賃貸住宅(アパート・マンション)はガス代が高い?
家庭で使用されているガスには「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類があります。
まずは、お住まいのアパートやマンションがどちらのガスを使用しているのか確認してみましょう。
ちなみに、都市ガスとプロパンガスの見分け方は「ガスボンベ」をチェックすることです。もしお住まいのアパートやマンションにガスボンベが設置されていればプロパンガス、設置されていなければ都市ガスとなります。
実は「ガス代が高すぎて困っている……」という方は、プロパンガスを使用しているアパートやマンションに住んでいるケースが多いです。
では、なぜアパートやマンションのプロパンガス代が高くなってしまうのでしょうか。
以下でその理由を解説します!
理由1:大家さんやオーナーが長年同じガス会社と契約している
マンションやアパートなどの賃貸住宅には必ず、その物件を管理する大家さんやオーナーさんが存在します。
そして、物件を貸し出すためには供給設備を整えなくてはなりません。
そこで、賃貸住宅のオーナーさんはガスの供給を開始するために、プロパンガス会社と契約します。
この契約を結ぶ際、昔からの付き合いを重視するなどの都合で、ガス代が高いプロパンガス会社と契約しているケースが多々あります。
そのため、入居者の皆さんが毎月高いガス代を払うことになってしまうのです。
理由2:入居者が初期費用や供給設備を負担している
プロパンガスの場合、戸建より賃貸のアパートやマンションの方がガス料金が高いことが多いです。
ちなみに都市ガスの場合はあまり差はありません。
その理由は大きく分けて二つあります。
まず一つは、大家さんがプロパンガス供給のためにかかった初期費用を、入居者のガス代に上乗せし回収しようとするケースがあるためです。
そしてもう一つは、ガス会社によって違いはありますが、ガス管の長さによってガス代が変わってくるというマイナーな事実があります。具体的には、ガス管とガスを使う場所の距離が長ければ長いほど、ガス代が高くなる場合があります。
ただし、ガス管に近い部屋の方がガス代が安いというわけではありません。物件の敷地全体に通っているガス管の長さで、その物件自体のガス料金が決まります。
そのため、敷地が広く、各部屋へガスを届けるガス管が長いほどコストがかかるため、物件自体のガス代が高くなりやすいのです。
賃貸住宅はガス会社(都市、プロパン)が決まっている?
一般に賃貸住宅のプロパンガス会社はあらかじめ決められています。
2016年電力の小売自由化によって、一般家庭で自由に電気を選べるようになりました。
そして、2017年から都市ガスも自由化され、ガス会社を自由に選べるようになりました。
しかし、プロパンガスは違います。戸建の場合は入居者がガス会社を選びますが、賃貸住宅の場合は大家さんがガス会社を選びます。
ちなみに、日本の一般家庭の何割がプロパンガスを利用しているかご存知でしょうか。
答えは約5割です。(※1)
つまり約半数がプロパンガスを使用していることになります。
一方で、日本で賃貸住宅に住んでいる方の割合はどれくらいでしょうか。
これは約45%です。(※2)
以上より概算ですが、日本の一般家庭の22.5%は賃貸住宅でプロパンガスを使用しているのです。
では、この22.5%の人たちは、ガス会社を変更することができないのでしょうか。
ガス代が高くても、そのまま払い続けるしかないのでしょうか。
いいえ、そうとは限りません!
手順を踏んで進めれば、ガス会社を切り替えられる可能性はあります。
次項ではその手順について、詳しく解説したいと思います。
出典:
※1 日本LPガス協会/LPガス事業の現在/需要
※2 総務省統計局/住宅・土地統計調査
これで解決!賃貸アパート・マンションでもプロパンガス代を安くする方法!
一般に、賃貸住宅といえばアパートやマンションを指す場合が多いでしょう。そういった集合住宅でプロパンガス会社を切り替えるためには、その物件の所有者や管理会社の承諾を得る必要があります。
しかし、ただ「ガス会社を切り替えたい」と言うだけでは、なかなか実現しないでしょう。いち入居者の意見を聞き入れてもらうためには、相手を納得させるための準備と交渉が必要になります。
では、その準備と交渉について、順を追って見ていきましょう。
STEP1:現在の契約を調べる
まずは、ご自身が契約しているのは本当にプロパンガスかどうかを確認しましょう。先述の通り、ガスボンベが付いていればプロパンガスです。
また他にも、検針票の料金内訳から判断することもできます。基本料が2000円前後、従量単価が700円前後であればプロパンガスです。
ちなみに、検針票の見方については以下の記事で詳しく解説しています。
プロパンガス(LPガス)の検針票の見方
なお、現在使用しているのが都市ガスだった場合は、プロパンガス会社に変更する必要はないでしょう。
というのも、基本的に都市ガスはプロパンガスよりも料金が安いからです。
わたしたちが毎月支払っているガス料金は、以下の計算式で算出されています。
そして、プロパンガスと都市ガスの基本料金および従量単価を比較すると以下の通りです。
基本料金 | 従量単価 | |
---|---|---|
都市ガス※1 | 1,056円 | 170円 |
プロパンガス※2 | 1,762円 | 600円 |
出典:
※1 東京ガス/東京地区等/一般契約料金/22年10月検針分
※2 日本エネルギー経済研究所石油情報センターのデータを基にエネピが独自で算出(東京都)
なお、都市ガスとプロパンガスの違いや料金比較については、以下の記事で詳しくまとめています。
プロパンガス(LPガス)とは?メリットとデメリット・都市ガスとの違いを解説
STEP2:物件種別の確認
次は物件の確認です。
一口に集合住宅と言っても、マンションやアパート、長屋などさまざまなです。また民間住宅か公営住宅かの違いもあります。
そして、それらの種別によってガス会社の切り替え手順も異なるのです。
民間住宅の場合、ガス会社の切り替えの契約書、いわゆる委任状を、物件のオーナーに用意してもらう必要があります。
一方、公営住宅の場合は市や県などの自治体からの許可が必要になります。
いずれにせよ委任状は必要になるのですが、物件によって相談先・交渉先が変わってくるのです。
STEP3:ガス会社の切り替えを申請する
以上の確認が済んだら、物件のオーナーにガス会社の切り替えを申請します。
申請する際のポイントは、「ガス会社を切り替えることで、オーナーにどんなメリットがあるのか」をしっかり伝えることです。
一番のメリットは「入居者の負担が減ること」ひいては「入居者が増えること」でしょう。
ちなみに、「入居者の負担がどれくらい減るのか」については、以下の記事を参考にしてみてください。
ガス代の平均はいくら?地域別・世帯人数別に紹介
STEP4:オーナーとガス会社との交渉
ガス会社の切り替えの申請が通ったら、いよいよ新しいガス会社の選定です。
複数のガス会社から見積もりを取り、より条件の良いガス会社を絞っていきます。
ただし、どのプロパンガス会社も、基本的には実際の現場に行かないと正確な見積もりは出せません。
そのため、ある程度条件やガス会社を絞ったら、そこから先はガス会社とオーナーが直接交渉を進めることになるでしょう。
STEP5:切替工事
新しいガス会社が決定したら、契約・工事へと進みます。
工事の内容および日数は物件やガス会社によって異なるので、事前に確認しておくと安心ですよ。
まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
賃貸アパート・マンションのプロパンガス代はなぜ高いのですか? |
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賃貸アパート・マンションのガス代が高くなる原因として次の事が考えられます。①大家さんが、プロパンガス供給のためにかかった初期費用を入居者のガス代に上乗せしている。②敷地が広く、各部屋へガスを届けるガス管が長いためコストがかかる。 |
賃貸アパート・マンションはガス(都市、プロパン)の契約変更はできないのですか? |
集合住宅では一部屋だけプロパンガスの契約を変更をすることはできません。そのため、まずは大家さんに契約変更が可能かどうか確認する必要があります。大家さんの承諾が得ることが出来れば契約変更は可能です。 |
賃貸アパート・マンションでもプロパンガス料金を安くする方法はありますか? |
賃貸アパート・マンションでガス代を安くする方法は、ガス会社の切り替えることです。切り替えの手順は次の通りです。①現在の契約を調べる、②物件種別の確認、③ガス会社の切り替えを申請する、④オーナーとガス会社との交渉、⑤切替工事。 |
アパートやマンションのプロパンガス料金を安くすることは、入居者にとっても大家さんにとってもメリットがあります。
「プロパンガス料金を節約したい!」という方は、ぜひガス会社の切り替えを検討してみてください。
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