本記事では、新電力会社を取り巻く現状を解説し、契約者の皆さまが直面するリスクと、取るべき対応策を詳しく解説します。電気料金の急騰、新電力会社の突然の撤退など、不安なニュースが続く中で知っておくべき重要情報をお届けします。
- 新電力は大手電力と比べて電力の調達コストが上昇したり、経営が不安定になったりするリスクが高い傾向があります。
- 新電力は大手電力と比べて安価な料金プランを提供している場合があり、また特典やサービスが充実している会社もあります。
新電力が「やばい」と言われる理由とは?
新電力会社は以下のような課題を抱えているため、一部の消費者から懸念を示されており、「新電力はやばい」などと言われることもあります。
課題①電力調達コストの高騰
新電力会社は既存の電力会社と比較して発電手段を持たないケースが多いです。そのため新電力会社は、大手電力会社や発電事業者から電力を調達する必要があります。これにより、調達先の価格設定や契約条件に依存せざるを得ず、コストがコントロールしにくくなります。
また、市場競争が激化すると価格競争が起こり、調達コストを吸収しつつ利益を上げるのが難しくなります。特に電力市場の自由化が進んでいる昨今では、価格競争が更に厳しくなっています。
課題②経営の不安定さ
新電力会社の経営は、以下の要因によって不安定になる可能性があります。
規模の経済の欠如:
大手電力会社と比べて規模が小さいため、調達コストや固定費を分散しにくく、経済的な安定性を確保するのが難しいです。
顧客基盤の不安定:
新電力会社は顧客基盤が安定していない場合が多く、新規契約の獲得や顧客の維持に苦労します。顧客が他の会社に切り替えることで、収益が不安定になる可能性があります。
規制の変化:
電力市場は規制や政策の影響を受けやすい分野です。規制の変更や新しい政策が導入されると、運営に影響を及ぼす可能性があります。例えば、再生可能エネルギーの導入義務や価格規制などが経営に影響を与えることがあります。
経営の不安定さは、新規投資や事業拡大の抑制につながり、長期的な競争力の低下を招く可能性があります。また、金融機関からの融資が困難になるなど、資金調達にも影響を及ぼします。
課題③撤退や破綻のリスク
新電力会社は、電力調達コストや経営の不安定さにより、撤退や破綻に直面することも少なくありません。以下のような状況に追い込まれた場合、撤退や破綻の可能性が大きくなります。
財務の脆弱性:
高い調達コストや経営の不安定さが積み重なると、財務状況が悪化し、利益を確保できなくなります。特に資金繰りが厳しくなると、運営資金の確保が困難になります。
市場競争の厳しさ:
電力市場は競争が激しく、特に価格競争に対応できない場合、収益が減少します。市場での競争に敗れると、顧客の喪失や収益の減少が続き、経営の継続が難しくなります。
信頼性の問題:
顧客へのサービスの信頼性や安定性が欠如すると、顧客の信頼を失い、契約の解約が続く可能性があります。これにより、収益の減少や経営の継続が困難になります。
これらの問題は相互に関連しており、悪循環に陥りやすい構造となっています。例えば、調達コストの上昇が経営を圧迫し、それが更なる顧客離れを招き、最終的に撤退や破綻のリスクを高めるといった具合です。
ちなみに2021年4月までに登録された新電力会社は約706社でしたが、2024年3月時点で119社が倒産もしくは新規契約停止、事業撤退しています。この数字は年々増加傾向にあり、特に2022年以降は燃料費の高騰などを背景に、そのペースが加速しています。
参照:帝国データバンク
契約者への影響
新電力会社が直面している問題が、契約者にあたえる影響について説明します。
電気料金の突然の値上げ:
電力調達コストが高騰すると、新電力会社はそのコスト増を契約者に転嫁する可能性があります。これにより、電気料金が値上げされることがあり、契約者の負担が増すことになります。特に、調達コストの変動が頻繁に起こる場合、料金の変動も頻繁になり、予算管理が難しくなります。
電力供給の停止:
新電力会社が撤退や破綻する場合、その電力会社からの電力供給が停止することがあります。これにより、契約者は新たな電力会社を探さなければならず、急な切り替えが必要になることがあります。ただし、通常は新電力会社が倒産した場合でも、地域の大手電力会社が一時的に供給を継続します。
サービスの質の低下:
コスト削減のために、新電力会社がサービスの質を低下させる場合もあります。例えば、カスタマーサポート体制が十分でなくなることがあります。これにより、契約者の問い合わせやトラブル対応が遅れることがあり、契約者の不満が増す可能性があります。
これらの影響を避けるために、契約者は電力会社の経営状況や料金プランの変動に注意し、安定した電力供給が保証されているかどうかを確認することが重要です。また、契約条件やプランを定期的に見直し、必要に応じて他の電力会社と比較することも考慮するべきです。
新電力と契約する際の注意点
新電力と契約する際は、会社の経営状況を確認することが重要です。確認する方法にはいくつかあります。
会社概要:
会社の公式ウェブサイトには、会社の資本金や経営陣の情報などが掲載されています。
ニュースリリース:
最近のニュースリリースやプレスリリースを確認することで会社の最新の状況や重大な発表、戦略の変更などを把握できます。
財務情報:
上場企業であれば、決算報告書や四半期ごとの業績報告が公開されています。これにより収益・利益・負債などの財務状況を確認できます。
また、新電力と契約する際は、現在の電力会社との比較検討が必要です。比較するポイントは、料金体系・プランの種類・供給体制などです。これらは次項で詳しく説明します。
きちんと比較検討を行い、経営状況を確認した上で契約するのであれば、特に心配はいりません。新電力は大手電力会社よりも安い料金プランを提供していることが多く、特典・サービスも豊富なため、消費者にとって経済的なメリットが大きい選択肢の一つです。
新電力の会社を選ぶ際のポイント
新電力会社を選ぶ際には、以下のポイントで比較検討することが重要です。
料金プラン:
基本料金や従量料金の設定、また時間帯による料金の変動などを確認します。自分の使用状況に合ったプランを選ぶことがコスト削減につながります。
契約期間と解約条件:
一部の会社では長期契約を推奨し、解約時に違約金が発生することもあります。契約期間が短いことを重視する場合は、対応している会社を探すことが必要です。
特典とサービス内容:
新電力会社は様々な特典やサービスを提供しています。例えば、ポイント還元や他サービスとのセット割など。自分にとって有益なものが含まれているかを確認します。
カスタマーサポートの質:
契約後のサポート体制も選定基準の一つです。電話やメールでの問い合わせ対応の迅速さ、FAQの充実度、対面でのサポートが可能かどうかもチェックしておきたいポイントです。
信頼性と評判:
会社の規模と実績、財務状況などを参考にします。またネット上のレビューや評価サイトを活用し、実際のユーザーからの評判を確認します。
地域性と対応エリア:
会社によってはサービス提供エリアに制限があります。自分の住んでいる地域で利用可能な会社を確認することが必要です。また、地域密着型のサービスを提供しているかどうかも検討ポイントです。
エネルギー源:
近年、エネルギーの持続可能性が重要視されています。電力会社のエネルギー源に注目し、再生可能エネルギーの利用率を確認することも大切です。また、地域の環境活動への参加状況なども参考になります。
これらのポイントを総合的に検討し、自身のニーズに合った新電力会社を選ぶことが重要です。また、電力会社の選定に悩む場合は「比較サイト」の利用も有効な方法です。
料金比較!新電力vs全国の大手電力
今回は新電力会社「Looopでんき」を例に挙げ、全国の大手10電力会社と料金を比較してみます。
エリア | 1人世帯 | 2人世帯 | 3人世帯 | 4人以上世帯 |
---|---|---|---|---|
東京電力 | ¥5,388 | ¥9,467 | ¥11,996 | ¥13,130 |
Looopでんき | ¥5,209 | ¥9,231 | ¥11,304 | ¥12,356 |
(差額) | ¥179 | ¥236 | ¥692 | ¥774 |
北海道電力 | ¥5,323 | ¥10,105 | ¥12,526 | ¥14,134 |
Looopでんき | ¥4,382 | ¥8,410 | ¥10,122 | ¥11,398 |
(差額) | ¥941 | ¥1,695 | ¥2,404 | ¥2,736 |
東北電力 | ¥5,245 | ¥9,844 | ¥13,056 | ¥13,698 |
Looopでんき | ¥5,221 | ¥9,833 | ¥12,580 | ¥13,175 |
(差額) | ¥24 | ¥11 | ¥476 | ¥523 |
中部電力 | ¥5,357 | ¥8,623 | ¥11,078 | ¥12,234 |
Looopでんき | ¥5,150 | ¥8,573 | ¥10,725 | ¥11,867 |
(差額) | ¥207 | ¥50 | ¥353 | ¥367 |
北陸電力 | ¥6,029 | ¥10,995 | ¥13,212 | ¥15,419 |
Looopでんき | ¥5,397 | ¥10,122 | ¥11,917 | ¥13,905 |
(差額) | ¥632 | ¥873 | ¥1,295 | ¥1,514 |
関西電力 | ¥5,718 | ¥10,225 | ¥12,351 | ¥13,410 |
Looopでんき | ¥5,652 | ¥9,918 | ¥11,776 | ¥12,689 |
(差額) | ¥66 | ¥307 | ¥575 | ¥721 |
中国電力 | - | ¥9,844 | ¥13,147 | ¥13,456 |
Looopでんき | - | ¥9,314 | ¥12,120 | ¥12,449 |
(差額) | - | ¥530 | ¥1,027 | ¥1,007 |
四国電力 | ¥5,526 | ¥9,788 | ¥12,556 | ¥14,812 |
Looopでんき | ¥5,360 | ¥9,200 | ¥11,664 | ¥13,639 |
(差額) | ¥166 | ¥588 | ¥892 | ¥1,173 |
九州電力 | ¥4,716 | - | ¥10,370 | ¥11,595 |
Looopでんき | ¥4,685 | - | ¥10,312 | ¥11,553 |
(差額) | ¥31 | - | ¥58 | ¥42 |
沖縄電力 | ¥6,333 | ¥11,360 | ¥13,763 | ¥13,563 |
Looopでんき | ¥5,841 | ¥10,179 | ¥12,226 | ¥12,171 |
(差額) | ¥492 | ¥1,181 | ¥1,537 | ¥1,392 |
参照:Looopでんき「スマートタイムONE」料金シミュレーション
新電力会社「Looopでんき」は多くの場合、大手電力会社よりも安くなる可能性が高いですが、個々の使用状況や地域によって最適な電力会社や料金プランは異なります。
安全な新電力はどこ?おすすめの会社一覧
以下に一般的な新電力会社をまとめました。各社のメリットや供給エリア、主要プランを紹介します。
Looopでんき
メリット |
基本料金0円 シンプルなプランで幅広いニーズに対応 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「スマートタイムONE」 |
オクトパスエナジー
メリット |
太陽光発電・EV用プランを提供 環境配慮 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「グリーンオクトパス」 |
シンエナジー
メリット | 各ライフスタイルに対応した複数の料金プランを提供 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「きほんプラン」 |
エルピオでんき
メリット | 大手電力会社に比べて安価な料金プラン |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「スマートダイレクトプラン」 |
TERASELでんき
メリット | 環境に優しい「再エネプラン」を提供 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「超TERASELプラン」 |
CDエナジーダイレクト
メリット | 世帯人数別やオール電化用など多種多様なプランを提供 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「ファミリーでんき」 |
idemitsuでんき
メリット | ドライバー用(ガソリン車・EV車)の割引プランを提供 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「Sプラン」 |
Japan電力
メリット | 家電の修理をサポートする「Tプラン」を提供 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「くらしプランS」 |
しろくま電力
メリット | 電力調達コスト高騰に備えて料金の還付制度を導入 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「しろくまプラン」 |
東京ガス
メリット |
ガスとのセット割 大手ガス会社としての安定性 |
---|---|
供給エリア | 関東地方 |
主要プラン | 「基本プラン」 |
大阪ガス
メリット |
ガスとのセット割 大手ガス会社としての安定性 |
---|---|
供給エリア | 関西地方 |
主要プラン | 「ベースプランA-G」 |
ソフトバンクでんき
メリット | ソフトバンクの通信サービスとのセット割 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「おうちでんき」 |
auでんき
メリット |
auの通信サービスとのセット割 Pontaポイント還元 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「でんきM」 |
楽天でんき
メリット | 楽天ポイントが貯まるなど楽天サービスとの連携 |
---|---|
供給エリア | 全国 |
主要プラン | 「プランS」 |
以上の情報を基に、自分のライフスタイルやニーズに最適な電力会社を選ぶことが重要です。各社の公式サイトで最新の情報や料金プランを確認することをお勧めします。
新電力に切り替える方法
新電力への切り替えは以下の手順で行うことができます。
①契約情報を準備:
まず、以下の情報を準備します。
・現契約の電力会社名
・お客様番号
・供給地点特定番号
・現契約の名義
・アンペア数
・契約住所
これらの情報は、現在の電力会社からの検針票やWebのマイページで確認できます。
②新電力会社・プランの選択:
使用量やライフスタイルに合わせて、新電力会社とプランを比較検討します。
③申し込み:
選択した新電力会社に申し込みを行います。申し込み方法は以下のいずれかです。
・新電力会社のWebサイト
・電話
・サービス窓口
申し込み時に、準備した契約情報を提供します。
④スマートメーターの設置:
必要に応じて、スマートメーターの交換が行われます。通常は無料で、立ち会い不要です。
⑤切り替え完了を待つ:
申し込み後は、新電力会社が手続きを進めます。現在の電力会社への解約連絡は不要です。切り替え日が近づくと、新電力会社から通知があります。
なお、電力会社の切り替えによって電気の供給が滞ることはありません。以上を参考にして、新電力への切り替えを進めてください。
新電力と契約している場合の対策
新電力との契約後において「電気代が高い」と感じた際の対策について解説します。ポイントは以下の3つです。
- 料金プランの見直し
- 省エネ対策による使用量の削減
- 複数の電力会社の比較検討
一つは、料金プランの見直しです。一部の新電力会社は複数のタイプの料金プランを提供しており、現契約よりも最適なプランが存在する可能性があります。
もう一つは、省エネ対策による使用量の削減です。例えば、エネルギー効率の高い家電への買い替えや、エアコンの温度管理、断熱シートの利用などがおすすめです。
もう一つは、複数の電力会社の比較検討です。よりお得な選択肢を見つけるために、「料金比較サイト」を利用して各社の料金プランやサービス内容を比較検討します。
以上の対策を講じることで、電気代の負担を軽減することが可能です。自分のライフスタイルに合わせた最適な選択を行い、賢く電気を利用してください。
新電力から大手電力に戻る方法
新電力から大手電力会社(従来の電力会社)に戻すことを検討している場合、以下の手順と注意点を確認しておくと、スムーズに移行できます。
手順①:
現在の契約内容を確認します。
・現在の新電力会社名
・契約プラン
・契約期間
・解約金の有無
手順②:
電力会社を選択します。お住まいの地域の大手電力会社を確認し、提供されているプランを比較検討します。
手順③:
電力会社への申し込みを行います。選択した電力会社のWebサイトや電話から、必要な情報(お客様番号、供給地点特定番号など)を提供します。
手順④:
電力会社が手続きを進めるので、切り替え完了を待ちます。切り替え日が近づくと通知があります。
注意点:
新電力会社との契約には最低契約期間が設定されていることがあります。解約時に違約金が発生するケースもあるため、事前の確認が必要です。
以上を参考にして、スムーズに電力会社を切り替えてください。
どの電力会社を選べばよいか不安な方へ
電力自由化が進み、多くの新電力会社が登場している中で、どの電力会社を選ぶかは非常に重要なポイントです。最も効率的な方法は、比較サイトを利用して自分の使用状況に合わせたシミュレーションを行い、お得なプランを見つけることです。
enepi(エネピ)では、お客様一人ひとりの家族構成やライフスタイルに適した電気料金プランの無料相談を実施しております。これまでにも毎月1万名のお客様に提案させていただいており、平均で年間21,071円※の電気代を削減しています。ぜひこの機会に相談してみてください。
※エネピのユーザー様の削減実績データから算出した金額です
※3~4人暮らしの場合の金額です
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
新電力会社が直面している問題とは? |
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新電力会社は大手電力会社と比べて、電力調達コストの高騰や経営の不安定さといった課題を抱えており、ひいては撤退や破綻のリスクを高めることもあります。 |
新電力会社と契約する際の注意点とは? |
新電力と契約する際は、会社の経営状況を確認することが重要です。ホームページ等を利用し、会社概要やニュースリリース、財務情報を把握した上で、契約を検討してください。 |
安全に利用できる新電力会社とは? |
電力会社の選定には「比較サイト」が有効です。新電力は大手電力会社よりも安い料金プランを提供していることが多く、特典・サービスも豊富です。ぜひ自分のライフスタイルやニーズに合った電力会社を探してみてください。 |