環境に優しい電気を選びたいけれど、「スマ電CO2ゼロ」は料金が高いのでは、と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 毎月の電気代だからこそ、料金にはこだわりたいものです。
この記事では、「スマ電CO2ゼロ」の料金は本当に高いのか、その疑問に答えるため、料金体系の仕組みから実際の利用者の評判、そして価格に見合う価値があるのかまで、専門的な知見を基にわかりやすく掘り下げていきます。
この記事でわかること:
- スマ電CO2ゼロの料金体系: 基本料金や電力量料金など、毎月の電気代がどのように計算されているかが分かります。
- 他社との料金比較: 大手電力会社と比べて料金がどのくらい高いのか、具体的なシミュレーション例で把握できます。
- 料金が割高になる理由: 環境価値を生み出すために料金が割高になる背景が分かります。
- 価格以上のメリット: CO2削減への貢献度など料金以外の価値が分かります。一方、料金が割高などデメリットや注意点も分かります。
- 利用者のリアルな評判: 実際に利用している人のポジティブな口コミとネガティブな口コミの両方を知ることができます。
- どんな人におすすめか: 最終的に、ご自身の価値観やライフスタイルがスマ電CO2ゼロに向いているかどうかの判断材料が得られます。
スマ電ってどんな会社?企業・サービスの概要

提供企業
株式会社アイ・グリッド・ソリューションズが運営する新電力会社です。2016年からスマ電のサービスを開始し、エネルギーマネジメント事業を中心に展開しています。約13万世帯への電力供給実績があり、環境に配慮した電力事業に力を入れています。
供給エリア
全国8エリアで供給しており、東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州の各電力エリアが対象です。ただし、北海道と沖縄、離島は対象外となっています。賃貸住宅でも申し込み可能ですが、高圧一括受電の集合住宅では切り替えできません。
主なプラン
基本料金0円の時間帯別料金プランが中心です。一般家庭向けの「CO2ゼロ ホームプラン+」と、電気使用量の多い家庭・事業所向けの「CO2ゼロ ショッププラン+」があります。どちらも昼間時間(9時〜15時)の電気料金が割安に設定されています。
申し込み方法
Webから約5分で申し込み完了できます。検針票を用意して電力利用情報を入力し、支払い方法を選択するだけです。書類や捺印は不要で、現在の電力会社への解約連絡も不要。申し込み後約1ヶ月で切り替えが完了します。
主なメリット
最大のメリットは実質CO2排出量ゼロの環境に優しい電気を使用できることです。基本料金0円で昼間時間の料金が割安、申し込み・解約手数料も無料です。LINEで毎月の電気料金を通知してくれるサービスもあり、料金確認が便利です。
主なデメリット
一人暮らしなど電気使用量が少ない家庭や、夜間メインで電気を使用する家庭は料金が割高になる可能性があります。また、オール電化向けプランやガスとのセット割引がなく、ポイント還元制度もありません。また、電源調整単価が市場価格と連動するため料金が変動することもあります。
解約条件
通常のプランでは解約手数料や違約金は一切かかりません。契約期間は6ヶ月間で自動更新され、マイページから簡単に解約手続きができます。ただし、2年契約の「スマ電プレミアムオプション」を利用している場合は、更新期間以外での解約時に1,200円の解約手数料が発生します。
口コミ・評判
利用者からは「料金体系が分かりやすい」「環境に優しい」「切り替え手続きが簡単」といった良い評価が多く見られます。一方で「昼間不在だと料金が高くなる」「一人暮らしには不向き」といった声もあります。
スマ電CO2ゼロは本当に高いのか?他社と徹底比較
まず「スマ電CO2ゼロ」の料金がどのように構成され、他の電力会社と比較してどの水準にあるのかを確認しておきましょう。
スマ電CO2ゼロの料金は、主に以下の要素で構成されています。
- 基本料金(または最低料金): 電気の使用量にかかわらず毎月固定でかかる料金です。契約アンペア数によって変動します。
- 電力量料金: 使用した電力量に応じてかかる料金です。1kWhあたりの単価が設定されています。
- 燃料費調整額: 発電に必要な燃料(原油、LNG、石炭)の価格変動を電気料金に反映させるための費用です。
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金): 再生可能エネルギーの買取制度を支えるために、電気を使用するすべての方が負担する料金です。
「燃料費調整額」や「再エネ賦課金」は、どの電力会社と契約しても原則としてかかる費用ですが、料金プランによっては燃料費調整額の計算方法が異なる場合があるため、注意が必要です。
「スマ電CO2ゼロ」の料金体系
「スマ電CO2ゼロ」の料金体系は、基本料金0円という特徴を持っています。これは毎月の固定費がなく、料金が純粋に使用量にのみ依存することを意味します。また、時間帯によって電力量料金単価が変動する時間帯別料金制度を採用しており、東京電力エリアにおける家庭向けプラン「CO2ゼロホームプラン+」を例にとると、料金単価は以下のように設定されています。
- 昼間時間(09:00~15:00):26.90円/kWh
- その他時間(15:00~翌09:00):29.90円/kWh
この料金構造は、運営会社であるアイ・グリッド・ソリューションズの事業背景を反映し、太陽光発電量が豊富になる日中の時間帯の料金を意図的に安価に設定しているためです。これは日中に電力消費をシフトできる家庭にとって、経済的なメリットが生まれる可能性があります。
なお、本プランは東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州の主要な電力供給エリアで提供されており、広範な地域で利用可能です。
比較① スマ電 vs. 大手電力(東京電力 スタンダードS)
スマ電CO2ゼロの料金が「高い」か「安い」か判断するため、具体的な使用状況を想定した料金シミュレーションを行います。ここでは、東京電力の代表的な料金プランである「スタンダードS」と比較します。
また、スマ電CO2ゼロの特性を考慮し、電力消費パターンを「昼間ヘビー型」(総使用量の40%を9時~15時に消費)と「夜間ヘビー型」(同20%を9時~15時に消費)の2パターンで試算します。
シミュレーションの前提条件:
- 契約アンペア: 40Aで統一
- 東京電力 スタンダードS: 基本料金 1,144.00円。電力量料金は最初の120kWhまで29.80円、120kWh超300kWhまで36.40円、300kWh超40.49円
- スマ電CO2ゼロ: 基本料金0円。電力量料金は昼間(9-15時)26.90円、その他時間29.90円
| 月間使用量 | 東京電力 スタンダードS (40A) | スマ電CO2ゼロ (昼間ヘビー型) | スマ電CO2ゼロ (夜間ヘビー型) |
|---|---|---|---|
| 200kWh | 約6916円 | 約5740円 | 約5860円 |
| 300kWh | 約10556円 | 約8610円 | 約8790円 |
| 450kWh | 約16000円 | 約12915円 | 約13185円 |
| 600kWh | 約22049円 | 約17220円 | 約17580円 |
※上記は基本料金と電力量料金のみの試算であり、燃料費調整額および再エネ賦課金は含まない。実際の請求額はこれらの変動費によって毎月変わる。
このシミュレーションから明らかになるのは、「スマ電CO2ゼロは高いか」という問いに対する答えが、利用者のライフスタイルに依存するということです。
スマ電の昼間料金(26.90円)は、東京電力の最も安い第一段階料金(29.80円)よりも安価です。一方で、スマ電の夜間料金(29.90円)は、東京電力の第一段階よりは高いが、第二段階(36.40円)や第三段階(40.49円)よりは安くなります。
この構造により、在宅勤務などで電力消費を昼間の時間帯に大きくシフトできる家庭(洗濯、調理、EV充電など)は、特に総使用量が多くなるほど、東京電力の高額な上位段階料金を回避できるため、節約効果が大きくなる傾向があります。
逆に、日中は不在で電力消費が夜間や休日に集中する家庭(共働き世帯など)では、特に総使用量が少なく東京電力の第一段階料金の範囲内に収まる場合、スマ電の方が割高になるかもしれません。基本料金が0円である点は有利に働くが、夜間料金の高さがそのメリットを相殺する場合があります。
比較② スマ電 vs. 他の新電力(CO2ゼロプラン)
CO2ゼロを謳う電力プランの市場は多様化しており、それぞれが異なる料金体系とリスク特性を持っています。スマ電のシンプルな時間帯別料金プランは、その中の一つの選択肢に過ぎません。
環境配慮型プランは大きく分けて、固定料金型・時間帯別料金型・市場連動型に分類できます。それぞれにメリット・デメリットがあり、利用者のライフスタイルやリスク許容度によって最適なプランは異なります。その中でスマ電は、リスクとリターンのバランスが取れた中間に位置づけられるでしょう。
主要な新電力(環境配慮型)の特徴:
| 項目 | スマ電CO2ゼロ | Looopでんき (スマートタイムONE + eneco) | しろくま電力 (しろくまプラン) | ハチドリ電力 |
|---|---|---|---|---|
| 料金モデル | 時間帯別固定料金 | 市場連動型 | ハイブリッド型(固定+市場連動要素) | 手数料ベース市場連動型 |
| 基本料金 (40A) | 0円 | 0円 | 1160円 | 500円(運営費) |
| 電力量料金構造 | 2段階TOU (昼夜) | JEPX価格 + 固定手数料 + 環境価値料 | 1段階固定単価 + 電源調達調整費 | JEPX価格 + 諸経費(原価請求) |
| CO2ゼロ手法 | 非化石証書(標準付帯) | 非化石証書(オプション追加) | 非化石証書(標準付帯) | 非化石証書(標準付帯) |
| 契約期間解約金 | なし 0円 | なし 0円 | なし 0円 | なし 0円 |
| 理想的な利用者像 | 昼間に電力を使える安定志向の環境派 | 積極的な電力管理ができるリスク許容度の高い節約派 | 安定性を重視しつつ市場の恩恵も受けたいバランス派 | 透明性と社会貢献を最優先する意識の高い層 |
Looopでんき(スマートタイムONE):市場連動型プランの代表格。電力量料金単価が日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格に連動して30分ごとに変動する。非化石証書を追加する「eneco」オプションを提供 。市場価格の動向を注視し、需要を価格の安い時間帯にシフトできる、積極的でリスク許容度の高い利用者に適している。
しろくま電力(ぱわー):ハイブリッド型のモデルを提案。基本料金と段階制またはフラットな電力量料金を設定しつつ、「電源調達調整費」という形で市場価格の変動を料金に一部反映させる。ただし、価格の急騰を緩和する仕組みも導入されている。固定料金の安定性と市場価格のメリットを両立させることを目指している。
ハチドリ電力:ユニークな社会貢献型の市場連動モデル。月額500円の固定運営費を徴収し、卸電力の調達コストは原価で利用者に請求する。料金の1%が利用者の選択したNPOなどに寄付される仕組みを持つ。環境貢献に加えて、社会貢献への意識が非常に高い消費者層に訴求する。
なぜスマ電CO2ゼロの電気は高くなるのか?
料金が割高になる背景には、環境価値を生み出すためのコストが関係しています。スマ電CO2ゼロが「CO2排出量実質ゼロ」を実現しているのは、「非化石証書」という仕組みを利用しているためです。
非化石証書とは:太陽光や風力などの再生可能エネルギーによって作られた電気の「環境的な価値」を証明書として取引できるようにしたものです。電力会社がこの証書を購入し、供給する電気と組み合わせることで、実質的に再生可能エネルギー100%の電気とみなされ、CO2排出量がゼロと表示できます。
この非化石証書の購入費用が、電気料金の一部に反映されているため、通常の電気料金よりも割高になると考えられます。これは、日本の電力市場において「グリーン電力」を販売する事業者が採用する標準的な手法であり、他の多くの環境配慮型プランでも同様の仕組みが用いられています。
高い料金を払う価値はある?メリット・デメリットを整理
料金の背景を理解した上で、価格に見合う価値があるのか、メリットとデメリットを公平に見ていきましょう。
価格以上のメリット:環境への貢献
毎月支払う電気代が、地球温暖化対策に直接繋がります。例えば、月間400kWhの電気をスマ電CO2ゼロに切り替えると、年間で約1.8トンのCO2削減に貢献できます。これは、杉の木約130本が1年間に吸収するCO2量に相当します。
また、環境問題に真摯に取り組む企業を応援できるという点も、価値の一つです。自身の消費行動を通じて、社会的なメッセージを発信することにも繋がります。
知っておくべきデメリットと注意点
前章で示した通り、大手電力会社の標準プランより料金が割高になる可能性が高い点は、最大のデメリットと言えます。契約後に後悔しないため、以下の点は必ず確認しておきましょう。
- 契約期間の縛りはあるか
- 期間内に解約した場合、解約金は発生するか
- 支払い方法は希望するものに対応しているか
実際の評判は?利用者の本音・口コミを徹底調査
ここでは、SNSやレビューサイトで見られる、実際の利用者からの評判を紹介します。
好意的な口コミ・評判
電気代の安さと環境への配慮:
「引っ越してからスマ電CO2ゼロにしたら、赤ちゃんがいるから一日中エアコンつけっぱなしなのに電気代が3,000円台!安すぎてビックリしてる。ネットでリアルタイムに電力使用量が見れるから使いすぎにも気をつけられる」
このユーザーは、電気代の安さと使用量の可視化を高く評価しています。特に子育て世帯で昼間の電気使用量が多い場合、スマ電CO2ゼロの昼間料金が安い点がメリットとして感じられているようです。
使用状況の確認が便利:
「昨日、今日と寒さが厳しいので日中もリビングのエアコンON。愛犬もいるしね。電気使ってるなぁ。スマ電CO2ゼロは電気の使用状況がリアルタイムで把握できるからいいね。」
LINEやウェブのマイページで電気使用量をリアルタイムで確認できる機能が、節電意識を高める点で好評です。24時間対応のLINEチャットでの問い合わせも、利便性が高いと評価されています。
環境に優しい点への共感:
複数の口コミで、「CO2排出量ゼロの電気を使えるのが良い」「環境に貢献できるのが嬉しい」という声が見られました。特に、再生可能エネルギー100%を謳う点が、SDGsや環境問題に関心のあるユーザーから支持されています。
例: 「環境に優しい電気を使いたいけど電気代は高くなってほしくない、という希望を叶えてくれるプランだと感じた。」
料金の透明性と手軽さ:
「料金体系が分かりやすいので、日常の把握が楽。環境に優しくて安いプランで良かったと思う。」
基本料金0円や解約手数料0円という点が、気軽に試せるサービスとして評価されています。また、申し込みがウェブで完結し、書類不要な点も好意的に受け止められています。
否定的な口コミ・評判
料金が割高になる可能性:
「2年ほど利用してたけど、燃料調整単価が大手の3~4倍高いせいか、基本料金や電力量料金が安めでもトータルでは割高になってた。2024年6月の請求で気づいた。」
一部のユーザーは、燃料費調整額の高さにより、電気使用量が少ない世帯では期待したほど安くならないと感じています。特に、電気使用量が少ない場合、スマ電CO2ゼロの料金体系が不利になる可能性が指摘されています。
サービスの限界:
「オール電化に対応していないのが残念。うちはオール電化だから申し込めなかった。」
スマ電CO2ゼロはオール電化向けプランがないため、オール電化住宅のユーザーには不向きです。また、電気とガスのセット割引やポイント還元のようなサービスがない点も、物足りなさを感じる要因となっています。
申し込みフォームの問題:
「スマ電CO2ゼロに興味あったけど、2024年時点で申し込みフォームが機能してなかった。結局他の電力会社(looopでんき)に変えた。」
一部のユーザーから、申し込みプロセスの不備に関する不満が見られました。これはサービスの運用状況に課題がある可能性を示唆しています。
利用者レビューの総評
利用者の評判・口コミを基に、スマ電のメリット・デメリットを改めて整理します。
メリット:
- 再生可能エネルギー100%でCO2排出量ゼロの電気供給は、環境意識の高いユーザーに好評。
- 昼間の電気料金が割安で、テレワークや子育て世帯など昼間に電気使用量が多い家庭で節約効果を実感しやすい。
- LINEやウェブでの使用量確認、24時間問い合わせ対応など、使い勝手の良さが評価されている。
- 基本料金0円、解約手数料0円で気軽に試せる。
デメリット:
- 電気使用量が少ない世帯では、燃料費調整額の高さから割高になる場合がある。
- オール電化非対応やセット割引の不在など、サービス内容が競合他社に比べて限定的。
- 申し込みフォームの不具合など、運用面での課題が一部で報告されている。
まとめ
この記事では「スマ電CO2ゼロ」の料金が高い理由から、その価格に見合う価値、利用者の評判までを解説しました。
記事のポイント :
- スマ電CO2ゼロは、大手電力の標準プランより料金が割高になる可能性が高い 。
- 高い理由は、CO2排出量実質ゼロを実現するための「非化石証書」の購入コストが主な要因である。
- 料金以上の価値として、CO2削減への貢献、地球温暖化の防止といったメリットがある。
- 利用者からは、環境貢献を評価する声と、料金の高さを指摘する声の両方があがっている。
以上の点を踏まえ、スマ電CO2ゼロの利用が特におすすめなのは、次のような方々です。
スマ電がおすすめなのはこんな人:
- 多少料金が割高でも、CO2削減に積極的に貢献したいという意志がある人
- 運営会社の理念や取り組みに共感し、応援したいと考えている人
他の選択肢を検討すべきなのはこんな人:
- 何よりもまず、毎月の電気代を少しでも安く節約したい人
- 他のCO2ゼロプランも公平に比較検討し、最も自身の条件に合うものを選びたい人
最終的な判断を下すために、まずはご自身の現在の電気使用量に基づいた詳細な料金シミュレーションを試してみるとよいです 。その上で、他の電力会社のプランとも比較し、ご自身の価値観やライフスタイルに最も合った選択をすることをおすすめします。
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