「雪害による災害」と聞いてはじめに思いつくのは、「雪崩に巻き込まれる」や「除雪中の事故」といったものが多いのではないでしょうか。確かに、このような災害はインパクトも大きく、イメージも湧きやすいかもしれません。ところが、雪害の脅威はこれだけではありません。実は、「プロパンガス設備の損傷」という雪害も毎年多く発生していることはご存知でしょうか。
プロパンガスの雪による被害
大雪が降った後、家の屋根に積もった雪が外に置いてあるガス設備(ガス管、ガスメーター、ガスボンベ)の上に落ち、
接続部分のような弱い個所を破壊してしまうことがあります。
そのまま放置してしまうと、予期せぬ事故につながる可能性もあり、大変危険です。
これが、ガス設備への雪害と呼ばれているものです。
全国と東北地域での雪害被害件数推移
こちらのグラフは、最初に紹介したグラフの対象を東北6県に絞ったものです。
全国版のグラフとは対照的に、雪害によるプロパンガス(LPガス)事故の割合がほぼ毎年50%を超えていることがわかりますね。
すなわち、東北地方のような豪雪地帯においては、プロパンガス(LPガス)事故の半分は雪によって引き起こされているのです。
雪によるプロパンガス(LPガス)設備への被害対策の必要性を感じますね。
(グラフは、総務省東北管区行政評価局「LPガスの安全確保等に関する行政評価・監視
-自然災害対策を中心として-結果報告書」http://www.soumu.go.jp/main_content/000374041.pdfより筆者作成)
落雪の際に注意しなければならないこと
プロパン設備が損傷し、点検や修理が必要になってしまうような事態に備え、落雪があった際には、ガス設備の周辺は念入りに雪かきをしておきましょう。緊急を要するときに雪のせいで作業が遅れてしまえば、それだけ事故も大きくなってしまいます。屋根から雪が落ちる音が聞こえた時には、できるだけ速やかに家の周辺を確認するようにしましょう。
プロパンガスを破損させないための対策
それでは、雪によるプロパンガス(LPガス)設備への被害を防ぐためにはどのような対策が必要なのでしょうか。
主な原因としては、屋根からの落雪や人力による雪下ろしの際に、地上付近に置いてあるガス設備の上に雪が落ちることです。
従って、一番有効な対策としては、ガス設備に雪が落ちないようにすることになります。
具体的には、ガス設備を安全な場所へ移動させることや、雪囲いを付けることなどが挙げられます。
また、自分の家の屋根からの落雪だけでなく、隣の家からの落雪や雪下ろしによる被害も発生しています。
自分の住んでいる家のことだけでなく、近所に住んでいる人のことも考慮して、雪下ろしは行いたいですね。
雪で被害にあったときの対処法
いくら十分に対策を練っていたとしても、
どうしても事故は発生してしまうものです。
もしもガス臭い、
燃焼器具からススが出ているなどの
異常を発見したら、
すぐにプロパンガス(LPガス)販売店へ
連絡をしましょう。
異常を放置すれば、
予想以上に重大な事故へと発展する
恐れもありますので、他人事とは思わず、
スピーディーな対応をしましょう。
まとめ
以上が、雪によるプロパンガス(LPガス)設備への
被害についてのまとめでした。
「雪とガス」という、結びつきが
あまりイメージしにくいような組み合わせではあるものの、
決して無視することはできない、
大切な知識であることがわかりましたね。
豪雪地帯のお住まいの方だけでなく、
あまり雪の降らない地域にお住まいの方も、
雪の降った日には家のガス設備のことを
思い出してあげましょう。