電力自由化により多くの会社から電気を選べるようになりましたが、情報が多く比較が難しいと感じることもあるかもしれません。この記事では、関西電力とauでんきについて、以下の点を中心に詳しく比較・解説します。
- 料金プランと燃料費調整額の違い
- ポイント還元を含めた実質的なお得度
- auでんき、関西電力それぞれのメリット
- 乗り換え(切り替え)の手順と注意点
関西電力エリアにお住まいで、「最近の電気代が気になる」「auでんきに切り替えると本当にお得になるのだろうか」といった悩みを抱えている方は、ぜひ参考になさってください。
早分かり比較:auでんきと関西電力、どちらを選ぶべき?
まずは、どのような方にどちらの電力会社が向いているかを整理します。以下の比較表は、典型的なユーザータイプ別に判断基準を示したものです。
| 利用者タイプ | 推奨電力会社 | 最重要判断ポイント |
|---|---|---|
| au/UQ mobileユーザーで、au PAYゴールドカード利用者 | auでんき | Pontaポイントの相乗効果による圧倒的な還元率 |
| 電気代の急騰リスクを避けたい、安定志向の家庭 | 関西電力 (従量電灯A) | 燃料費調整額の上限設定による料金の安定性 |
| オール電化住宅に住み、特定の時間帯に電力使用が集中する家庭 | 比較検討が必要 | 両社が専用プランを提供。時間帯別単価とライフスタイルの適合性がカギ |
| Pontaポイント経済圏以外のポイント(PayPay, Vポイント等)を重視する方 | 関西電力 | 「はぴeポイント」の豊富な交換先による高い柔軟性 |
この表を参考に、ご自身の状況に最も近い項目から詳細な分析へと読み進めることで、後悔のない選択が可能となるでしょう。
徹底比較①:料金プランの選択肢と価格設定
電気料金の比較において、消費者が最初に注目するのは基本料金や電力量料金単価です。しかし、関西エリアにおけるauでんきと関西電力の比較では、その視点だけでは不十分です。ここでは標準プランと、2025年の新たな競争軸となるオール電化プランについて分析します。
標準プラン(従量電灯A vs. でんきMプラン):料金単価の項目別比較
関西電力の最も一般的な家庭向けプラン「従量電灯A」と、auでんきの標準プラン「でんきMプラン(関西)」の料金体系は似通っています。以下の表が示す通り、最低料金および三段階の電力量料金単価は、両社で同一に設定されています。
| 項目 | 区分 | 関西電力「従量電灯A」 | auでんき「でんきMプラン(関西)」 |
|---|---|---|---|
| 最低料金 | ~15kWh | 522.58円 | 522.57円 |
| 電力量料金 | 15kWh~120kWh | 20.21円 | 20.20円 |
| 120kWh~300kWh | 25.61円 | 25.60円 | |
| 300kWh~ | 28.59円 | 28.58円 |
したがって、同じ量の電気を使用した場合、請求書に記載される基本料金と電力量料金の合計額に、実質的な差は生じません。そこで、どちらの会社が「安い」かを判断するためには、次に解説する「燃料費調整額」に目を向ける必要があります。
価格を分ける隠れた要因:燃料費調整額
燃料費調整額とは、発電に必要な原油、LNG(液化天然ガス)、石炭などの燃料価格の変動を電気料金に反映させるための調整額です。この調整額の算定方法に、両社の違いが存在します。
関西電力(従量電灯A): 国の認可を受けた規制料金プランであり、燃料費調整額に上限が設定されています。これは燃料価格が異常に高騰しても、消費者が支払う調整額は一定のラインで止まることを意味します。
auでんき: 自由料金プランであり、原則として燃料費調整額に上限がありません。燃料価格の変動が直接的に電気料金に反映されます。
例えば、2022年から2023年にかけて見られた世界的な燃料価格の高騰局面では、関西電力の上限設定が電気代の急騰を一部抑制しました。実際の平均燃料価格が上限価格を大幅に上回った月において、上限のある「従量電灯A」の契約者は、上限のないプランの契約者に比べて、結果的に月々数千円、年間では数万円単位の負担増を免れることができました。
つまり、関西電力の「従量電灯A」を選ぶことは、将来の価格急騰リスクに対する「保険」をかけるようなものであり、予算の安定性を最優先する家庭にとって合理的な選択です。一方で、auでんきを選ぶことは、燃料価格が安定または下落する局面ではより大きな恩恵を受けられる可能性があるものの、高騰局面ではそのリスクを直接的に負うことを意味します。
この選択は、世界経済の動向に対する個々の見通しと、家計のリスク許容度に委ねられていると言えるでしょう。
新たな比較点:オール電化プラン(はぴeタイムR vs. auでんきオール電化プラン)
従来、オール電化住宅の利用者は実質的に関西電力の専用プラン一択でした。しかし、2025年10月1日よりauでんきが関西エリアでオール電化向けプランの提供を開始することで、電力使用量の多いオール電化家庭においても比較検討の機会が生まれました。
両社のプランは、時間帯によって電力量料金単価が変動する「時間帯別電灯契約」が基本となります。以下に、関西電力の既存プラン「はぴeタイムR」と、auでんきの新プランの料金体系を比較します。
| 項目 | 時間帯 | 関西電力「はぴeタイムR」 | auでんき「オール電化プラン(関西)」 |
|---|---|---|---|
| 基本料金 | 最初の10kWまで | 2,409.40円 | 2,409.40円 |
| 10kWを超える1kWにつき | 416.94円 | 416.94円 | |
| 電力量料金 | デイタイム (平日10-17時) | 夏季: 28.87円 / その他季: 26.24円 | 夏季: 28.87円 / その他季: 26.24円 |
| リビングタイム (平日7-10時, 17-23時 / 休日7-23時) | 22.80円 | 22.80円 | |
| ナイトタイム (毎日23-翌7時) | 15.37円 | 15.37円 |
ここで重要となるのは各家庭の電力消費パターンです。例えば電気自動車(EV)の充電や、エコキュートの稼働を深夜の「ナイトタイム」に集中させることができる家庭では、ナイトタイムの料金単価がわずかでも安いプランが有利になります。逆に日中の在宅時間が長く、「デイタイム」の電力消費が多い家庭ではデイタイムの単価が選択の決め手となります。
auでんきの参入はオール電化家庭に対して、自らのライフスタイルを詳細に分析し、最も経済的なメリットが大きいプランを能動的に選択するという、新たな機会を提供したと言えます。
徹底比較②:両社メリット:ポイント特典の違い
料金プランの価格設定に大きな差がない以上、両社の競争力は付加価値、特にポイント特典に集約されます。両社のポイント特典は異なる戦略に基づいています。auでんきが自社経済圏への深いコミットメントを求める「垂直統合型」であるのに対し、関西電力は多様なサービスと連携する「水平連携型」のアプローチをとっています。
auでんきのPontaポイント経済圏で価値を最大化
auでんきの最大の魅力は、電気料金の支払いがPontaポイントの獲得に直結する点です。現在のポイント還元率は以下の通りです。
- 月額電気料金(税抜)8,000円未満: 0.5%
- 月額電気料金(税抜)8,000円以上: 1%
ただし、この基本還元率だけでは大きなメリットとは言えません。auでんきの真価は、auの金融サービスとの連携によって発揮されます。特に「au PAY ゴールドカード」での支払いは、ポイント還元を飛躍的に高める手段となります。ゴールドカード特典により、公共料金の支払いで追加のポイント還元が適用されるため、実質的な還元率は大幅に向上します。
さらに、UQ mobileユーザーであれば「自宅セット割」が適用され、通信料金が割引になるなど、au経済圏全体でのメリットを享受できます。
注意点として、ポイント還元の計算対象は「基本料金(または最低料金)と電力量料金の合計額(税抜)」であり、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金は対象外です 。これにより、実際の請求総額に対する還元率は見かけよりも低くなる場合があります。
関西電力「はぴeポイント」プログラムの魅力
関西電力の「はぴeポイント」は、auでんきのように電気料金に直接連動した高い還元率を常時提供するものではありません。ポイントは主に、会員サイト「はぴeみる電」で料金を確認したり、ガスを契約(1,000円につき5ポイント)したりすることで貯まります。
一見すると見劣りするように思えるこのプログラムの最大の強みは、その柔軟性にあります。貯まった「はぴeポイント」は「1ポイント=1円」として電気・ガス料金の支払いに充当できるだけでなく、多種多様な他社ポイントに交換することが可能です。
主な交換先には「PayPayポイント」「Vポイント」「dポイント」「楽天ポイント」といった主要なポイントサービスのほか、「Pontaポイント」も含まれており、利用者は自身のメインの「ポイ活」に合わせて自由に選べます。
これは特定の経済圏に縛られることなく、幅広い消費者のニーズに応えようとする戦略です。Pontaポイント以外のポイントを主に貯めている利用者にとっては、auでんきでPontaポイントを貯めるよりも、関西電力で得たポイントを普段使いのポイントに交換する方が、実質的な価値が高くなる可能性があります。
徹底比較③:サービスと供給品質
電力会社の選択は、料金やポイントだけでなく、サービスの使い勝手やサポート体制といった定性的な要素も考慮して総合的に判断すべきです。
これまでの分析を基に、両社の強みと弱みを再整理します。
| auでんき | 関西電力 | |
|---|---|---|
| 強み | ・au/UQ mobileやau PAYゴールドカード利用者への高いポイント還元・「auでんきアプリ」による使用量の可視化と節電意識の向上・通信サービスとのシームレスな連携 | ・燃料費調整額の上限設定による料金の安定性・オール電化や時間帯別など多様な料金プランの提供・「はぴeポイント」の交換先が豊富で柔軟性が高い・インフラ企業としての長年の実績と信頼感 |
| 弱み | ・燃料費調整額に上限がなく、価格高騰リスクを直接負う・基本のポイント還元率が過去より低下・au関連サービス非利用者にはメリットが薄い | ・電気料金に応じた直接的なポイント還元率が限定的・特定の通信キャリアとの強力なセット割引がない |
サービス品質、サポート体制、デジタルツールの比較
デジタル体験: 「auでんきアプリ」は日別・時間別に使用量をグラフで確認できる機能が多くの利用者から評価されており、節電への貢献が期待できます。一方で、データの反映が翌日以降と遅れることへの不満の声も見られます 。対する関西電力の「はぴeみる電」は、ポイント獲得の基盤となるポータルサイトであり、料金確認が主な機能です。
顧客サポート: 関西電力は長年のインフラ企業として、従来からの窓口(営業所)や電話など多様なサポートを有していますが、利用者からの評価は分かれており、丁寧な対応を評価する声がある一方で、コールセンターの対応に不満を持つ意見も散見されます 。auでんきのサポートはWebや電話が中心となります。
供給品質と信頼性: 「新電力に切り替えると停電が増えるのではないか」という懸念は不要です。電力の小売事業者がauでんきに変わっても、電気を送るための送配電網(電線や電柱)は従来通り「関西電力送配電株式会社」が管理・運用します。したがって電力供給の安定性や品質、災害時の復旧体制は、どちらの会社を選んでも全く変わりません。
auでんきへの乗り換え(切り替え)手順
電力会社の切り替え手続きは、多くの場合Webサイトで完結し、非常に簡素化されています。
- 準備するもの: 現在契約中の関西電力の「検針票(電気ご使用量のお知らせ)」または「はぴeみる電」の画面を用意します。ここに記載されている「お客様番号」「供給地点特定番号(22桁)」が必要になります。
- auでんき公式サイトから申し込み: au IDでログインし、画面の指示に従って必要情報を入力します。
- 解約連絡は不要: 最も重要な点は、現在契約している関西電力への解約連絡は一切不要であることです。auでんきへの申し込みが完了すると、事業者間で手続きが自動的に行われます。
- スマートメーターへの交換(必要な場合): 自宅の電力メーターが旧式のアナログメーターの場合、遠隔での検針が可能なスマートメーターへの交換工事が行われます。この工事は原則無料で、多くの場合、立ち会いも不要です。
- 利用開始: 申し込みから約1~2週間後、または次回の検針日からauでんきの利用が開始されます。切り替えに伴う手数料や解約金(違約金)は、標準的なプランでは原則として発生しません。
まとめ
関西エリアにおけるauでんきと関西電力の選択は、「高いリターンを求めてリスクを取るか(auでんき)」、それとも「安定性と柔軟性を重視するか(関西電力)」という問いに集約されます。
料金プランの基本設計はほぼ同一であるため、決定を左右するのは「燃料費調整額の上限の有無」と「ポイントプログラムの戦略」の2点です。以下に、最終的な推奨をまとめます。
auでんきを選択すべき方:
- auまたはUQ mobileのユーザーであり、au PAY ゴールドカードを保有、または取得する意思がある方。カードとの連携によるポイント最大化こそが、auでんきの最大のメリットを引き出す鍵です。
- 将来的な燃料価格の変動リスクを許容できる方。価格高騰時には電気代が割高になる可能性を理解した上で、ポイント還元による実質的なお得さを追求する戦略です。
関西電力を選択すべき方:
- 家計の予算を安定させ、予期せぬ電気代の急騰を避けたい方。燃料費調整額の上限設定は、不確実な市場におけるセーフティーネットとなります。
- Pontaポイント以外の多様なポイント(PayPay、Vポイントなど)を積極的に活用している方。「はぴeポイント」の優れた交換柔軟性は、個々のライフスタイルに合わせた価値を提供します。
- 夜間や休日に電力使用をシフトできるなど、特定のライフスタイルに合致し、「eスマート10」のような時間帯別プランのメリットを最大限に享受できる方。
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