1200Wの電気代目安は何円？正しい計算方法と効果的な節約術を徹底解説！

「冬場に使うセラミックヒーターの電気代、一体いくらかかっているのだろう？」
「電気ケトルを頻繁に使うけど、電気代が高くなる原因になっていないか心配…」

毎月の電気代の明細を見て、このように感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に消費電力の大きな家電は、家計への影響が気になるところです。

この記事では「1200W」の家電にかかる電気代の具体的な金額や計算方法を分かりやすく解説します 。さらに、他の家電との比較や効果的な節約方法までご紹介します。

この記事を読めば、消費電力の大きな家電と上手に付き合い、効果的に電気代を節約するためのヒントがわかります。

多くの人が電気代を考えるとき、家電製品のカタログやウェブサイトに書かれている「1時間あたり〇〇円」という表示を参考にします。この章では、その「目安」がいかにして作られ、実際のコストとは何が違うのかを明らかにします。

まず、おなじみの計算式から見ていきましょう。1200Wの家電を1時間使用した場合の電気代は、次のように計算されます。

ここで使われている「31円/kWh」という単価は、「電力料金目安単価」と呼ばれます 。これは公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定めた、全国共通の基準値です 。この単価の目的は、消費者が家電製品を購入する際に、異なるメーカーやモデルの省エネ性能を公平に比較できるようにすることにあります。

つまり、この31円という数字はあくまで「製品比較のためのものさし」であり、私たちが電力会社に実際に支払う単価そのものではありません。この点に、注意が必要です。

では、実際の請求書では、この目安単価に何が加わっているのでしょうか。電気料金の明細をよく見ると、「電力量料金」の他に、毎月変動する2つの重要な項目があることに気づきます。

燃料費調整額 ：これは、発電に必要な燃料（原油、液化天然ガス（LNG）、石炭）の価格変動を電気料金に反映させるための調整額です 。燃料の輸入価格は、為替レートや国際情勢によって常に変動しています。この制度により、燃料価格が上昇すれば電気料金に上乗せされ（プラス調整）、下落すれば差し引かれます（マイナス調整）。

再生可能エネルギー発電促進賦課金 ：通称「再エネ賦課金」と呼ばれるこの項目は、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを普及させるために、国民全体で負担する費用です 。この再エネ賦課金の単価は国が毎年決定しており、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、長期的には上昇傾向にあります。

これらの追加コストを踏まえて、1200Wの家電を1時間使った場合の、より現実的な電気代を再計算してみましょう。

目安単価31円/kWhに、実際の追加コストを加えます。例えば、2025年度（2025年5月分から）の再エネ賦課金単価は3.98円/kWhと発表されています 。燃料費調整額は毎月変動しますが、仮に+1.0円/kWhだったとしましょう。

この場合の計算式は以下のようになります。

このように、目安である37.2円と比較して、約6円、率にして16%以上も高くなることがわかります。この差額は、燃料価格が高騰すればさらに拡大します。

この構造を理解することで、より効果的な節約対策が見えてきます。日々の電力使用量（kWh）を減らす努力はもちろん重要ですが、それだけでは上昇し続ける賦課金などの固定的なコスト増には対抗しきれません。だからこそ、使用量を減らす努力と並行して、契約している料金プランそのもの、つまり「単価」自体を見直すという、より根本的なアプローチが重要になってくるのです。

エネピでは、お客様一人ひとりの家族構成やライフスタイルに適した電気料金プランの無料相談を実施しております。これまでにも毎月1万名のお客様に提案させていただいており、平均で年間21,071円※の電気代を削減しています。ぜひこの機会に相談してみてください。

※エネピのユーザー様の削減実績データから算出した金額です
※3~4人暮らしの場合の金額です

電気代の構造を理解したところで、次に私たちの日常生活に目を向けてみましょう。具体的にどのような家電が1200Wクラスで、それらを一回使うごとにどれくらいのコストがかかっているのでしょうか。特に冬場の主役である暖房器具については、その選択が家計に大きな影響を与えます。

1200Wという消費電力は、瞬時に熱やパワーを生み出す家電に多く見られます。以下に代表的なものをカテゴリ別にまとめました。

• 暖房器具: セラミックファンヒーター、オイルヒーター、電気ストーブ、パネルヒーター
• キッチン家電: 電気ケトル、オーブントースター、ホットプレート、高出力の電子レンジ
• その他: ヘアドライヤー、布団乾燥機、一部のパワフルな掃除機

これらの家電は、1時間つけっぱなしにすることは稀です。そこで、より実感に近い「1回あたりの電気代」を計算したのが以下の表です。なお、先ほど算出した現実的な単価（約43円/kWh）ではなく、比較しやすいように一般的な目安単価（31円/kWh）で計算しています。したがって、実際のコストはこれより高くなることを念頭に置いてご覧ください。

冬の電気代を左右する最大の要因は暖房です。ここで多くの人が悩むのが、「すぐに暖かくなる1200Wのヒーターと、部屋全体を暖めるエアコン、どちらが経済的なのか？」という問題です。消費電力のワット数だけを見ると似ているように思えますが、その裏には決定的な違いが存在します。

両者の効率を比較する上で最も重要なのが、熱をどのように作り出しているかという点です。

• 1200Wヒーター（セラミックヒーターなど）: これは「電気抵抗加熱」という非常にシンプルな仕組みです。電気を抵抗のある物質に流し、その際に発生する熱を直接利用します。投入した1200Wの電力が、ほぼそのまま1200Wの熱エネルギーに変換されます。分かりやすいですが、エネルギー効率の観点では原始的な方法です。
• エアコン（暖房）: こちらは「ヒートポンプ技術」という高度な仕組みを利用します。ヒートポンプは、熱を「作り出す」のではなく、熱を「移動させる」ポンプのような役割を果たします。冬の暖房時には、たとえ外が寒くても、外気の中に存在する熱エネルギーをかき集め、それを圧縮して温度を高め、室内に送り込みます。

これらの違いを具体的に示す指標が「エネルギー消費効率」です。これは、消費した電力1kWあたり、どれだけの冷暖房能力を発揮できるかを示す数値です。

• 1200Wヒーター: 投入した電力をそのまま熱に変えるため、エネルギー消費効率はほぼ「1」です。つまり、1kWの電力で1kWの熱しか生み出せません。
• エアコン: 外気の熱を利用するため、投入した電力以上の熱エネルギーを室内に送り込むことができます。機種にもよりますが、暖房時のエネルギー消費効率は「3～6」、あるいはそれ以上になります。これは、1kWの電力で3kWから6kW分もの熱を室内に移動させられることを意味します。

このエネルギー消費効率の圧倒的な差が、両者のランニングコストに決定的な違いをもたらします。同じ量の熱を得るために、エアコンはヒーターの3分の1から6分の1の電力しか必要としないのです。

多くの家庭で、冬場の電気代が高い原因は、リビングなどの広い部屋で長時間セラミックヒーターを使い続けてしまうことにあります。ワット数が同じだからと安易に考えず、その裏にあるエネルギー効率を理解し、適材適所で使い分けることこそが、暖房代節約の鍵となるのです。

1200W家電の種類や電気代を把握した上で、次はいよいよ具体的な節約術です。日々の小さな工夫から、家の性能を高める根本的な対策まで、インパクトの大きい順に見ていきましょう。

最も効果的な方法の一つが、暖房器具の設定温度の見直しです。環境省の調査によると、暖房の設定温度を1℃下げるだけで、消費電力を約10%削減できるとされています 。これは無理な我慢ではなく、ひざ掛けや厚手の靴下を併用することで快適に達成できる範囲です。

また、エアコンのフィルターがホコリで目詰まりすると、空気の循環が悪くなり、冷暖房の効率が著しく低下します。フィルターを掃除しないままでいると、約5～10%も余分に電力を消費してしまう可能性があります 。2週間に一度、フィルターのホコリを掃除機で吸い取るか水洗いするだけで、エアコンは本来の性能を発揮し、無駄な電気代を削減できます。

日々の努力で節約した熱も、窓の隙間から逃げてしまっては意味がありません。冬場、室内の暖かい熱の約6割から7割は窓から逃げていくと言われています 。逆に夏場は、外の熱の多くが窓から侵入してきます。つまり、窓の断熱性能を高めることは、冷暖房効率を向上させるための優先課題なのです。

高価な二重窓へのリフォームも有効ですが、もっと手軽に始められるのが「断熱シート」や「断熱フィルム」の活用です。ホームセンターなどで手に入る緩衝材（プチプチ）タイプのシートやアルミ素材のシートを窓に貼るだけで、熱の流出入を大幅に抑え、エアコンの負担を軽減できます。

「まだ使えるから」と古い家電を使い続けることは、一見すると経済的に思えます。しかし、近年の家電の省エネ性能の向上は目覚ましく、古い家電は知らず知らずのうちに電気代を浪費する原因になっている可能性があります。

• 冷蔵庫: 10年前のモデルと比較して、最新の省エネ型冷蔵庫は年間消費電力を約47%も削減しています。
• エアコン: 同じく10年前のモデルと比較して、最新の省エネ型エアコンは約12～15%の省エネを達成しています。

もし10年以上前の大型家電を使用している場合、買い替えにかかる初期費用は、数年間の電気代の差額で十分に元が取れる可能性が高いです。買い替えを検討する際は、本体価格だけでなく、「人感センサー」や「エコモード」といった最新の省エネ機能が搭載されているかどうかもチェックしましょう。これらの機能は自動で無駄な電力消費を抑え、さらなる節約に貢献します。

冬の朝、急いでいるときに暖房、電子レンジ、ドライヤーを同時に使ってブレーカーが落ちてしまった、という経験はありませんか？　これは、家庭で一度に使える電気の量の上限を超えてしまったために起こります。この上限は、電力会社との「契約アンペア（A）」によって決まっています。

電気の基本法則として、

という関係があります。日本の家庭の電圧は通常100Vなので、1200Wの家電製品が使用する電流は、

となります。

例えば、一人暮らしや二人暮らしで一般的な「30A」の契約をしている家庭を考えてみましょう。

• セラミックヒーター（1200W）：12A
• 電子レンジ（1500W）：15A
• ヘアドライヤー（1200W）：12A

もし、ヒーターと電子レンジを同時に使うと、それだけで

となり、契約上限の30Aに迫ります。そこにドライヤーを追加すれば、合計で39Aとなり、ブレーカーが作動してしまいます。

このように、自宅の契約アンペア数を把握し、どの家電がどれくらいの電流を必要とするかを知っておくことは、快適な生活を維持し、計画的な電力使用を促す上で非常に重要です。頻繁にブレーカーが落ちる場合は、家電を使う時間をずらす工夫をするか、次の章で解説する契約アンペアの見直しを検討する必要があります。

これまで、日々の行動や家の性能改善によって電気の使用量（kWh）を減らす方法を見てきました。ただし節約効果を最大化するためには、もう一つ、ぜひとも検討すべき方法があります。それが、電気の「単価」そのものを決める「電力会社の契約プラン」を見直すことです。

2016年に電力の小売が全面自由化され、私たちはそれまで住んでいる地域で決められていた電力会社だけでなく、全国のさまざまな事業者から、自分のライフスタイルに合った電力会社や料金プランを自由に選べるようになりました。

この「選べる」という事実は、消費者にとって大きな武器です。にもかかわらず、多くの家庭では依然として従来の電力会社と契約したままで、より安価で最適なプランが存在する可能性を見過ごしています。電力契約を見直すことは、一度の手続きで、毎月の電気代を継続的に、かつ大幅に削減できる可能性を秘めた節約手段なのです。

現在、電力会社は消費者の多様なライフスタイルに応えるため、様々な料金プランを提供しています。代表的なプランを理解し、自分の生活パターンにどれが合うか考えてみましょう。

• 従量電灯プラン: 多くの家庭が契約している最も基本的なプランです。電気の使用量に応じて、料金単価が3段階で高くなっていきます。電気をあまり使わない家庭にとってはシンプルで分かりやすいですが、使用量が多い家庭では割高になる傾向があります。
• 時間帯別料金プラン: 1日をいくつかの時間帯に分け、時間帯ごとに異なる料金単価を設定したプランです 。一般的に、電力需要が少ない 深夜から早朝にかけての料金が安く、需要が集中する日中の料金が高く設定されています 。共働きで日中はほとんど家にいない家庭、夜間に家事をまとめて行う人、電気自動車（EV）やエコキュートを所有しており夜間の安い電力で充電・蓄熱ができる人に適しています。
• オール電化プラン: 給湯にエコキュート、調理にIHクッキングヒーターを使用しているオール電化住宅向けの専用プランです 。時間帯別料金プランの一種ですが、夜間料金がさらに大幅に割り引かれているのが特徴です。ガスの基本料金が不要になり、光熱費を電気に一本化できるメリットがあります。

これらのプランを参考に自分の生活を振り返り、「電気を最も多く使うのはいつか」を考えることが、最適なプランを見つけるポイントです。

「電力会社の切り替え」と聞くと、手続きが面倒だったり、工事が必要だったり、停電したりするのではないかと不安に思うかもしれません。しかし、実際の手続きは意外に簡単で、リスクもほとんどありません。

Step 1: 準備：手元に最新の「検針票（電気ご使用量のお知らせ）」を用意します。切り替え手続きには、そこに記載されている「供給地点特定番号（22桁）」と「お客様番号」が必要になります。

Step 2: 比較・検討：料金比較サービスの利用がおすすめです。ウェブサイトにお住まいの地域や現在の電気使用量、検針票の情報を入力するだけで、切り替えた場合にどれくらい電気代が安くなるのか、どの電力会社・プランが最適なのかを瞬時にシミュレーションしてくれます。ここで複数の選択肢を比較し、最もメリットの大きいプランを選びます。

Step 3: 申込み：最適なプランが見つかったら、その電力会社のウェブサイトから申し込みます。いくつかの必要情報を入力するだけで手続きは完了です。現在の電力会社への解約連絡は、新しい電力会社が代行してくれるため、自分で行う必要はありません。また、スマートメーターが未設置の場合を除き、 特別な工事や立ち会いも不要で、切り替え時に停電することもありません。

以上の3ステップで、翌月か翌々月から新しい料金プランが適用され、電気代の削減が始まります。この方法は、毎日こまめに電気を消したり、設定温度を気にしたりするよりも、はるかに高い効果をもたらす可能性があります。ぜひ一度エネピの料金比較サービスを利用し、節約額をシュミレーションしてみてください。

今回は、「1200Wの家電にかかる電気代はいくら？」という疑問から出発し、その裏側にある電気料金の複雑な構造、身近にある1200W家電と節約術、そして最も重要な電気代削減の手段まで、順を追って解説してきました。

最後に、本記事の重要なポイントを振り返ります。

1200Wの家電はパワフルで快適な分、電気代も高くなる傾向にあります。ただし、その特性を正しく理解し、使い方を工夫することで、消費電力を抑えることが可能です。また、最適な料金プランという土台を整えることで、日々の快適な生活と経済的負担の軽減を両立させることができます。

まずはご自宅の検針票を手に取り、現在の契約内容を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。そして、エネピのような比較サイトで会社比較やシミュレーションを試してみてください。その行動こそが、家庭のエネルギーコストを長期的かつ安定的に改善できる選択となるかもしれません。