCPは反対の動きをみせています。
これは、中国やインドにおける需要減少が原因でしょう。
コロナウイルスによるロックダウンや、ロシアのウクライナ侵攻に端を発するエネルギー供給体制の変化によって、中東の原油が余ってしまい、値崩れを起こしたと考えられます。
とはいえ、CPが原油価格の一つの指標であることは間違いありません。
その理由を、以下で解説していきます。
原油価格とCPが相関する理由
原油価格とCPが相関する理由は、CPの判断材料の一つが原油価格であるためです。
前述のとおり、CPの決定権を持っているのはサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコです。
サウジアラムコは、CPを決める際、世界のプロパンガス産出国のスポット入札価格や、原油価格の動向を参考にしています。
つまり、原油価格はCPに対して一定の影響力を持っており、そのため両者の間に相関関係がうまれるのです。
ちなみに、プロパンガスの原料は、油田や天然ガス田の中にあるガスです。
原料となるガスは特殊な設備で分離・精製され、実際に家庭に供給されるプロパンガスがつくられます。
そのため原油の価格が上がると、そこから原料を得ているプロパンガスの価格も連動して上がってしまうのです。
CPとプロパンガス料金の関係
前項で述べたとおり、原油価格とCPは相関しており、原油価格の高騰はそのままCPの高騰に直結します。
そしてCPの高騰は、一般家庭の「プロパンガス料金の値上げ」を意味するのです。
ちなみに、一般家庭に供給されるプロパンガスの料金は、プロパンガスの元売業者が決定する「仕切り価格」によって上下します。
そして「仕切り価格」が上がると、元売業者からプロパンガスを購入する小売業者が利益を維持するために、消費者へ販売するプロパンガスの料金を引き上げる、という構造になっているのです。
なお、このようなプロパンガスの供給体制について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
CPの最新動向
最新CPは以下のとおりです。
プロパン:625 $/トン(前月対比:+$20)
ブタン :620 $/トン(前月対比:+$25)
ちなみに「プロパン」と「ブタン」はどちらもLPガスの主原料ですが、一般家庭に供給されるプロパンガスの主原料は「プロパン」です。したがって、一般家庭におけるプロパンガス料金に影響を与えるのは「プロパン」のCPです。
今後、プロパンガスの値上げはあるのか
プロパンガス料金の値上げはあるのか?
それはつまり、
CPの値上げはあるのか?
という問いでもあります。
繰り返しになりますが、CPはヨーロッパやアメリカ、アジアなどの原油価格に左右されます。
たとえば、ヨーロッパでは脱炭素化が強調され原油の需要が落ちていますし、アメリカでは利上げによる景気後退懸念から原油市場が軟化しています。
一方、中国ではコロナウイルスによる規制が緩和されたことで、原油の需要増が見込まれます。
また、サウジアラビアを含む原油産出国が運営するOPECは、原油の「追加減産」や「価格引き上げ」を実施する可能性が高い。
このように、世界の各地域の経済状況や政治状況が反映されるため、CPの先行きは不透明といえます。だからこそ、ご自宅のプロパンガスの検針票にきちんと目を通し、料金体系に変動がないか確認することが肝要です。
プロパンガスを値上げされたときの対策
もしプロパンガス料金の値上げが行われたら、まず注意しなければいけないことがあります。
それは、「不当な値上げではないか」です。
そこで、重要な指標となるのがCPです。
CPが上がっていないにも関わらずプロパンガスの値上げが行われたとき、またはCPの上げ幅以上の大幅な値上げが行われたときは要注意です!
実は、プロパンガス会社の中には、利益率を上げるためだけに、不当な値上げを行う会社も存在します。
そのような悪徳ガス会社と契約していると、不当な値上げを何度も繰り返され、相場よりずっと高いガス料金を請求される恐れがあります。
もしかすると、ガス料金が高い原因は「ガスの使いすぎ」ではなく、ガス会社の「不当な値上げ」かもしれないのです。
ちなみに、各地域のプロパンガス料金の相場を以下記事にまとめています。ぜひご自宅のプロパンガス料金と引き比べてみてください。
もし、ご自宅のプロパンガス料金が相場より高い場合は、「ガス会社の切り替え」を検討するべきでしょう。
その折は、ぜひenepiをご利用ください!
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まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
CPとは何ですか? |
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CPとは、サウジアラビアの国営石油会社が決定している価格です。CPは原油の取引価格の指標の一つとされています。また、プロパンガスの価格を左右する数値として観測されています。 |
CPが上がると何が起きるのですか? |
CPが上がると、一般消費者のプロパンガス料金も上がります。これはCPと原油価格が相関関係にあるためです。ちなみに両者が相関する理由は次の2点です。①プロパンガスの原料が原油であるため、②CPの判断材料が原油価格の推移であるため。 |
プロパンガス料金が上がってしまったら、何をすればいいですか? |
まずは、値上げの理由を確認しましょう。CPの変動など正当な理由であれば一定の値上げはやむを得ません。しかし、ガス会社の恣意的な値上げ、つまり不当な値上げが行われたのであれば、対策をとりましょう。具体的には「ガス会社の切り替え」をおすすめします。その折は、ぜひenepiで信頼できるガス会社を見つけてくださいね。 |