都市ガスは主に都市部に供給されており、都市化が進む中で需要が拡大しました。

住宅やビジネスのエネルギー需要が増加する中で、安定した価格で提供され、また価格の予測がしやすい都市ガスは、日本で生活する人々にとって主要なエネルギーとなっています。

今回は、そんな都市ガスの配管を自宅まで延長する工事、いわゆる引き込み工事について解説します。

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都市ガスのメリットとデメリット

都市ガスの利用を開始する前に、都市ガスのメリットとデメリットを把握しておきましょう。

都市ガスのメリット

都市ガスのメリットは以下のとおりです。

メリット1:料金が安い

都市ガスは比較的安価に利用できます。一般に都市ガスはプロパンガスの2分の1程度の料金です。

メリット2:供給が安定している

都市ガスは地下のパイプラインを通じて供給され、これにより安定したエネルギー供給が可能です。電力供給のように気象条件に影響されにくいため、暖房や調理などの日常的な用途において、安定性と信頼性が高まります。

メリット3:都市部でインフラが整備されている

都市ガスは都市圏や開発された地域で主に利用されており、これらの地域においてはインフラが整備されています。そのためガスボンベの設置・交換が不要で、連続して使用することができます。

都市ガスのデメリット

都市ガスのデメリットは以下のとおりです。

デメリット1:環境負荷が大きい

都市ガスの原料である天然ガスの採掘や生産は、地形変化や水質汚染のリスクを孕んでいます。また都市ガスの主成分であるメタンは燃焼時に温室効果ガスを排出するため、地球温暖化に寄与する可能性があります。

デメリット2:供給範囲が限定されている

都市ガスは主に都市地域に供給されており、地方や農村地域など一部の地域には供給が行き届いていません。要因として都市ガスはインフラ整備に多大なリソースを必要とするため、人口の多い都市部でないと投資に見合った利益が確保できないためです。

デメリット3:災害からの復旧に時間がかかる

大規模な自然災害や事故により、都市ガスの地下パイプラインが損傷し、供給が中断されることがあります。パイプラインの修復や交換は多くのリソースが費やされるため、復旧に時間がかかる可能性があります。

他のエネルギーオプションとの比較

以上のメリット・デメリットを踏まえて、都市ガスを他エネルギーと比較してみましょう。

月間費用 利便性 安全性
都市ガス
プロパンガス
電気

このように、都市ガスは他エネルギーよりも料金負担が少ないエネルギーです。

ただし都市ガスは供給網の整備にコストがかかるため、地域によっては供給網がありません。そのため利便性は他エネルギーに劣るかもしれません。

また安全性は都市ガスよりも電気の方が高いでしょう。これはガス漏れによる中毒症状や火災のリスクがないためです。

プロパンガスを安く利用する方法

上記のとおり、エネルギーの中で特に料金が高いプロパンガスですが、実はある方法によって料金をぐっと抑えることができます。

その方法とは、ガス会社を切り替えることです。

プロパンガスは料金設定に縛りがない自由料金制のエネルギーなので、どのガス会社からプロパンガスの供給を受けるかで料金が大きく変わります。

プロパンガスユーザーのみなさんは、ぜひ一度お住まいの地域のガス会社を比較してみてください。今より安くて条件の良いガス会社が見つかるかもしれませんよ!

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都市ガス引き込みの条件

都市ガス引き込みの条件は、大きく分けると次の2つです。

  • 都市ガスの供給地域である
  • 引き込みの設置工事ができる

まず、住んでいる地域が都市ガスの供給範囲に含まれていることです。

都市ガスのパイプラインが通っていない地域では、都市ガスの引き込みは難しい、または不可能です。ガス事業者や地元の自治体に問い合わせて、都市ガスの供給範囲を確認することが必要です。

次に、都市ガスの引き込みが技術的に可能であることです。

ガスを引き込むには、住宅や建物内にガスメーターなどの設備を整備する必要があります。この工事は専門的な知識と技術を要するため、専門業者が引き込みの可否を判断し、安全基準に従った工事が行われます。

都市ガス引き込みの費用

都市ガスの引き込み工事には、以下の費用がかかります。

①本管設置費用
②引き込み管工事費用
③敷地内の配管工事費用

まず、ガス本管の設置工事があります。

ただし、ガス本管が家屋の近くまで来ている場合は同工事は不要です。敷地内に配管を引き込む工事を行い、そして家屋内にガスを引き込む管を設置するだけで都市ガスの供給が受けられます。

本管の設置工事そのものはすぐに終わりますが、道路の掘削に時間を取られてしまい、工期が後ろ倒しになっていくこともあります。

本管の工事費用は一般的にガス会社が負担します。ただし、ガス会社規定の負担額を超えた場合は、その差額を契約者が支払います。

次に、本管から住宅の敷地内までガス管を引き込む工事があります。

本管が家屋の近くまで来ていれば1~2日程で完了します。同工事費用は基本的にガス会社が負担します。

最後に、家屋内でガスが使えるように、ガス機器までガス管を繋げる工事があります。

敷地内までガス管が引かれていれば基本的に1日で完了します。同工事費用は契約者が負担します。

一般的な基準では1m引き込むごとに1万円前後が工事費用の相場です。家屋までは10メートル以上引き込むケースが多いため、10万~15万円はかかるでしょう。

以上が、都市ガスの引き込み工事にかかる費用の概算と内訳です。

したがって、実際にかかる工事費用は大体10万~15万円となります。

ガス機器の設置費用(プロパンガスから切り替え)

プロパンガスから都市ガスに切り替える場合、一般的にはガス機器を調整するか、交換する必要があります。これは、プロパンガスと都市ガスの燃焼特性や供給圧力の違いによるためです。

ガス機器を調整する場合は、部品交換が必要です。部品交換の費用は、ガスコンロで約1万円、給湯器で約3万円が目安です。ただし、機器の種類によっては部品が供給できないものもあります。そのときは新しい機器に交換するしかありません。

ガス機器の交換費用は、ガスコンロで10万円前後、給湯器で約15万~25万円が目安です。ただし交換費用は機器の種類によって大きく異なるため、ばらつきがあります。

プロパンガスの違約金について

プロパンガスから都市ガスに切り替えるにあたり、プロパンガス会社から違約金を請求されることがあります。

違約金の金額は、契約内容や契約年数によって異なります。違約金は必ず発生するものではありませんが、気になる方は以下の記事を読んでみてください。

プロパンガス解約時の違約金の相場はいくら?払わないで済む方法はある?
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都市ガス引き込みの補助金制度について

都市ガスの引き込み工事には、補助金制度があります。

ただし、補助金制度は事業者向けです。よって家庭の都市ガス引き込みに対して補助金は使えません。

ちなみに、補助金制度を運用しているのは一般社団法人都市ガス振興センターです。都市ガスの普及促進を目的に補助金を提供しています。

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都市ガス引き込みの工事の流れ

実際に都市ガスを引き込む際の工事の流れは以下のとおりです。

①ガス会社への連絡と見積もり ②契約手続き ③工事の準備 ④ガス管引き込み工事 ⑤ガス機器の設置・交換

まずは、都市ガス会社に連絡します。見積もり調査を依頼し、自宅訪問の日程を決めてください。

次は、都市ガス会社との契約手続きです。見積もりの内容を確認し、納得の上で契約を結んでください。

次は、ガス管引き込み工事の日程調整や、道路管理者への許可申請など、工事の準備を行います。また、プロパンガス会社への解約連絡と設備撤去の調整も、このタイミングで行います。

次は、実際にガス管を引き込むため、公道に埋設した本管から住宅の外壁までの配管工事を行います。道路の掘削が必要な場合もあります。

最後に、ガス機器の設置・交換を行います。外壁にガスメーターが設置され、都市ガスの供給開始となります。

まとめ

ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。

都市ガスのメリットとデメリットは?
都市ガスのメリットは、料金が安いことやインフラが整備されていることです。一方デメリットは、供給地域が限られていることや災害復旧に時間がかかる場合があることです。
都市ガスの引き込み工事の費用はいくら?
都市ガスの引き込み工事にかかる費用は大体10万~15万円です。ただしガス本管が家屋の近くまで来ていない場合は、本管設置工事が必要になるため、追加費用が発生することがあります。
プロパンガスから都市ガスに変更する際の注意点は?
プロパンガスから都市ガスに変更する場合、ガス機器を調整もしくは交換する必要があります。なお調整は現行の機器の部品を交換して利用できるため、費用を抑えることができます。
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今村 一優の写真

エネルギー事業部責任者

今村 一優

新卒で太陽光発電事業を行うベンチャー企業に入社。商社部門の仲卸営業として、国内外の太陽光発電メーカーの商品を取り扱い、全国の販売施工会社を担当。その後、太陽光発電の一括見積もりサイト運営にも携わる。
2015年にはプロパンガス料金比較サービスenepi(エネピ)の立ち上げを行い、数万人のプロパンガス代削減のサポートをするサービスへ成長させる。
エネルギー領域で10年以上携わった経験と知識を活かして、じげんエネルギー事業のマネージャーにて事業開発を行なっている。

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ライター

藤巻 創

電気・プロパンガスに関する記事のライティングを担当。
制作ポリシーに基づいてエネルギー全般の記事作成・管理を行う。