アメリカやヨーロッパアメリカやヨーロッパでは既に電力小売自由化が進んでいますが、必ずしも順風満帆だったわけではありません。今回はカリフォルニア電力危機について解説します。
カリフォルニア電力危機に至る経緯
カリフォルニア州における電力小売自由化は1998年に実施されました。自由化に当たり、当時の3大私営電力会社に対し、最初の4年間の電力調達を公設の卸電力取引所から行うことと、火力発電所を売却することが義務付けられ、さらに、送電設備も独立系統運用機関に移管されました。
つまり、実質的に発電会社と電力販売(小売)会社の分離が行われたのです。これらの規制は市場の競争性を高めることを目的としていました。しかし、それからわずか2年でカリフォルニア電力危機が発生したのです。
カリフォルニア電力危機の概要
2000年6月、カリフォルニアは34年ぶりの猛暑に襲われ、電力需給がひっ迫したため、一部の地域で輪番停電が実施されました。そして、11月中旬以降、再び需給がひっ迫し、卸電力価格が高騰しました。
このとき、発電事業者がカリフォルニア州内への供給を拒否したため、州が供給命令を発動しました。そして、2001年1月に電気事業は州の管理下に置かれることとなり、卸電力取引所が閉鎖されました。すなわち、自由化が中断されることとなったのです。
この間の電力価格は、卸売価格は最大で前年比10倍以上、小売価格も約2倍に高騰しました。この電力危機による影響は大きく、大手電力会社のうち1社が倒産に追い込まれ、州知事はリコールされてしまいました。
カリフォルニア電力危機の原因
このような電力危機に至った原因は複数あります。まず、電力自由化を開始した時点で好景気による電力需要の増加に発電設備の建設が追い付いておらず、電力供給力が不十分でした。ここに、夏場の猛暑と冬場の発電所の低稼働が追い打ちをかけたのです。
さらに、通常であれば周辺の州から雪解け水による水力発電に基づく余剰電力の融通を受けていましたが、この年は降雪が少なかったため融通に回せる余剰電力も少なかったのです。そして、電力調達を発電事業者に頼る以外の手段がない3大私営電力会社と、発電事業者の市場における強弱関係はゆがみ、過度な売り手市場となってしまったのです。
カリフォルニア電力危機の教訓とその後
その後、カリフォルニアにおける電力小売自由化は長らく中断されました。電力小売自由化を再開する上で、電力危機の最大の教訓である「市場競争が正しく機能するための制度設計」について見直されました。カリフォルニアでは電力小売事業者である3大私営電力会社への規制が過剰となった一方で、発電事業や卸電力取引所は寡占状態となり競争が十分に働いていなかったのです。教訓を活かして部分的な電力小売自由化が再開されたのは2010年に入ってからのことです。
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