「ヱビス電力」を調べると、「料金が高い」という意見に目が行くかもしれません。本記事では、ヱビス電力の料金プランを探るとともに、実際に利用している人々の声を紹介します。電力会社の選択でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
- ヱビス電力の料金プランは大手電力会社より5%安く設定されていますが、燃料費の調整単価が高額になる傾向があります。
- ヱビス電力の契約期間は最低2年間です。2年以内に解約する場合、5,500円〜22,000円の解約金が発生します。
ヱビス電力の概要
ヱビス電力は2017年11月1日に経済産業省より認可を受けた新電力会社で、株式会社シグナストラストが運営しています。
ヱビス電力の供給エリアは沖縄を除く全国です。具体的には、北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力のエリアをカバーしています。
ヱビス電力の主な料金プランは「ヱビスおうちプラン」です。家庭向けに、基本料金と4段階の電力量料金、独自電源調達額、再エネ賦課金で構成されています。また、電力の需給バランスによって料金が変動する「市場連動型プラン」も提供しています。
ヱビス電力の申し込みは、公式サイトを利用するのが一般的です。申し込みフォームに必要事項を入力した後、カスタマーセンターから契約確認の連絡があります。後日、自宅に送付される契約書類を受け取り、手続き完了となります。なお、公式サイト以外に電話やLINEからの申し込みも可能です。
ヱビス電力の契約期間は、原則として供給開始日から2年間となっています。2年以内に解約する場合、以下のように解約金が発生します。
供給開始から6カ月未満:22,000円
6カ月以上1年未満:11,000円
1年以上2年未満:5,500円
なお、ヱビス電力の供給エリア外への引越しする場合や、引越し先でもヱビス電力を継続利用する場合は、解約金が発生しません。
ヱビス電力が向いている人とは
ヱビス電力は契約期間および解約金の制約があるため、長期的な利用を前提に契約するべきです。そのため、例えば以下のような人に向いています。
- 転勤や引っ越しが少なく、生活環境が安定している人
- 電気料金を固定支出として考え、長期的なコストを見越して契約できる人
- 家庭内での電力消費が一定で、急な変動が少ない人
- 電力会社のサービスやプランに満足しており、長期間の利用を希望する人
このように将来のライフスタイルや経済計画を考慮した上で、ヱビス電力の利用を検討してみてください。
ヱビス電力に関するトピック
ヱビス電力の評判や口コミは必ずしも良いとは言えません。評判や口コミは個人の経験に基づいて異なることがありますが、特に注意すべき2つのトピックを紹介します。
- 営業電話が多い
- 独自電源調達額が高い
では各トピックについて詳しく説明します。
営業電話が多い
ヱビス電力からの営業電話に関して、一部の消費者が迷惑と感じているという報告があります。また、特定の電話番号(例:050-3128-2764)が迷惑電話として報告されています。
営業活動の中には、電力会社の切り替えを勧誘する際に「電気代が〇%安くなる」といった説明がされることがありますが、料金プランや解約金についての十分な説明がない場合があるため、注意が必要です。
出典:X
独自電源調達額が高い
ヱビス電力の料金体系に関して、独自の電源調達額が他社と比べて著しく高額になっているという指摘があります。この電源調達額により、実際の電気代が大手電力会社の倍以上になったという報告もあります。
出典:X
ちなみにヱビス電力の独自電源調達額は、大手電力会社の燃料費調整単価に独自の調整費を加算する計算方式です。その結果、例えば東京電力の燃料費調整単価と50円以上※の開きが出るケースも見受けられます。なお、この点については詳しく後述します。
※東京電力/燃料費調整のお知らせ(2024年9月分)
ヱビス電力のメリットとデメリット
ここまでの内容を踏まえ、ヱビス電力のメリットとデメリットを整理してみます。
ヱビス電力のメリット
ヱビス電力は光回線とのセット割引を提供しており、これにより電気の基本料金が1年間無料になります。また、ヱビス電力は太陽光発電所を複数所有しており、再生可能エネルギーの利用を推進しています。
これらのメリットにより、ヱビス電力は環境意識の高い消費者や、光回線とのセット契約を検討している顧客にとって魅力的な選択肢となっています。
ヱビス電力のデメリット
ヱビス電力は提供するプランの種類が限られているため、ニーズに応じた選択肢が不足しています。例えば、オール電化など特定の電力使用パターンを持つ家庭には不向きです。
また、ヱビス電力は契約期間が2年間と定められているため、ライフスタイルの変化や引っ越しの際に解約金が発生する可能性があります。これにより、利用者は自由に契約を見直すことが難しくなります。
また、ヱビス電力では基本料金が30Aから設定されているため、使用量が少ない家では過剰なコストがかかる場合があります。例えば一人暮らしの利用者から、平均1万円を超える請求が続いたという報告もあります。
ヱビス電力の料金プラン
ヱビス電力の家庭用プラン「ヱビスおうちプラン」について詳しく説明します。このプランは、基本料金・電力量料金・電源調達額・再エネ賦課金の4つの要素を合算して算出されます。
基本料金:
契約するアンペア数によって異なります。同プランは30A・40A・50A・60Aから選択可能。
電力量料金:
使用量に応じて段階的に設定されています。同プランは4段階の料金制を採用。
電源調達額:
電力調達コストを反映し、調達費調整額と燃料費調整額が含まれます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金:
国の政策により全ての電力使用者が負担する費用です。
また、このプランには以下の割引やポイント還元が適用されます。
5%割引:
各地域の大手電力会社と比べて、基本料金と従量料金が5%オフとなります。
CNポイント:
月々の電気料金200円につき1ポイントが貯まり、dポイントや楽天ポイントに交換可能です。
セット割引:
ヱビス光とセットで契約すると、基本料金が1年間無料になります。
このプランの最大の特徴は、地域電力会社の価格よりも5%オフが適用される点です。例えば、東京電力のプラン(40Aの場合)と比較すると以下のとおりです。
内訳 | 区分 | ヱビス電力 | 東京電力 |
---|---|---|---|
基本料金 | 40A | ¥1,121.91 | ¥1,180.96 |
電力量料金 | ~120kWh | ¥28.50 | ¥30.00 |
121~200kWh | ¥34.77 | ¥36.60 | |
201kWh~300kWh | ¥34.77 | ¥36.60 | |
301kWh~ | ¥38.66 | ¥40.69 |
参照:ヱビス電力/料金サービス
このように、ヱビス電力の「ヱビスおうちプラン」は基本料金と従量料金でお得感がありますが、電源調達額で大きく加算される場合があるので注意が必要です。
他社の料金プランとの比較
まずは、ヱビス電力と東京電力の電気料金を比較してみます。
世帯人数(使用量※1) | ヱビス電力※2 | 東京電力※3 | 差額 |
---|---|---|---|
1人(261kWh) | ¥9,161 | ¥9,644 | -482 |
2人(376kWh) | ¥13,730 | ¥14,452 | -723 |
3人(409kWh) | ¥15,295 | ¥16,100 | -805 |
4人以上(488kWh) | ¥18,630 | ¥19,611 | -981 |
※1 東京都の戸建住宅の平均値
※2 ヱビスおうちプラン(東京)
※3 スタンダードS
続いて、ヱビス電力と北海道電力の電気料金を比較してみます。
世帯人数(使用量※1) | ヱビス電力※2 | 北海道電力※3 | 差額 |
---|---|---|---|
1人(257kWh) | ¥9,102 | ¥9,581 | -479 |
2人(371kWh) | ¥13,700 | ¥14,422 | -721 |
3人(403kWh) | ¥15,290 | ¥16,095 | -805 |
4人以上(481kWh) | ¥18,613 | ¥19,592 | -980 |
※1 東京都の値を基に「家庭部門のCO2排出実態統計調査」より算出
※2 ヱビスおうちプラン(北海道)
※3 エネとくポイントプラン
続いて、ヱビス電力と東北電力の電気料金を比較してみます。
世帯人数(使用量※1) | ヱビス電力※2 | 東北電力※3 | 差額 |
---|---|---|---|
1人(335kWh) | ¥11,938 | ¥12,566 | -628 |
2人(484kWh) | ¥17,995 | ¥18,942 | -947 |
3人(527kWh) | ¥19,997 | ¥21,049 | -1,052 |
4人以上(628kWh) | ¥24,210 | ¥25,485 | -1,274 |
※1 東京都の値を基に「家庭部門のCO2排出実態統計調査」より算出
※2 ヱビスおうちプラン(東北)
※3 よりそう+eねっとバリュー
続いて、ヱビス電力と中部電力の電気料金を比較してみます。
世帯人数(使用量※1) | ヱビス電力※2 | 中部電力※3 | 差額 |
---|---|---|---|
1人(295kWh) | ¥7,599 | ¥7,999 | -400 |
2人(426kWh) | ¥11,450 | ¥12,053 | -603 |
3人(464kWh) | ¥12,792 | ¥13,465 | -673 |
4人以上(553kWh) | ¥15,515 | ¥16,331 | -817 |
※1 東京都の値を基に「家庭部門のCO2排出実態統計調査」より算出
※2 ヱビスおうちプラン(中部)
※3 ポイントプラン/おとくプラン
続いて、ヱビス電力と北陸電力の電気料金を比較してみます。
世帯人数(使用量※1) | ヱビス電力※2 | 北陸電力※3 | 差額 |
---|---|---|---|
1人(403kWh) | ¥11,384 | ¥11,983 | -599 |
2人(581kWh) | ¥16,735 | ¥17,616 | -881 |
3人(632kWh) | ¥18,472 | ¥19,444 | -972 |
4人以上(754kWh) | ¥22,227 | ¥23,397 | -1,170 |
※1 東京都の値を基に「家庭部門のCO2排出実態統計調査」より算出
※2 ヱビスおうちプラン(北陸)
※3 従量電灯ネクスト
続いて、ヱビス電力と関西電力の電気料金を比較してみます。
世帯人数(使用量※1) | ヱビス電力※2 | 関西電力※3 | 差額 |
---|---|---|---|
1人(280kWh) | ¥6,405 | ¥6,742 | -337 |
2人(404kWh) | ¥9,718 | ¥10,230 | -511 |
3人(439kWh) | ¥10,658 | ¥11,219 | -561 |
4人以上(524kWh) | ¥12,977 | ¥13,660 | -683 |
※1 東京都の値を基に「家庭部門のCO2排出実態統計調査」より算出
※2 ヱビスおうちプラン(関西)
※3 従量電灯A
続いて、ヱビス電力と中国電力の電気料金を比較してみます。
世帯人数(使用量※1) | ヱビス電力※2 | 中国電力※3 | 差額 |
---|---|---|---|
1人(335kWh) | ¥11,953 | ¥12,583 | -629 |
2人(484kWh) | ¥17,838 | ¥18,777 | -939 |
3人(527kWh) | ¥19,536 | ¥20,564 | -1,028 |
4人以上(628kWh) | ¥23,522 | ¥24,760 | -1,238 |
※1 東京都の値を基に「家庭部門のCO2排出実態統計調査」より算出
※2 ヱビスおうちプラン(中国)
※3 スマートコース
続いて、ヱビス電力と四国電力の電気料金を比較してみます。
世帯人数(使用量※1) | ヱビス電力※2 | 四国電力※3 | 差額 |
---|---|---|---|
1人(335kWh) | ¥11,464 | ¥12,067 | -603 |
2人(484kWh) | ¥16,915 | ¥17,805 | -890 |
3人(527kWh) | ¥18,510 | ¥19,484 | -974 |
4人以上(628kWh) | ¥22,195 | ¥23,363 | -1,168 |
※1 東京都の値を基に「家庭部門のCO2排出実態統計調査」より算出
※2 ヱビスおうちプラン(四国)
※3 おトクeプラン
続いて、ヱビス電力と九州電力の電気料金を比較してみます。
世帯人数(使用量※1) | ヱビス電力※2 | 九州電力※3 | 差額 |
---|---|---|---|
1人(307kWh) | ¥7,904 | ¥8,320 | -416 |
2人(443kWh) | ¥11,831 | ¥12,454 | -623 |
3人(482kWh) | ¥13,170 | ¥13,863 | -693 |
4人以上(574kWh) | ¥15,922 | ¥16,760 | -838 |
※1 東京都の値を基に「家庭部門のCO2排出実態統計調査」より算出
※2 ヱビスおうちプラン(九州)
※3 スマートファミリープラン
続いて、ヱビス電力と同様に光回線とセット契約できる電力サービス(auでんき・SBでんき・ドコモでんき)と比較してみます。
世帯人数(使用量※1) | ヱビス電力※2 | auでんき※3 | ソフトバンク※4 | ドコモ※5 |
---|---|---|---|---|
1人(257kWh) | ¥9,637 | ¥10,144 | ¥11,103 | ¥9,846 |
2人(371kWh) | ¥14,371 | ¥15,128 | ¥17,489 | ¥1,610 |
3人(403kWh) | ¥15,977 | ¥16,818 | ¥19,729 | ¥17,494 |
4人以上(481kWh) | ¥19,375 | ¥20,395 | ¥23,455 | ¥21,220 |
※1 東京都の値を基に「家庭部門のCO2排出実態統計調査」より算出
※2 ヱビスおうちプラン(北海道)
※3 でんきM(北海道D)
※4 北海道電力エリア おうちでんき
※5 Mプラン Basic 【北海道電力】
以上が、地域別の世帯当たりの消費電力量をもとに概算した、基本料金と従量料金の合計となります。この金額に、ヱビス電力であれば「電源調達額」、大手電力会社であれば「燃料費調整額」が加算されます。
「電源調達額」と「燃料費調整額」の比較
ヱビス電力の「電源調達額」と大手電力会社の「燃料費調整額」を比較すると、具体的な料金の違いが明らかになります。
ヱビス電力の電源調達額は、燃料費調整額と独自の調達費調整額を合算したもので、2024年9月度のデータによると、ヱビス電力の電源調達額は40.88円/kWh※1です。一方、東京電力の燃料費調整額は-10.37円/kWh※2です。つまり、ヱビス電力の方が51.25円/kWh高いことになります。
この差を実際に計算すると、例えば400kWhを使用した場合、ヱビス電力では16,352円、東京電力では-4,148円となり、その差は20,500円にもなります。このように、ヱビス電力の「電源調達額」は大手電力会社の「燃料費調整額」と比較して高くなる傾向があります。
電力会社・料金プランの賢い選び方
電力会社や料金プランの選択は、家庭の電気代を効率的に管理するための重要なポイントです。その際、ヱビス電力のような新電力も検討するべき選択肢となります。
新電力は競争原理により、従来よりも安い料金プランが選べるメリットがあります。また他サービスとのセット割やポイント還元など各種特典が充実している会社も多いです。しかし、契約期間の制約や解約時の違約金、独自の料金制度など、注意すべき点もあります。
そこで重要なのは、複数の電力会社から見積もりを取得し、詳細な比較検討をすることです。契約内容や期間、解約条件などを細かく確認した上で、自分の使用パターンに合う料金プランを選んでください。
エネピでは、お客様一人ひとりの家族構成やライフスタイルに適した電気料金プランの無料相談を実施しております。これまでにも毎月1万名のお客様に提案させていただいており、平均で年間21,071円※の電気代を削減しています。ぜひこの機会に相談してみてください。
※エネピのユーザー様の削減実績データから算出した金額です
※3~4人暮らしの場合の金額です
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
ヱビス電力でんきの評判とは? |
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ヱビス電力の評判や口コミを調べると、「営業電話が多い」「独自電源調達額が高い」などの意見があります。ただし、評判や口コミは個人の経験に基づいて異なることがあります。 |
ヱビス電力でんきのメリットとは? |
ヱビス電力のメリットは「光回線とのセット割引」です。これにより電気の基本料金が1年間無料になります。また2つのサービスをまとめることによりコスト管理が容易になります。 |
ヱビス電力でんきは他社より高いのか? |
ヱビス電力の「ヱビスおうちプラン」は、大手電力会社より「基本料金」と「従量料金」が5%安く設定されています。ただ、ヱビス電力の「電源調達額」は大手電力会社の「燃料費調整額」と比較して高くなる傾向があります。そのため、最終的な請求額が安くなるとは限りません。 |