
CP(contract price)とは
CPとは、LPガスの取引に関する指標です。
サウジアラビア王国の国営石油会社であり、世界最大の原油輸出量を誇るサウジアラムコ社(Saudi Aramco)が独自に決定しています。
この指標は、1994年10月に導入されました。
そして現在まで、LPガス価格を左右する重要な指標として観測されています。
CPは、サウジアラムコ社が世界のLPガス産出国の入札価格の情勢などを基に、一方的に取引先国へ通達されるのが通例です。
主にサウジアラビアをはじめとするLPガス輸出国の港で用いられる船積み価格で、$/tという単位で表されます。
国際貿易の基本条件とされる指標:CIF(cost,insurance and freight)と異なり、運送にかかるコストや為替の変動が価格に反映されていません。
また、類似の指標としてMB(Mont Bellevue)があります。
こちらは米国モントベルビュー市のLPガス基地における取引価格を指します。
米国全土のLPガスの原料がモントベルビューのLPガス基地に集められるため、このMBはCPと並ぶ重要な指標です。
現在の日本では、おおよそCP70%、MB30%の割合で考慮してLPガスの元売り価格を決定しています。
ただし、この割合は実際のLPガスの輸入割合とは連動していません。
実際には、日本におけるLPガスの輸入元の70%はサウジアラビアではなく米国となっています。
原油価格とCPの関係
原油価格とは
原油価格とは、原油の取引の際の価格です。
国際的な指標として、イギリスのブレント油田から算出されるブレント原油価格などがあります。
過去にこの原油価格が高騰した際には、「オイルショック」「石油ショック」という名前で社会問題にも発展しました。
そのため、今でも定期的にチェックされている方も多いかもしれません。
実は、この原油価格とLPガスの料金を決めるCPは深く関連しています。

出典:石油情報センター
上記の表は、2018年1月から2019年12月までの原油価格とCPの推移をグラフにしたものです。
見ての通り、原油価格とCPは、ほぼ同じ推移をしています。
つまり、相関関係にあるということです。
なぜ、原油価格とCPは相関するのか
原油価格とLPガスの価格を決めるCPが相関関係にあるのには、主に2つの理由があります。
①LPガスの原料の一つに原油があるため
LPガスは、油田や天然ガス田の中に含まれるガスが原料となっています。
この原料となるガスを、特殊な設備で精製・分離することで、ご家庭に届けられるLPガスが作られています。
このようにLPガスの原料との一つとして原油が存在するため、原油価格が上がると、それを基に作られるLPガスの価格も連動して高くなります。
②CPの判断材料として、原油価格の推移が含まれているため
サウジアラムコ社がCPを決定する際には、世界のLPガス産出国のスポット入札価格にあわせ、原油価格の動向も考慮に含まれます。
そのため、原油価格の変動がCPに反映されています。
CPがあがると一般消費者のガス料金も値上げされる
上記の通り、原油価格とCPは相関関係にあるため、原油価格の高騰はそのままCPの高騰を指します。
また、CPの高騰は一般消費者に届けられるLPガス料金の値上げに繋がります。
一般消費者に届けられるLPガスの料金は、アストモスエネルギー、伊藤忠商事などのLPガス元売り業者(LPガスを他国から輸入・生産し、国内のLPガス卸売業者へ販売する業者)が定める、「仕切り価格」に連動して変わります。
この仕切り価格の決定に、CPが70%・MBが30%ほど考慮されているため、CPの値段が上がると仕切り価格が上がります。
そして仕切り価格があがると、利益率を維持するために小売業者が消費者へ販売するLPガスの料金を引き上げる……という仕組みになっています。
2020年3月現在のCPは?
2020年3月のCPが、2020年3月1日に発表されました。
プロパン:430 $/トン(前月対比−$75)
ブタン:480 $/トン(前月対比−$65)
先月のCPに対して、8%ほどの値下げが見られます。
この値下げの原因としては、コロナウイルスの影響による世界経済の停滞、暖冬による燃料需要の低下が主な原因として考えられます。
今後、ガス料金の値上げはある?
上述の通り、一般消費者に届けられるガスの料金は原油価格・CPや世界の経済情勢と連動しています。
そのため、コロナウイルスによる経済の停滞が長期化するようであれば、原油価格・CPの上昇に伴ってガス料金の値上げが起こる可能性もあります。
ご自宅で利用しているガス会社の料金プランが値上げされてないかどうかは、毎月の検針票でしっかりと確認しておきましょう。
ガス代が高いと感じる時は、ガス会社を見直しましょう
ガス料金の値上げが行われる際、注意しなければいけないことがあります。
それは、「値上げが不当なものでないかどうか」です。
プロパンガス会社の中には、CPの上昇などの事実がなくても、利益率を上げるためだけに料金の値上げをするガス会社も少なくありません。
また、CPの上昇幅以上に大きな値上げを不当に行うケースもあります。
このような悪徳なガス会社と契約している場合には、何度も不当な値上げが繰り返されます。
その結果、地域の相場価格よりも大幅に高いガス料金を払わされていることが非常に多いです。
ご自宅のガス請求額が高いのは、もしかすると「ガスを使いすぎたから」ではなく、プロパンガス会社の不当な値上げのせいかもしれません。
地域のプロパンガス料金の相場や適正価格を知りたい場合には、「プロパンガスの料金比較」を行ってみましょう。
enepiを利用すれば、プロパンガス会社の料金プランをWEB上で確認することが可能です。
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
cpとは何ですか? |
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CPとは、LPガスの取引に関する指標です。LPガス価格を左右する重要な指標として観測されています。サウジアラビア王国の国営石油会社であり、世界最大の原油輸出量を誇るサウジアラムコ社(Saudi Aramco)が独自に決定しています。 |
原油価格とCPの関係について教えてください。 |
原油価格とは、原油の取引の際の価格です。この原油価格とLPガスの料金を決めるCPは深く関連しており、相関関係にあるといえます。相関関係にある理由に、①LPガスの原料の一つに原油があるため ②CPの判断材料として、原油価格の推移が含まれているため の2つのがあります。 |
cp上がるとどうなるのですか? |
CPがあがると一般消費者のガス料金も値上げされます。また、ガスの料金は原油価格・CPや世界の経済情勢と連動しているため、コロナウイルスによる経済の停滞が長期化するようであれば、原油価格・CPの上昇に伴ってガス料金の値上げが起こる可能性もあります。 |
LPガスの価格を決めるCPは、原油価格と相関関係にあります。
そのため、原油価格の上昇が見込まれている状態が続くと、CPが上昇し、結果としてLPガスの料金も連動して高くなります。
LPガスの料金の値上げが行われたかどうかは検針票を見ることで確認することができるので、毎月の検針票は忘れずに確認しましょう。

