これからプロパンガスを設置しようとお考えの方・経年劣化によるガス機器の買い替えを検討されている方の中には、その設置費用がそのくらいかかるのか気になる方が多いと思います。

プロパンガスの配管工事・給湯器などのガス機器の買い替えは、「無償貸与」と呼ばれる契約をガス会社とかわすことで、費用の無償化や大幅な減額を行うことができます。

この「無償貸与」は上手に利用すればとても便利な契約ですが、仕組みを理解せずに契約を交わすと将来的に大きく損をしてしまう可能性があります。

そこで本記事では、「無償貸与」の仕組みをしっかり理解してお得に使いこなすためのポイントをまとめました。
一般の入居者はもちろん、アパートやマンションなどの賃貸住宅の経営者も、費用削減のためにチェックしてみてください!


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無償貸与契約とは

無償

無償貸与とは、配管工事やガス機器の購入・取り付けにかかる費用をガス会社が負担する代わりに、ガスの供給を受ける期間に縛り(最低契約期間)を設けるという仕組みです。

この契約は「工事費用・購入費用を完全に無料にする」という契約ではなく、契約期間中のガス料金に分割した工事費用・購入費用を上乗せし、入居者が払っていくという契約です。

一般的には、10,000円の無償貸与をうけるごとに10円ほど従量単価が値上げされます。

無償貸与を受けている設備は、最低契約期間の間はガス会社の所有物であり、最低契約期間後は契約者の所有物になります。

最低契約年数として多くは10~15年の期間が置かれ、この期間中にガスを解約すると、工事費用・購入費用の残金を違約金(解約金)として請求されます。

身近な契約の中では、携帯電話の機種代金分割などが無償貸与で支払う代金に近しいものになります。

例えば、15万円の配管工事について無償貸与を受け15年の最低契約期間が置かれているケースで、10年目でガスを解約する場合には、以下のようにして違約金(解約金)が求められます。

150,000円÷15年=10,000円
10,000円×(15年-10年)=50,000円

かかる違約金は50,000円

※違約金の計算方法はガス会社との契約内容により異なります

無償貸与の契約を結ぶと入居者や賃貸経営者がガス会社を切り替えにくくなるので、プロパンガス業界において無償貸与は積極的に用いられています。

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「これまでのプロパンガス会社を切り替える」

そんな折には、料金プランだけでなく無償貸与にも注目してみてくださいね。


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無償貸与契約のメリット

メリット

無償貸与を受ける際、入居者や賃貸経営者には以下のようなメリットがあります。

配管やガス機器の設置にかかる初期費用がなくなるため、その分の費用を別の用途に使用できる

引っ越しの際には様々な費用がかかります。
その際に、15~20万円ほどかかるプロパンガスの設置費用やガス機器の購入代金を一括で負担するのは、なかなか大変な方も多いと思います。

そのような場合には、無償貸与を受けることで初期費用をなくすことができるので、メリットがあるといえるでしょう。


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無償貸与契約のデメリット

デメリット

無償貸与を受ける際、入居者や賃貸経営者には以下のようなデメリットがあります。

  • 自由にプロパンガス会社を切り替えられない
  • 契約期間中に不当な値上げをされる可能性がある
  • 最低契約期間が過ぎたあともプロパンガス料金が下がらない可能性がある

前述のように、無償貸与を受ける際には最低契約期間が置かれ、期間内の解約には違約金(解約金)が発生します。

そのため最低契約期間中は同じガス会社で契約を続けるのが普通ですが、この仕組みを悪用し、不当なガス料金の値上げを行うガス会社も存在します。

また、最低契約期間がすぎ、無償貸与の償却が終わった後もガス料金を下げてくれないガス会社もいます。

これらのデメリットは、ガス料金の変動をしっかりと把握し、必要であればガス会社と料金の交渉を行うことで最小限にすることができます。

ちなみに、当社が運営するenepiでは、「不当な値上げなし」などの条件で選定した、優良なガス会社のみを紹介しております。ガス会社をお探し折はぜひ活用してみてください。


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無償貸与の利用で起こりうるトラブル

プロパンガス会社と無償貸与の契約を交わす際、起こりやすいトラブルには以下のようなものがあります。

  • プロパンガス会社の切り替えに違約金がかかってしまう
  • 必要以上に高いガス料金設定をされてしまう
  • 減価償却が終わった後もガス料金が下がらない
  • 無償貸与について記載された契約書が見つからない

ちなみに、2番目の「高いガス料金設定」や、3番目の「ガス料金が下がらない」といったトラブルは、適正なガス会社と契約することで防ぐことができます。

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それでは、上記4つのトラブルについて詳しく見ていきましょう。

プロパンガス会社の切り替えに違約金がかかってしまう

違約金

プロパンガス会社を切り替える際、無償貸与契約を交わしている場合には、10~15年以内のガス会社切り替えについて違約金(解約金)がかかります。

プロパンガスの料金は各ガス会社が自由に決められるというルールになっています。
そのため、光熱費の削減のためには、定期的に現在使用しているプロパンガス会社の料金を確認し、相場より高い場合には別のガス会社へ切り替えるのが望ましいです。
しかし、無償貸与の契約を交わしていると、今のガス会社の解約にお金がかかるので、プロパンガス会社の切り替えが難しくなります。

なお、違約金(解約金)として、多くの場合はガスの配管工事の代金・ガス機器の購入設置費用がかかりますが、まれに法外な額の違約金(解約金)を設けているガス会社も存在します。

このような法外な額を違約金として請求するケースについても過去に訴訟が起こされており、「支払い義務なし」という判決が出ています。
以下の判例では、280万円の違約金の支払いを求める条項において当事者間の合意の成立を否定し、支払い義務なしとしています。

JACAS185判例紹介
(第一審旭川地裁 平成28年3月30日判決、控訴審 札幌高裁平成28年9月14日判決)

また、違約金(解約金)が軽微な金額の場合は、切り替え先のガス会社が肩代わりをしてくれるケースもあります。

もし違約金(解約金)を理由にプロパンガス会社の切り替えを諦めているのであれば、一度ガス会社に相談してみましょう。

必要以上に高いガス料金設定をされてしまう

ガス料金の請求書

先述の通り、プロパンガス会社から無償貸与を受ける際には、配管工事やガス機器の購入設置費用分の料金が10,000円につき約10円ほど従量料金に上乗せされます。

中には、この上乗せ分のガス料金が無償貸与にかかった費用よりも大幅に高く設定されるケースもあります。

例えば、150,000円分の無償貸与について従量単価が500円上乗せされるなどされた場合には、明らかに上乗せ料金が高額です。

上記のケースを、毎月の平均使用量を3㎥・契約期間を15年として試算すると、以下のようになります。

500円×3㎥×12ヶ月×15年=270,000円
270,000円-150,000円=120,000円

120,000円の損!

このように損をしてしまうことを防ぐために、無償貸与を受ける際にはいくらガス料金が高くなるのか事前にしっかり確認し、計算してから意思決定を行いましょう。

減価償却が終わった後もガス料金が下がらない

減価償却のイメージ

無償貸与契約において最も起こりやすいトラブルとして、「減価償却後にもガス料金が下がらない」というトラブルがあります。

原則、無償貸与にかかった費用は最低契約期間中に払い終わるように設定されています。
そのため、最低契約期間を過ぎても上乗せ分のガス料金を下げてもらえない場合は、上乗せ分がそのままガス会社の利益になります。

このような場合には、プロパンガス会社を切り替えて、適正な価格でプロパンガスの供給を受けましょう。

無償貸与について記載された契約書が見つからない

書類を紛失した女性

あまり規模の大きくないプロパンガス会社や、昔ながらの経営を行うプロパンガス会社の中には、無償貸与の文言を契約に記載していなかったり、そもそも消費者と契約書をかわしていなかったりする会社もいます。

無償貸与について記載された契約書が見つからない場合には、上記のケースを疑いましょう。

この場合には、法的措置をとることで違約金(解約金)を支払う義務が発生しないと証明されることがあります。


トラブルを避けるために、ガス会社は慎重に選びましょう

上記のようなトラブルを避けるために、入居者や賃貸経営者は何をすればよいのでしょうか。

第一に気をつけてほしいのは、ガス会社の選び方です。

プロパンガス業界は、料金プランやサービス内容がバラバラですので、複数のガス会社をよく比較した上で、信頼できるガス会社を選びましょう。

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どちらでガスを使用しますか?

給湯器の取り付け・交換には無償貸与をうまく利用しよう

給湯器の種類にもよりますが、給湯器の取り付け・交換にはおおよそ100,000円〜150,000円ほどの費用がかかります。

もし給湯器の費用を払うのが苦しいと感じたら、給湯器の無償貸与を受けることを視野に入れても良いかもしれません。

ここまでにご説明したとおり、確かに無償貸与にはデメリット・トラブルなども多いです。

しかし、消費者がそれらによって被る損害を防ぐための知識を持っていれば、無償貸与は一概に損をするだけの悪習ではなく、有用な契約の一つになり得ます。


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無償貸与を受ける際に確認すべきこと

配管工事やガス機器の購入設置について無償貸与を受けたいと思った時、損をしないために確認すべきことは以下の4つです。

  • 無償貸与契約を交わすガス会社は信用できるガス会社か
  • 契約書の内容に問題はないか
  • 貸与金額が適正か
  • メンテナンスはあるか

無償貸与契約を交わすガス会社は信用できるガス会社か

信頼感のある会社員

無償貸与契約を交わす際には、信用できるガス会社かどうかを見極めましょう。
プロパンガス業界は非常に不透明で閉鎖的な業界なので、他の業界では考えられないほど悪徳な営業を行うガス会社も存在しています。

そのようなガス会社で無償貸与契約を結んでしまうと、後にトラブルに発展する可能性が非常に高いです。

無償貸与を受ける際には、事前にガス会社の評判をしっかり確認して、信用できるガス会社を選びましょう。

契約書の内容に問題はないか

契約書

無償貸与を受ける場合には、ガス会社からもらう契約書をしっかり確認した上で合意の捺印をしましょう。

違約金(解約金)の条項の内容に問題はないか、どれだけの金額について減価償却が必要になるのか、無償貸与をうけることでいくらガス代が値上げされるのか、これらがはっきりとしていなかった場合には、解約の際にトラブルになります。

契約書を一から確認するのは大変ですが、損をする可能性を少しでも減らすために手間を惜しまないようにしましょう。

貸与金額が適正か

貸与にかかる費用

前項でも触れましたが、無償貸与を受ける時は「どれだけの金額について減価償却が必要になるのか」はきちんと確認しましょう。

例えば無償貸与契約を交わして給湯器の購入設置をお願いする場合、機器の種類にもよりますが、200,000円以上の貸与金額が設定されていたら相場以上の貸与金額を提示されていると考えていいでしょう。
可能であれば、一体何にどれだけお金がかかったのかを明確にするために明細書をもらった上で貸与金額が適正化を判断しましょう。

メンテナンスはあるか

給湯器のメンテンナンスをする作業員

無償貸与を受けて取り付けてもらったガス機器の故障があった際、メンテナンスをしてくれるプランを用意しているガス会社もあります。

ガス機器は一般的に10年〜15年が寿命なので、最低契約期間中に故障してしまう可能性があります。
そのような場合にどのような対応をしてもらえるのかは、事前に確認して把握しておきましょう。


無償貸与を受ける際は、ガス会社をしっかり比較しよう!

以上の点を事前に確認していれば、無償貸与によって後悔することはないでしょう。

ただ、「ガス会社が信用できるか」「貸与金額が適正か」といった点については、一つのガス会社をみただけでは判断が難しいですよね。

ぜひ複数のガス会社を見比べて、それぞれがどんな条件で無償貸与を提供しているのか確認してみてください。

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Step1

ガス料金を比較したい物件は?

Step2

どちらでガスを使用しますか?

【物件別】無償貸与がされる設備

無償貸与は一般的に配管設備とガス機器について行われる事が多いですが、物件の種別によっても若干異なります。

一戸建の場合

一戸建て

一戸建ての場合、「給湯器」「ガスの配管設備」について無償貸与が行われることが多いです。

・給湯器
給湯器の商品寿命とプロパンガスの契約期間が近いこともあり、ガス機器の中でも最も多く無償貸与が利用されています。

給湯器が壊れたのをきっかけにプロパンガス会社自体を切り替えるケースも多いです。

・配管設備

ほとんどの建売住宅の新築では、配管工事には無償貸与が採用されています。

配管設備と聞くと公共のもののように感じるため、お金を払うイメージがあまりないかもしれません。

一戸建の場合

私たちが使用している配管設備には、「供給設備」と「消費設備」と呼ばれる
2種類の配管設備があります。(上図参照)

「消費設備」とは、家の下を通っている配管を指し、管理の所在は住んでいる人にあります。

無償貸与にすれば、この配管は契約しているガス会社が負担してくれるため、実質リースのような契約になります。

そのため、ガス会社を変更することになった場合は、そのガス会社との契約残存分の料金を支払う必要がでてきます。

上記を踏まえ、注文住宅の場合、配管や給湯器などを無償貸与にするのか購入するのか着工前の段階で決めておきましょう。


集合住宅(オーナー)の場合

集合住宅

アパートやマンションなどの集合住宅の場合、「給湯器」「ガスの配管設備」に加えて、「エアコン」「インターフォン」などについても無償貸与を受けているケースがあります。

なお、ご自身で月々のガス料金を払っている場合でも、集合住宅を賃貸で契約している
入居者はガス会社と契約していないので、ここでは対象外になります。

・給湯器/配管設備

戸建住宅と同様に、給湯器や配管といった設備も貸与の契約になる場合がほとんどです。

しかし、戸建と違い構造や機器の種類によって工事が複雑になるので、集合物件は戸建て物件よりも貸与料金は高くなりがちですが、無償貸与分の料金は入居者の毎月のガス代に上乗せすることで回収するケースが多いです。

そのため、集合住宅のオーナーの方にとっては無償貸与はお得な制度と言えるでしょう。

・エアコン/インターフォン

機器や設備の他にも、エアコンやインターホンの設置について無償貸与を受けられる可能性があります。

その分高額な貸与契約になるかもしれませんが、オーナーの方にとっては設備を一新するための方法の一つになり得ます。

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まとめ

ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。

プロパンガス給湯器などの無償貸与とは何ですか?
無償貸与とは、配管工事やガス機器の購入・取り付けにかかる費用をガス会社が負担する代わりに、ガスの供給を受ける期間に縛り(最低契約期間)を設けるという仕組みです。
プロパンガス会社との無償貸与の契約を交わす際の、注意点などはありますか?
プロパンガス会社と無償貸与の契約を交わす際、起こりやすいトラブルには以下のようなものがあります。 ①ガス会社の切り替えに違約金がかかってしまう ②必要以上に高いガス料金設定をされてしまう ③減価償却が終わった後もガス料金が下がらない ④無償貸与について記載された契約書が見つからない
プロパンガス給湯器のリース時に確認するべきことを教えてください。
無償貸与を受ける際に確認すべきことは、 ①無償貸与契約を交わすガス会社は信用できるガス会社か ②契約書の内容に問題はないか ③貸与金額が適正か ④メンテナンスはあるか といった点です。

配管工事費用や・給湯器・その設置費用は、「無償貸与」によってプロパンガス会社が負担していますが、その費用は毎月の料金に上乗せされており、利用者が支払っています。

多くの場合、15年以内に解約しようとすると、貸与費用の残存金額を一括精算しなくてはなりません。

無償貸与には、「自由にプロパンガス会社を切り替えられない」「契約期間中に不当な値上げをされる可能性がある」「最低契約期間が過ぎたあともプロパンガス料金が下がらない可能性がある」などのデメリットがあります。

しかし、事前に損をしないための知識を身に着けておけば、「配管やガス機器の設置にかかる初期費用がなくなるため、その分の費用を別の用途に使用できる」などの便利な側面もあります。

プロパンガスの料金比較サービス「enepi」では、厳選したプロパンガス会社に無料で相談ができるので、無償貸与を受けることを検討している場合・無償貸与を受けているガス会社から別のガス会社へ切り替えたい場合にはとても便利です。

ぜひお気軽にご相談ください。


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今村 一優の写真

エネルギー事業部責任者

今村 一優

新卒で太陽光発電事業を行うベンチャー企業に入社。商社部門の仲卸営業として、国内外の太陽光発電メーカーの商品を取り扱い、全国の販売施工会社を担当。その後、太陽光発電の一括見積もりサイト運営にも携わる。
2015年にはプロパンガス料金比較サービスenepi(エネピ)の立ち上げを行い、数万人のプロパンガス代削減のサポートをするサービスへ成長させる。
エネルギー領域で10年以上携わった経験と知識を活かして、じげんエネルギー事業のマネージャーにて事業開発を行なっている。

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ライター

藤巻 創

電気・プロパンガスに関する記事のライティングを担当。
制作ポリシーに基づいてエネルギー全般の記事作成・管理を行う。