電気料金の高騰が続く中、「今のまま東京電力でいいのか、ENEOSでんきに切り替えたほうが安いのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ENEOSでんきは、特に「電気の使用量が多い家庭」や「頻繁に車を運転する方」にとって大きなメリットがあるサービスです。しかし、住環境やライフスタイルによっては、必ずしも安くなるとは限りません。
本記事では、2026年現在の最新料金状況に基づき、東京電力とENEOSでんきの違いを徹底比較します。どちらを選ぶべきかの判断基準が明確になりますので、ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- 東京電力とENEOSでんきの料金体系や単価の具体的な違い
- ENEOSでんき独自の「ガソリン・軽油・灯油」セット割引の仕組み
- 世帯人数や車の利用頻度に応じたシミュレーション結果
- 電力会社を切り替える際の具体的な手続きの手順
- 自分に最適な電力会社を選ぶための明確な判断基準
料金体系の徹底比較:ENEOSでんきの特徴とは

まずは、東京電力(従量電灯B)とENEOSでんき(東京Vプラン)の基本的な料金構造を比較してみましょう。
基本料金(契約アンペア制)
東京電力は契約アンペア数に応じた基本料金制度を採用しています。これは設備形成費用を回収するための固定費です。ENEOSでんきは30A(アンペア)以上の契約者を対象としており、基本料金については東京電力と完全に同額設定としています。
| 契約アンペア | 東京電力EP | ENEOSでんき | 差異 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 10A | 311.75円 | - | - | ENEOSは対象外 |
| 15A | 467.63円 | - | - | ENEOSは対象外 |
| 20A | 623.50円 | - | - | ENEOSは対象外 |
| 30A | 935.25円 | 935.25円 | ±0円 | 同額 |
| 40A | 1,247.00円 | 1,247.00円 | ±0円 | 同額 |
| 50A | 1,558.75円 | 1,558.75円 | ±0円 | 同額 |
| 60A | 1,870.50円 | 1,870.50円 | ±0円 | 同額 |
電力量料金単価(従量部分)
従量料金単価について比較する際に重要となるのは、ENEOSでんきに適用可能な「にねんとくとく割」の存在です。同割引を適用した実質単価を比較すると、以下の通りです。
| 使用量範囲 | 東京電力EP | ENEOSでんき | ENEOSでんき ※割引適用後 | 差異 |
|---|---|---|---|---|
| 0〜120kWh | 29.80円 | 29.80円 | 29.60円 | +0.20円 (ENEOS安) |
| 121〜300kWh | 36.40円 | 34.85円 | 34.65円 | +1.75円 (ENEOS安) |
| 301kWh〜 | 40.49円 | 36.90円 | 36.70円 | +3.79円 (ENEOS安) |
- 第1段階: 割引適用によりENEOSがわずかに安価となります。
- 第2段階: 月間使用量が120kWhを超える多くの家庭でメリットが生じ始める分岐点です。
- 第3段階: 電気を多く使う家庭ほど、ENEOSでんきの恩恵が増大する構造です。
「にねんとくとく割」の仕組み
ENEOSでんきは、長期契約を条件とした追加割引オプション「にねんとくとく割」を提供しています。
| 契約期間 | 割引単価 (1kWhあたり) | 違約金 |
|---|---|---|
| 1〜2年目 | 0.20円 | 1,100円 |
| 3年目以降 | 0.30円 | 1,100円 |
-
割引内容:
1〜2年目: 1kWhあたり 0.20円 割引
3年目以降: 1kWhあたり 0.30円 割引 - 解約違約金: 更新月(適用開始から23・24ヶ月目)以外に解約する場合、1,100円(税込) の解約手数料が発生します。
0.20円/kWhという割引額は、月間400kWh使う家庭でも月額80円程度の節約にしかなりません。金額的インパクトは小さいものの、「解約手数料」を設けることで顧客の流動を防ぐという戦略的な意味合いが強いと言えます。
ただ、1,100円という違約金は携帯電話業界のかつての違約金(9,500円等)に比べれば極めて低額であり、より良い条件の電力会社が現れた場合の乗り換え障壁としては軽微と言えるかもしれません。
燃料費調整額の上限撤廃
2022年11月1日、ENEOSでんきは燃料費調整額の上限設定を廃止しました 。これにより、燃料価格が青天井に上昇した場合、そのコスト増は100%ユーザーに転嫁されます。2026年1月時点では燃料費調整額がマイナス圏にあるため、この「上限撤廃」の実害は発生していません。
しかし、地政学的リスク(中東情勢の悪化、ホルムズ海峡の封鎖など)により原油価格が急騰した場合、東京電力の規制料金(従量電灯B)に留まっているユーザーは守られますが、ENEOSユーザーは直撃を受けることになります。この「潜在的リスク」を許容できるかどうかが、契約判断の分かれ目となります。
ENEOSでんき独自の強み「ガソリン・軽油のセット割引」

ENEOSでんきを選ぶ最大のメリットは、電気代そのものだけでなく、車に関わるトータルコストを削減できる点にあります。
- ENEOSカード割引: ENEOSカードで電気代を支払うと、ガソリン・軽油がさらに「1リットルあたり1円引き(最大月150Lまで)」などの優待を受けられます。
- モバイルEneKey連携: 普段お使いのアプリやEneKeyと連携させることで、給油のたびにポイント還元や割引の恩恵を受けられます。
ENEOSカードの割引特典
毎月のカード利用額に応じて、翌月のガソリン・軽油単価が最大7円/L引きになります。ENEOSでんきのカード決済者は、この値引きにさらに1円/Lが上乗せされます(合計最大8円/L引き)。ちなみに、月間給油量が50L(軽自動車1〜2台)、100L(ミニバン・長距離通勤)の家庭で割引効果を試算します。
| 月間給油量 | カード割引 (+でんき特典) | ガソリン節約額 | 電気代差額との合算効果 |
|---|---|---|---|
| 50L | ▲3円/L (計150円) | 150円 | 電気代メリットが薄くても黒字化しやすい |
| 100L | ▲5円/L (計500円) | 500円 | 確実なメリット。年間6,000円相当 |
| 150L | ▲7円/L (計1,050円) | 1,050円 | 圧倒的優位。電気代が高くても元が取れる |
EneKeyとTポイント(Vポイント)の連携
ENEOSでんきは、クレジットカードを持たないユーザーに対しても、Vポイント(旧Tポイント)の付与や、特別提携カード(ANAカード、ビューカード等)によるポイント優遇を提供しています。しかし、還元率の観点からは「ENEOSカードによるガソリン値引き」が最も高いパフォーマンスを発揮します。車を所有しない家庭がENEOSでんきを選ぶ場合、この特典(ガソリン割引)を捨てることになるため、東京電力に対する優位性は著しく低下します。
【世帯別】どちらがお得?シミュレーション
ここでは具体的な世帯モデルについて、東京電力EP(従量電灯B)とENEOSでんき(東京Vプラン+にねんとくとく割)の料金を算出し、その差異を分析します。各モデルにおける、ENEOSでんきの年間削減額(概算)は以下の通りです。
| モデル | 年間削減額(電気のみ) | 削減率 | 推奨度 |
|---|---|---|---|
| A: 単身 (180kWh) | 約 1,548円 | 2.1% | △ (条件付き) |
| B: 二人 (300kWh) | 約 4,068円 | 3.3% | 〇 (推奨) |
| C: 標準 (450kWh) | 約 10,884円 | 5.6% | ◎ (強く推奨) |
| D: 大家族 (600kWh) | 約 17,712円 | 6.7% | ◎ (必須級) |
本シミュレーションの結果、2026年1月時点の環境下において、ENEOSでんき「東京Vプラン」への切り替えは、コスト削減の観点から有効な選択肢であると言えます。特に、以下の条件に該当する家庭は切り替えを検討する価値があります。
- 3人以上の世帯、または月間使用量が300kWhを超える世帯
- ENEOS都市ガスの提供エリア内に居住している世帯
- 自動車を所有し、ENEOSサービスステーションを利用する機会がある世帯
一方で、月間使用量が150kWhを下回る省エネ単身世帯においては、削減額が年間1,000円程度にとどまるため、契約切り替えの手間や将来的な燃料高騰リスク(上限撤廃リスク)を天秤にかけ、現状維持(東京電力)を選択することも合理的な判断と言えます。
乗り換えに関する不安を解消:安定性と手続き

「新電力に切り替えると停電しやすくなるのでは?」という不安を抱く方もいますが、その心配はありません。
- 供給の安定性は変わらない:送電網は引き続き東京電力のものを使用するため、電気の品質や安定性はこれまでと一切変わりません。
- 手続きはオンラインで完結:現在契約している電力会社への解約連絡は原則不要です。ENEOSでんきへ申し込むだけで、自動的に切り替え手続きが進みます。
- 工事・費用もなし:スマートメーターへの交換が必要な場合がありますが、立ち会いは原則不要で、費用もかかりません。
切り替えの実際の流れ
1. 申し込み: Web完結で済みます。必要なのは「現在の検針票(お客様番号、供給地点特定番号)」と「クレジットカード」のみ。
2. スマートメーター: ENEOSでんきに切り替える際、自宅の電力メーターがスマートメーターでない場合は、東京電力パワーグリッドが原則無料で交換工事を行います。立ち会いは不要なケースがほとんどです。
3. 供給開始: 申し込みから2週間〜1ヶ月後の検針日から切り替わります。
切り替え時の注意点
- 引越しの対応: 引越し先でもENEOSでんきを継続する場合、事前の手続きが必要です。ただし、新築物件や一部の集合住宅では、最初から新電力(ENEOS含む)を入れることができず、一度地域電力(東京電力など)と契約してから切り替えなければならないケースがあります。
- 解約手続き: 東京電力へ戻る場合、東京電力に申し込めばENEOSの解約は自動的に行われます。しかし、引越しによる解約の場合は、ENEOSへ自ら解約連絡を入れる必要があります。
まとめ:ライフスタイルに合わせた最適な選択を

今回の比較ポイントを整理すると、以下のようになります。
ENEOSでんきが向いている人
- 自動車保有かつ多走行世帯: 月間のガソリン代が1万円を超えるような家庭。ENEOSカードとのセット運用で、電気代差額以上のメリットを確実に享受できます。
- 電力多消費ファミリー: 月間使用量が恒常的に350kWh〜400kWhを超える世帯。電気代をENEOSカードで支払うことで、ガソリンの割引効果が上昇します。
東京電力が向いている人
- 自動車非保有世帯: ガソリン割引の恩恵がないため、ENEOSを選ぶ最大の理由が消失します。
- リスク回避志向層: 「燃料費調整額の上限」という保険を手放すべきではないでしょう。数百円の節約のためにリスクを負う必要はありません。
ご自身の現在の電気使用量や、月の給油量を一度確認してみてください。もし「実際の自分の使用状況でいくら安くなるのか具体的に知りたい」と思われたら、エネピの料金シミュレーションを活用してみてください。
検針票をお手元に用意して入力するだけで、あなたに最適なプランがすぐに見つかります。まずは、今の電気代がどれくらい安くなるのかチェックすることから始めてみてはいかがでしょうか。
