電力自由化の現状

電力自由化のメリット、デメリット

2016年4月にスタートする電力小売自由化ですが、日本の電力自由化の歴史は、実は既に始まっているのです。その始まりは、1995年に電力会社に対して民間企業が電力を販売する事業(卸電力事業)が認められる時までさかのぼります。以来、大規模な工場やオフィスビルなど電力の大口の需要家に対する、電力の小売が自由化され、その後小規模(契約電力50kW)までの需要家に対して、電力の小売り自由化が実現しています。2016年4月以降は、これまで自由化の対象外であった50kW未満の需要家、具体的には一般家庭やコンビニエンスストア、小規模の工場などに対して、電力の小売りが自由化されるのです。


この50kW未満の需要家に対する電力は、現在の制度では、国が定める一般電気事業者(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、 関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の10社)が独占的に提供しています。さらに、電気料金の設定は、政府の許可のもと、コストを積み上げて一定の利益を確保して売値を設定する方法(総括原価方式と言います)で行っているため、電力会社間に競争が働かず、実質的に電力会社の言い値で料金が決まってしまっている状況だと言えます。


2016年より始まる電力小売自由化をきっかけに、従来の電力会社以外にも、電力の小売をする事業者(新電力)が、多数生まれることが予想されています。それでは、電力小売り自由化が私たちにとってどのような影響を及ぼすのか、電力小売自由化のメリットとデメリットについて押さえておきましょう。
電力自由化の現状

電力自由化のメリット

電力会社間の競争促進による電気料金プランの多様化

家庭に対する電力自由化による最大のメリットは、多様な料金プラン、魅力的なサービスの中から、自分のライフスタイルにマッチしたプランを選択できるようになることです。既存の電力会社(一般電気事業者)、および新規参入する電力会社(新電力)は、既に様々なプランを公表しています。


たとえば、東京電力はリクルートホールディングスおよび共通ポイント「Ponta」の運営会社の2社と提携することで、電気料金の支払いに応じてポイントがたまるサービスを提供することを発表しています。また、電力小売り自由化が日本よりも進んでいる海外(アメリカ・ヨーロッパ)では、「グリーン電力」制度というものがあります。これは、「電気料金が少し高くなっても、太陽光や風力などの再生可能エネルギーでつくられた電気を使いたい」という人向けに、再生可能エネルギーで発電した電気の購入することができる仕組みです。日本でも、こういった仕組みが広まることが期待されます。


もちろん、新電力によっては、従来の電力会社が提供している電気料金よりも安い料金プランで提供する会社も登場することでしょう。多くの新電力は少数の組織であり、また巨大な設備を所有していないことが多いため、人件費や設備管理費が大幅に削減されます。新電力が低価格で電気を供給できる仕組みは、こういった部分にあります。

電気がITと融合することによる、魅力的なサービスの拡充

近年、モノのインターネット(Internet of Things、IoT、アイオーティー)が何かと話題になっています。従来、パソコンやサーバー、プリンタといった情報・通信機器だけがインターネットに接続されていましたが、テクノロジーの進化により、今までインターネットに接続されていなかった、あらゆる「モノ(たとえば家電やセンサー等)」をインターネットに接続する技術です。


IoTが浸透する流れの中、電気がインターネットに接続されると、どのような世界観が見えてくるでしょうか?その鍵の1つは、スマートメーターです。スマートメーターとは、電気やガスの使用量を計測するメーターに通信機能をもたせたもので、遠隔操作で使用量・料金単価を確認することができます。


このスマートメーターの普及によって、たとえばデマンドレスポンス(需要応答)が実現できます。デマンドレスポンスとは、電力の需要が逼迫する時間帯の電力使用を減らす「ピークカット」や、ピークの時間帯の電力使用を他の時間帯に移動させる「ピークシフト」を行う手段です。ピーク時にアラートが鳴り、電力の使用を制御することで、電気代が節約できる、といったことが可能になります。
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電力自由化のデメリット

電力は安定供給されるのでしょうか?

電力の購入先を従来の電力会社(一般電気事業者)から新電力に切り替えても、電力が安定的に供給されるのか、懸念されるかもしれません。たしかに、電力会社によっては、経営体質が脆弱なため十分な発電設備を確保できていない企業もあります。そういった新電力が増えることで、電力の供給能力が需要に対して不足し、停電が発生してしまう可能性もあります。


実際に、カリフォルニアでは2000年夏の猛暑をきっかけに、電力自由化の制度設計に問題があったこともあいまって、2001年に電力の不足および電力の市場取引価格の高騰といった事態が発生し,十分な供給能力が確保できなくなった電力会社は、結果的に大規模な輪番停電(一定地域ごとに電力の供給を順次停止/再開させること)を行うまでに追い込まれた経緯があります。


ただ、こういった事態に備えて、日本では2015年4月より電力広域的運営推進機関(通称:広域機関)が発足しています。同機関は、地域を超えてより効率的に電力の需給管理を行い、安定的な電力受給管理体制を構築しています。なお、すべての電力会社は広域機関の会員として加入することが法律により義務づけられており、広域機関は各電力会社の司令塔となって需給調整業務を指示し、安定供給を担保していきます。

電気料金は下がらないかもしれない…?

また、電力自由化によって、必ずしも電気料金が安くなるとは限りません。既にアメリカやイギリスおよび欧州など海外諸国では日本に先駆けて電力小売自由化が行われていますが、電力自由化開始直後は電気料金が低下した国・州もあったものの、長期的に見ると、自由化されたすべての国・州で、化石燃料価格の上昇分以上に電気料金が上がっているのが事実です。


電気料金上昇の背景には、市場取引での価格の変動がダイレクトに家庭用電気料金に反映されること、および電力を供給する事業者が寡占化してしまったことにより、電力会社間で健全な競争が生まれていないこと等が指摘されています。日本の場合は、現状の電気料金が海外の先進諸国と比較して比較的高めであるため、現在より電気料金が下がる余地はあるものの、電力自由化になれば、必ずしも料金が下がるという訳ではありません。

まとめ

このように、家庭など電力の小売が全面的に自由化されることで、多様な料金プランを選べるだけでなく、インターネットを活用した様々な便利なサービスを利用できるようになるメリットがあります。電気という独占的な市場に健全な競争が促進されることによって、私たちはより安価で利便性の高いサービスを享受できるようになることが期待できます。


一方で、電力自由化がもたらすメリットだけでなく、電力供給の安定性や電気料金の高騰のリスクといったデメリットにも留意しておく必要があります。とは言え、電力自由化の先にはたくさんのビジネスチェンスが拡がっています。それによって、私たちも様々な便利なサービスを享受できるようになることが期待できます。複雑化する電力プランについて情報を取得し、電気との賢い付き合い方を各家庭で話し合っていくことが大事になるのではないでしょうか。

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今村 一優の写真

エネルギー事業部責任者

今村 一優

新卒で太陽光発電事業を行うベンチャー企業に入社。商社部門の仲卸営業として、国内外の太陽光発電メーカーの商品を取り扱い、全国の販売施工会社を担当。その後、太陽光発電の一括見積もりサイト運営にも携わる。
2015年にはプロパンガス料金比較サービスenepi(エネピ)の立ち上げを行い、数万人のプロパンガス代削減のサポートをするサービスへ成長させる。
エネルギー領域で10年以上携わった経験と知識を活かして、じげんエネルギー事業のマネージャーにて事業開発を行なっている。

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ライター

藤巻 創

電気・プロパンガスに関する記事のライティングを担当。
制作ポリシーに基づいてエネルギー全般の記事作成・管理を行う。