九州電力の電気料金値上げが発表され、多くの人が家計への影響を懸念しています。本記事では、値上げの詳細から実践的な対策方法まで、九州電力ユーザーの皆様に役立つ情報をわかりやすく解説します。厳しい値上げの波を乗り越えるための助けになれば幸いです。
- 九州電力は、燃料費の高騰などを理由に、2024年7月請求分から値上げを行うと発表しました。
- 九州電力は、2024年7月分の電気料金の燃料費等調整単価を1.86円/kWhに値上げします(前月比で1.80円/kWhの上昇)。
九州電力の値上げの理由
九州電力は2024年7月請求分から値上げを行うと発表しました。九州電力が値上げを決めた背景には以下のような複数の要因があります。
燃料費の高騰:
九州電力は火力発電への依存度が高く、国際的な燃料価格の上昇と円安の影響を直接受けています。特に液化天然ガス(LNG)や石炭の輸入コストが増加し、発電コストを押し上げています。
原子力発電の不足:
東日本大震災以降、低コストの原子力発電所の稼働が減少し、より高コストの火力発電所に依存せざるを得ない状況が続いています。
再エネ賦課金の上昇:
九州地方では再生可能エネルギー、とりわけ太陽光発電の導入が進んでいますが、初期投資やメンテナンスコストが高く、それが電気料金に反映されています。
政府の補助制度終了:
政府の「電気・ガス価格激変緩和対策」が電気料金を押し下げていましたが、これが2024年5月に終了しました。ただ、新たな支援策が8月から始まります(詳しくは後述します)。
参考:NHK 福岡 NEWS WEB
これらの要因が複合的に作用し、九州電力は電気料金の値上げを選択せざるを得なかったと考えられます。値上げは消費者に経済的な負担を強いる判断です。しかし、安定的な電力供給や環境対策を継続するために必要な場合もあります。
他社との料金比較
九州電力の料金プランには、いくつかの選択肢があります。例えば、「スマートファミリープラン」や「電化でナイト・セレクト」などがあります。これらのプランは、使用量や時間帯によって料金が異なります。
他社の料金プランと比較するためには、具体的な使用量や契約内容を考慮する必要があります。例えば東京電などの他の大手電力会社も、似たようなプランを提供しています。以下に、九州電力と他社の一般的な料金プランの比較を示します。
内訳 | 区分 | 九州電力※1 | 中部電力※2 | 東京電力※3 | 東北電力※4 |
---|---|---|---|---|---|
基本料金 | 10A | ¥316.24 | ¥321.14 | ¥311.75 | ¥314.60 |
15A | ¥474.36 | ¥481.71 | ¥467.63 | ¥499.40 | |
20A | ¥632.48 | ¥642.28 | ¥623.50 | ¥684.20 | |
30A | ¥948.72 | ¥963.42 | ¥935.25 | ¥1,053.80 | |
40A | ¥1,264.96 | ¥1,284.56 | ¥1,247.00 | ¥1,423.40 | |
50A | ¥1,581.20 | ¥1,605.70 | ¥1,558.75 | ¥1,793.00 | |
60A | ¥1,897.44 | ¥1,926.84 | ¥1,870.50 | ¥2,162.60 | |
電力量料金 | ~120kWh | ¥18.37 | ¥21.20 | ¥29.80 | ¥29.62 |
121kWh~300kW | ¥23.97 | ¥25.67 | ¥36.40 | ¥36.37 | |
301kWh~ | ¥25.87 | ¥28.62 | ¥40.49 | ¥40.32 |
※1 スマートファミリープラン
※2 ポイントプラン/おとくプラン
※3 スタンダードS
※4 よりそう+eねっとバリュー
さらに、各電力会社の一月あたりの電気代を計算してみます。以下は、4人家族(使用量:400kWh、アンペア数:50A)を想定した値となります。
電気代※概算 | |
---|---|
九州電力 | ¥8,687 |
中部電力 | ¥11,632 |
東京電力 | ¥15,736 |
東北電力 | ¥15,926 |
このように具体的な料金比較をするためには、「月間使用量」や「契約アンペア数」などの情報が必要です。また、「電気料金比較サービス」を利用すると、最新の料金情報に基づいた詳細な比較ができます。
値上げで電気料金はいくらになる?
九州電力の電気料金は以下の項目で構成されています。
基本料金:
契約アンペア数に基づいて算出されます。毎月固定で、電力の使用量には影響されません。
電力量料金:
使用した電力量に応じて算出されます。1kWhあたりの単価が設定されており、使用量に比例して増加します。
燃料費調整額:
燃料価格の変動に応じて毎月調整される料金です。使用量に応じて算出されるため、電力量料金の一部とされます。
再エネ賦課金(ふかきん):
再生可能エネルギーの普及を促進するための料金で、全国一律の金額が設定されています。
このたび、九州電力が値上げを実施するのは「燃料費調整額」です。2024年7月分の電気料金における燃料費等調整単価は1.86円/kWhとなり、前月比で1.80円/kWhの上昇となります。
この値上げにより九州電力は、7月分の電気代は前月より450円増加して7,551円になると見込んでいます(契約アンペア:30A、使用電力量:250kWhの場合)。
値上げ後の電気代試算
九州電力の値上げ後の電気代について、いくつか具体例を挙げてみます。
世帯人数(使用量) | 2024年6月 | 2024年7月 | 差額 |
---|---|---|---|
1人(307kWh) | ¥9,952 | ¥10,523 | 571 |
2人(443kWh) | ¥14,702 | ¥15,516 | 814 |
3人(482kWh) | ¥16,447 | ¥17,291 | 844 |
4人以上(574kWh) | ¥19,961 | ¥20,849 | 888 |
※九州電力「スマートファミリープラン」の場合
※使用量は東京都の値の1.18倍で算出(家庭部門のCO2排出実態統計調査より)
このように、具体的な電気代は世帯人数や使用電力量に応じて異なります。ただ、いずれの世帯でも経済的負担が増えることに変わりはありません。そこで、より効果的な節電や適切な値上げ対策を行うことが重要となります。
対策1:電気使用量を節約する
電気使用量を抑えるためには、エネルギー効率の高い家電製品に買い替えることが有効です。特にエアコンや冷蔵庫、照明器具などは消費電力が大きいため、省エネタイプを選ぶことが重要です。
また、使用していない部屋の照明を消す、家電を待機電力状態にしない、エアコンの設定温度を適切にするなど、日常的にできる省エネ行動も効果的です。
以下に、省エネ家電を導入した場合の、具体的な電気代の削減額を紹介します。
家電 | 消費電力の年間削減量※1 | 電気代の年間削減額※2 |
---|---|---|
冷蔵庫 | 197~257kW | 6,107~7,967円 |
照明器具 | 93kW | 2,883円 |
テレビ | 60kW | 1,860円 |
エアコン | 167kW | 5,177円 |
※1 経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト
※2 電力量料金:31円(家電公取協より)
このように、複数の省エネ家電を組み合わせることで、年間で1万円以上の電気代削減が期待できます。ただし、実際の削減額は家庭の使用状況や電気料金プランによって異なります。
対策2:電力会社や料金プランを切り替える
競争が激しい電力市場では、他の電力会社に切り替えることで、より安い料金プランを見つけることができるかもしれません。九州地方では九州電力以外にもいくつかの電力会社を利用できます。例えば以下のような会社です。
これらの新電力会社は、電力自由化以降、九州地方での新たな選択肢となっています。「基本料金0円」「通信セット割」などが特徴です。
なお、九州地方には他にも多くの電力がありますので、ぜひ以下のページから自分の地域にある電力会社を調べてみてください。
九州・沖縄地方の電気料金の平均金額
また、同じ電力会社の別プランに切り替えることも検討する価値があります。電気を多く使う時間帯を考慮して夜間料金が安くなるプランを利用するなど、自分の生活リズムや使用パターンに適したプランを選択することで、電気代を効率的に削減できます。
enepi(エネピ)では、お客様一人ひとりの家族構成やライフスタイルに適した電気料金プランの無料相談を実施しております。これまでにも毎月1万名のお客様に提案させていただいており、平均で年間21,071円※の電気代を削減しています。ぜひこの機会に相談してみてください。
※エネピのユーザー様の削減実績データから算出した金額です
※3~4人暮らしの場合の金額です
対策3:代替エネルギーを検討する
自宅に太陽光発電システムを導入することで自家発電が可能になり、電力会社からの購入電力を減らすことができます。さらに、蓄電池を設置し夜間の安い電力を貯めておくことで、昼間にかかる電気料金を削減できます。
政府の補助金制度について
日本政府は、2024年8月から10月までの電気代とガス代(都市ガスのみ)の負担を軽減するために、「酷暑乗り切り緊急支援」を実施します。これは、燃料費の高騰や円安の影響で上昇している光熱費に対する補助を目的としています。
「酷暑乗り切り緊急支援」の内容は以下のとおりです。
電気代の補助額:
8月と9月は4.0円/kWh、10月は2.5円/kWh
都市ガスの補助額:
8月と9月は17.5円/㎥、10月は10.0円/㎥
「酷暑乗り切り緊急支援」による電気代の値引きは、使用量に応じて異なります。例えば、平均的な4人家族(消費電力:400kWh)の場合、1カ月で約1,600円の補助が受けられる計算になります。
「酷暑乗り切り緊急支援」に関する申請・手続き等は必要ありません。光熱費の請求時に自動的に値引きが適用されます。
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
九州電力の値上げの理由とは? |
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九州電力が値上げを決めた背景には以下のような複数の要因があります。①燃料費の高騰②原子力発電の不足③再エネ賦課金の上昇④政府の補助制度終了。 |
九州電力の値上げの影響とは? |
九州電力は、2024年7月分の電気代は前月より450円増加して7,551円になると見込んでいます(契約アンペア:30A、使用電力量:250kWhの場合)。これは主に「燃料費等調整単価」が影響しています(前月比で1.80円/kWhの上昇)。 |
九州電力の値上げの対策とは? |
値上げの対策は多く分けて3つあります。一つは省エネ家電の活用などにより電気使用量を節約すること。もう一つはより安い電力会社や料金プランに切り替えること。もう一つは太陽光発電などの代替エネルギーを利用することです。 |