「最近、電気代が上がって気になる…」「他の電力会社の案内が来るけど、今の東京電力(TEPCO)と比べて本当にお得になるの?」このように、電気代の見直しを考えている方も多いのではないでしょうか。特にauのスマホやUQモバイルのユーザーにとって「auでんき」は魅力的な選択肢に見えます。
この記事では、東京電力(TEPCO)からauでんきへの切り替えを検討している方のために、両社の料金体系、ポイント還元、切り替えの注意点やデメリットまで、包括的な視点で詳しく解説します。
この記事で分かること
- auでんきへの切り替えがおすすめな人と、東京電力のままが良い可能性がある人の特徴
- auでんきと東京電力(TEPCO)の電気料金単価は、ほぼ同じであること
- 料金のお得度はPontaポイントの還元で決まり、auやUQモバイルの利用者ほど実質的にお得になる仕組みであること
- auでんきに切り替える際のデメリットや注意点(auユーザー以外はメリットが小さいこと、解約金の条件など)
- 東京電力からauでんきへ切り替えるための具体的な4つのステップ
結論:auでんきへの切り替えをおすすめする人
はじめに、どのような場合にauでんきへの切り替えを検討すべきか、ポイントを整理します。ここではユーザーを4つのタイプに分類し、それぞれに合わせた推奨事項を示します。ご自身の状況と照らし合わせて参考にしてみてください。
タイプ1:au経済圏を最大活用している
auでんきへの切り替えを推奨します。ただし、重要な留意点があります。最大のメリットは電気料金の直接的な割引ではなく、au PAY経済圏全体の利便性とポイント還元の強化にあります。このタイプのユーザーは、au PAY ゴールドカードを積極的に利用し、そのオートチャージ機能を活用することで、最大の価値を引き出すことが可能になります。
タイプ2:価格を最優先に考えている
auでんきへの切り替えは推奨されません。他の新電力と比較した場合、例えばシン・エナジーのような電力会社が、より明確に低い基本料金や電力量料金単価を提供していることが示されています。このタイプのユーザーにとって、複雑なポイント制度は月々の請求額を最小化するという主要な目的から逸れる要因となるでしょう。
タイプ3:リスク回避を重視している
特にエネルギー市場が不安定な時期において、このタイプのユーザーは東京電力(TEPCO)に留まることが最善の選択となる可能性があります。具体的には、旧来の料金プランである「従量電灯B」が持つ「燃料費調整額」の上限設定が、予期せぬ料金高騰に対する重要な防衛策となります。
タイプ4:テクノロジーを駆使して最適化を目指している
動的な価格設定に抵抗がなく、ご自身の電力消費パターンを積極的に調整できるユーザーは、Looopでんきのような市場連動型プランを検討すべきです。電力使用をオフピーク時間帯にシフトできる場合、大幅な節約が期待できます。したがって、auでんきはこのタイプには適合しません。
結論として、auでんきは電気料金自体が安くなるわけではなく、Pontaポイントの還元によって実質的にお得になる仕組みです。そのため、au関連サービスの利用者にはメリットが大きくなります。
【料金比較】auでんき vs 東京電力(TEPCO)
続いて、最も気になる「料金」について比較してみましょう。多くのユーザーは、「基本料金」や「従量料金」が請求額の全てだと考えがちですが、真のコスト差は変動しやすく、しばしば理解が難しい「調整額」に潜んでいます。
| 項目 | auでんき でんきMプラン(東京D) | 東京電力 スタンダードS | 東京電力 従量電灯B |
|---|---|---|---|
| 提供元 | auエネルギー&ライフ | 東京電力エナジーパートナー | 東京電力エナジーパートナー |
| 基本料金 (30A) | 935.24円 | 935.25円 | 935.25円 |
| 電力量料金 (1kWhあたり) | 1段階 (~120kWh): 29.79円 / 2段階 (~300kWh): 36.39円 / 3段階 (300kWh~): 40.48円 | 1段階 (~120kWh): 29.80円 / 2段階 (~300kWh): 36.40円 / 3段階 (300kWh~): 40.49円 | 1段階 (~120kWh): 29.80円 / 2段階 (~300kWh): 36.40円 / 3段階 (300kWh~): 40.49円 |
| 燃料費調整額の上限 | なし | なし | あり |
| 電源調達等調整額 | なし | なし | なし |
※料金は2025年11月時点の料金表に基づく一例です。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。
安定した基盤:基本料金と電力量料金
まず確認すべきは、auでんきの主要プラン「でんきMプラン(東京D)」と、東京電力の「スタンダードS」および旧来の「従量電灯B」プランを比較すると、契約アンペア数に基づく「基本料金」と、使用量に応じた「電力量料金」の単価がほぼ同一であるという事実です。
これは多くの新電力事業者が採用する戦略の一環です。既存事業者の料金体系を基準とすることで、自社の付加価値(ポイント還元など)を純粋な利益として見せやすくしています。
変動要因1:燃料費調整額
この調整額は、発電に使用される液化天然ガス(LNG)や石炭などの燃料価格の変動を、電気料金に反映させるための仕組みです 。ここで最も重要な違いは「上限」の有無です。東京電力の旧来プラン「従量電灯B」には、規制に基づきこの調整額に上限が設けられています。一方で、東京電力の新しい自由料金プラン「スタンダードS」や、auでんきを含むほぼ全ての新電力プランでは、この上限が撤廃されています。
世界的なエネルギー価格が安定している時期には、この上限の有無はほとんど問題になりません。しかし、2022年から2023年にかけて見られたようなエネルギー危機の際には、上限のないプランの料金が上限のあるプランに比べて劇的に高騰する可能性があります。
つまり、「従量電灯B」からauでんきに切り替えることは、消費者がこれまで保護されていた価格高騰のリスクを、知らず知らずのうちに引き受けることを意味します。このリスクは切り替えがもたらす重大な影響の一つです。
変動要因2:電源調達等調整額
これは燃料費調整額とは異なる、より新しい調整費用です。この費用は日本卸電力取引所(JEPX)のような卸電力市場から電気を調達する際のコストを反映するもので、一部のauでんきプラン(特にプラン名に「D」が含まれない「でんきMプラン(東京)」など)で採用されています。この仕組みは、卸売市場での価格急騰リスクをユーザーに直接転嫁する設計となっており、より高い変動性を持ちます。
auでんきのメリット(東京電力にはない強み)
auでんきのメリットの中核は「Pontaポイント還元」にありますが、その実質的な価値を理解するには、還元率の裏側にある仕組みを理解する必要があります。
| 世帯モデル | 月間使用量 | 提供元 | 年間電気料金 (概算) | 年間Pontaポイント価値 | 実質年間負担額 | TEPCO比の年間差額 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1人暮らし | 200 kWh | 東京電力 (スタンダードS) | 88,000円 | - | 88,000円 | - |
| auでんき (基本1%還元) | 88,000円 | 880円 | 87,120円 | +880円お得 | ||
| 4人家族 | 400 kWh | 東京電力 (スタンダードS) | 180,000円 | - | 180,000円 | - |
| auでんき (基本1%還元) | 180,000円 | 1,800円 | 178,200円 | +1,800円お得 | ||
| auでんき + ゴールドカード (オートチャージ特典3%達成) | 180,000円 | 1,800円 + 7,200円 | 171,000円 | +9,000円お得 |
※シミュレーションは簡略化のため、燃料費調整額や再エネ賦課金の影響を一定と仮定しています。実際の料金は毎月変動します。ポイントは税抜料金から計算されます。「1ポイント=1円」として換算。 オートチャージ特典は月20,000円のチャージ(3%還元で月600ポイント)を想定。
標準的なポイント還元
auでんきでは、毎月の電気料金(税抜の基本料金と電力量料金の合計)に応じてPontaポイントが還元されます。基本的な還元率は、月の電気料金が8,000円未満の場合は0.5%、8,000円以上の場合は1%となります 。広告等で見られる「最大5%」という還元率は、特定の通信プラン利用者向けのキャンペーンなど、限定的な条件下でのみ適用されるものであり、全てのユーザーに保証されるものではありません。
au PAY ゴールドカードの相乗効果
au PAY ゴールドカードで電気料金を支払うと、さらなるポイント還元が得られます。ただし、その仕組みは一般的に考えられているよりも複雑です。これは単純な電気料金支払いに対するボーナスではありません。
この特典の中心は「ポイントアップリワード(オートチャージ特典)」です 。auでんきの料金をゴールドカードで支払うことは、au PAY残高へのオートチャージ額に対して最大5%の還元を得るための5つの条件のうちの1つに過ぎません。この5%還元を達成するには、以下の条件を全て満たす必要があります。
- au PAY ゴールドカード会員であること (+1%)
- 支払い口座にauじぶん銀行を設定すること (+1%)
- auでんきの料金を支払うこと (+1%)
- 家族カードを利用すること (+1%)
- ETCカードを利用すること (+1%)
この事実から明らかになるのは、auでんきがKDDIの金融サービスエコシステム全体への顧客の囲い込みを目的とした商品として機能しているという点です。したがってユーザーが得られる価値は、自身のライフスタイルがどれだけ深くau経済圏に統合されているかに依存します。なお、この特典によるポイント還元は月間1,000ポイントという上限が設定されています。
auでんきのデメリットと注意点
auでんきの切り替えを検討する際に知っておくべき注意点も確認しておきましょう。
注意点1:電気料金自体は安くならない
前述のとおり、料金単価は東京電力とほぼ同じです。 ポイント還元を「お得」と感じない場合は、メリットがありません。
注意点2:auユーザー以外はメリットが小さい
auやUQモバイルの対象プラン利用者でない場合、ポイント還元率は1%となります。 他の新電力会社のほうが料金プラン自体が安価なケースが考えられます。
注意点3:解約違約金(条件あり)
auでんきには「でんきMプラン」「でんきLプラン」があり、これらには原則として解約違約金はありません。ただし、特定のキャンペーン(例:auセット割)を利用して申し込んだ場合、契約期間や違約金が設定されるケースがあります。申し込み前に条件をよく確認することが重要です。
【不安解消Q&A】停電は?サポートは?
auでんきを含む新電力への切り替えでよくある疑問点にお答えします。
Q. auでんきに切り替えたら、停電しやすくなったり電気の品質が落ちたりしませんか?
A. まったく問題ありません。
auでんきに切り替えても、電気はこれまで通り東京電力の送電網(電線や電柱)を通って送られてきます。そのため、電気の品質や安定供給、災害時の復旧などは東京電力と全く同じです。 契約先がauでんきに変わるだけで、電気が不安定になることはありません。
Q. 困ったときのサポート体制は大丈夫ですか?
A. auのサポート窓口(電話やWeb)が対応します。
電気に関するトラブルや契約内容の確認は、auでんきのカスタマーセンターが受け付けます。東京電力とは窓口が変わる点は認識しておきましょう。
東京電力からauでんきへの切り替え方法
切り替え手続きは非常に簡素化されています。原則として、大掛かりな工事や長時間の立ち会いは不要です。
【STEP1】検針票の準備:現在契約中の東京電力から毎月届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」または会員サイト「くらしTEPCO WEB」を用意し、「供給地点特定番号(22桁)」と「お客様番号」を確認します。
【STEP2】オンラインでの申し込み:auでんきの公式サイトから、準備した情報と契約者情報を入力して申し込みを完了させます。
【STEP3】スマートメーターの設置:自宅の電力メーターが旧式の場合、地域の電力会社(東京電力)がスマートメーターに交換します。この交換費用は原則無料で、立ち会いも基本的には不要です。
【STEP4】利用開始:申し込みから約1~2週間でauでんきの利用が開始されます。重要な点として、現在の電力会社(東京電力)への解約連絡は不要です。auでんきへの申し込みが完了すると、auでんきが解約手続きを代行してくれます。
まとめ
んきが全ユーザーにとっての最適解ではないことが明らかになりました。その価値は、各々のライフスタイル、リスク許容度、そしてau経済圏への関与度によって大きく変動します。
以下に、冒頭で提示した「ユーザーのタイプ別の推奨ポイント」を、本記事で詳述した根拠と共に再提示します。
au経済圏の最大活用者へ: 既にauのサービスを多用し、au PAY ゴールドカードのオートチャージ機能を最大限活用する意思があるならば、auでんきはポイント収益を最大化するための有効なツールとなります。ただし、燃料費調整額の上限がないことによる価格変動リスクは常に認識しておく必要があります。
価格最優先の消費者へ: 電力会社選びはシン・エナジーのような新電力の料金プランの検討から始めるべきです。auでんきのポイント還元による間接的な利益よりも、月々の請求書に直接反映される料金の安さが、より明確なメリットをもたらすでしょう。
リスク回避を重視する方へ: 予測不可能なエネルギー市場において、東京電力の旧来プラン「従量電灯B」が提供する「燃料費調整額の上限」は、金銭的に評価しがたい安心感をもたらします。このプランから他の上限がないプランへ切り替える際は、自身が新たに引き受けることになる変動リスクを慎重に評価してください。
最適な電力会社は一つではありません。ご自身の電力使用状況、ライフスタイル、そして何を最も重視するか(価格、ポイント、リスク回避)を明確にした上で、本記事で提示した比較表や分析を参考に検討してみてください。
また、さらに多角的な比較を望む場合や、より多くの選択肢を比較検討したい場合は、エネピの「料金比較サービス」をぜひ活用してみてください。
エネピでは、お客様一人ひとりの家族構成やライフスタイルに適した電気料金プランの無料相談を実施しております。これまでにも毎月1万名のお客様に提案させていただいており、平均で年間21,071円※の電気代を削減しています。ぜひこの機会に相談してみてください。
※エネピのユーザー様の削減実績データから算出した金額です
※3~4人暮らしの場合の金額です
