近年、エネルギー価格の高騰により、家庭の省エネを考える人が増えていると思います。そんなとき、消費電力は欠かせない情報です。電気代の節約や環境への配慮、家電の効率的な使用を実現するためには、家庭の消費電力を最適化することが重要です。本記事では、消費電力の見方や計算方法、一般的な家電の消費電力などを紹介しています。ぜひ参考になさってください。
消費電力とは?
消費電力は電化製品やシステムが動作するために必要なエネルギーの量を示します。一般的にワット(W)やキロワット(kW)で表され、効率的な家電の選択や電気代の管理において重要な指標となります。なお、1kWは1000Wに相当します。
ワット(W)・ボルト(V)・アンペア(A)の関係
消費電力を表すワット(W)の大きさは、ボルト(V)とアンペア(A)の値によって決まります。計算式にすると以下のとおりです。
ボルト(V):
電圧の大きさを表す単位です。日本の家庭用電源は通常100Vまたは200Vです。電圧が高いほど、同じ電流でも大きな電力を得られます。
アンペア(A):
電流の大きさ、つまり電気が流れる量を表す単位です。1Aは100Wの白熱電球1個分の電流量に相当します。
つまり、電圧(ボルト)が高く、電流(アンペア)が大きいほど、消費電力(ワット)は大きくなります。例えば、100Vで1Aの電流が流れる場合、消費電力は100W(100V×1A)となります。
消費電力 (kW)と消費電力量 (kWh)の違い
消費電力 は電化製品を動かすために必要な電力の大きさを表す単位です。一方、消費電力量 は消費した電気エネルギーの量を表す単位で、一般にキロワット時(kWh)を使います。つまり、消費電力(kW)は瞬間のパワーを示し、消費電力量(kWh)は使った合計量を表します。
年間消費電力量と定格消費電力量の違い
家電の消費電力には「年間消費電力量」と「定格消費電力」という2つの指標があります。それぞれ何を示しているのか、以下で説明します。
年間消費電力量とは
年間消費電力量とは、一定の使用条件下で、その家電製品を1年間使用した場合に消費する電力量のことです。測定条件はJIS規格で定められており、実際の使用状況に近い条件で測定されます。
冷蔵庫やエアコン、テレビなどの主要家電に表示が義務付けられており、年間の電気代を概算するのに役立ちます。
定格消費電力とは
定格消費電力とは、JIS規格に基づいた条件下で、機器を最大能力で連続運転した場合に消費される最大の電力量のことです。 機器が安全に発揮できる最大出力時の消費電力を示しますが、実際の使用状況ではこの最大値まで消費することはほとんどありません。
つまり、定格消費電力は電気代の計算には適していません。家電の電気代を正しく見積もるには、年間消費電力量の値を使うべきです。
なお、年間消費電力量と定格消費電力量は、家電本体に貼られている製品ラベルや取扱説明書に記載されています。
消費電力と電気代の関係
電気代は消費された電力量に電力会社が設定する単価(電力量料金)をかけて計算します。なお単価は地域や電力会社、契約プランによって異なります。
例えば、消費電力が500Wの機器を1日8時間使用した場合、電力量料金を30円と仮定すると、1日の消費電力および電気代は次のようになります。
電気代 = 4kWh × 30円/kWh = 120円
このようにそれぞれの家電の消費電力を把握し、賢く使うことが電気代の節約につながります。
家電の消費電力と電気代はどれくらい?
まずは家電の消費電力を確認する方法を説明します。
製品本体や取扱説明書を確認する:
一般的な家電製品の消費電力は取扱説明書に記載されています。また、エアコン・冷蔵庫・洗濯機などの大型家電は本体に消費電力が表示されていることが多いです。
省エネラベルを確認する:
一部の家電製品には省エネ性能を示す「省エネルギーラベル」が貼付されています。 このラベルには、製品の年間消費電力量などが記載されています。
メーカーウェブサイトで確認する:
メーカー公式サイトで消費電力を調べることもできます。 サイト上で製品の型番を検索すると、主な仕様とともに消費電力が表示されています。
さて、自宅にある家電の消費電力が分かったら、実際に各家電の電気代を計算してみてください。より節電すべき家電はどれか明確になるはずです。
家電の消費電力・電気代の目安
一般的な家電の消費電力と電気代の目安を紹介します。自宅の家電を調べる際に参考にしてみてください。
家電 | 消費電力※1 | 電気代(1時間)※2 |
---|---|---|
電子レンジ | 1400W | 43.4円 |
電気炊飯器 | 1300W | 40.3円 |
洗濯乾燥機 | 1100W | 34.1円 |
洗濯機 | 400W | 12.4円 |
ドライヤー | 1000W | 31.0円 |
エアコン(10~15畳用) | 750~1100W | 23.6~34.1円 |
エアコン(6畳用) | 450W | 14.0円 |
冷蔵庫 | 200~300W | 6.2~9.3円 |
液晶テレビ | 50W | 1.6円 |
※1 クール・ネット東京
※2 電力量料金:31円(家電公取協より)
このように、電子レンジ・電気炊飯器・電気ヒーターなどが特に消費電力が高い家電となっています。ただ、適切な使い方や節約術を身につけることで、電気代を抑えることができます。
家電の電気代を節約する方法
一般に家電の電気代を節約するには、以下の点に注意してみてください。
家電の使い方を工夫する
家電の無駄遣いに注意することで電気代を節約できます。例えばエアコンの設定温度を適切に管理する、冷蔵庫の開閉時間を減らすなどの方法があります。
待機電力の対策をする
家電は使っていない時にも待機電力が発生します。待機電力を削減する方法は、電源を完全に切ることです。スタンバイモードにしておくと待機電力が消費されます。
省エネの家電を使う
最新の省エネ基準に適合した家電に買い替えることで、消費電力の効率化が可能です。なお、家電の省エネ性能は「省エネラベル」で簡単に確認することができます。例えば、省エネ家電を使うことで以下のような節約効果があります。
家電 | 消費電力の年間削減量※1 | 電気代の年間削減額※2 |
---|---|---|
冷蔵庫 | 197~257kW | 6,107~7,967円 |
照明器具 | 93kW | 2,883円 |
テレビ | 60kW | 1,860円 |
エアコン | 167kW | 5,177円 |
※1 経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト
※2 電力量料金:31円(家電公取協より)
適切な料金プランを選ぶ
電力会社は複数の料金プランを提供しています。その中から自分の生活スタイルに最も合ったものを選ぶことで、電気代を削減できるかもしれません。例えば、夜間の料金が安いプランを選び、洗濯機や給湯器を夜間に使用するといった方法があります。
enepi(エネピ)では、お客様一人ひとりの家族構成やライフスタイルに適した電気料金プランの無料相談を実施しております。これまでにも毎月1万名のお客様に提案させていただいており、平均で年間21,071円※の電気代を削減しています。ぜひこの機会に相談してみてください。
※エネピのユーザー様の削減実績データから算出した金額です
※3~4人暮らしの場合の金額です
消費電力から適正な契約電力を判断しよう
家庭の消費電力を総合的に把握することで、それに基づいて必要なアンペア数を判断することができます。以下にその手順を解説します。
①電化製品の消費電力を確認
②同時使用の合計消費電力を計算
③消費電力をアンペア数に換算
④契約アンペア数を決定
まずは、家庭で使用している主な電化製品の消費電力を確認します。消費電力はアンペア数を計算するための重要な情報です。
次に、一日の中でどの時間帯に電化製品を最も多く使用するかを考えます。そして、同時に使用する電化製品の消費電力を合計します。エアコン・冷蔵庫・浴室乾燥機など、常時使用する製品も考慮してください。
次に、必要なアンペア数を算出します。消費電力(W)をアンペア数(A)に換算するには、電圧(V)で割る必要があります。日本の家庭用電圧は一般的に100Vですので、合計消費電力を100で割ってください。
最適に、契約アンペア数を決定します。上記の計算結果を基に、少し余裕を持ったアンペア数を選ぶと安心です。通常、アンペア数は10A単位で選択できます。目安となるアンペア数は、一人暮らしの場合で20〜30A、3〜4人家族の場合で40〜60Aとなります。
電気代の節約には、適正なアンペア数を選ぶことが大切です。必要以上に高いアンペア数を選ばないように注意してください。
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
消費電力(W)とは? |
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消費電力(W , kW)は電化製品を動かすために必要な電力の大きさを表す単位です。一方、消費電力量(Wh , kWh)は消費した電気エネルギーの量を表す単位です。 |
消費電力と電気代の関係とは? |
電気代は消費電力量(消費電力 × 使用時間)に電力会社が設定する単価(電力量料金)をかけて計算します。例えば、消費電力が500Wの機器を1日8時間使用した場合、電力量料金を30円と仮定すると、1日の電気代は120円となります。 |
消費電力が大きい家電とは? |
一般的に電子レンジ・電気炊飯器・電気ヒーターなどは特に消費電力が高い家電です。ただ、最新の省エネ家電に買い替えることで消費電力を削減できる可能性があります。 |