日本では2016年から電力小売事業の全面自由化が始まります。電力自由化はアメリカやヨーロッパで先行していますが、アジアでも着実に自由化に向けた動きが出てきています。そこで、今回はシンガポールの電力自由化について解説していきます。シンガポールは2018年下半期から電力小売市場を全面自由化することを発表しています。
実はとても安定している、シンガポールの電力事情
一般的にアジアの国々の電力事情というと不安定で停電が多いというイメージを持たれがちかもしれませんが、シンガポールの電力供給は他のASEAN諸国と比べても極めて安定しています。日本貿易振興機構(JETRO)海外調査部 アジア大洋州課の調査レポート「アジア・オセアニア各国の電力事情と政策(2015年5月)」によれば、シンガポールにおける需要家1軒当たりの年間停電時間は1分未満に抑えられています。日本の需要家1軒当たりの年間停電時間は4分(2014年、東京電力(株)管轄地域)であることを踏まえると、シンガポールの電力供給がいかに安定しているかがわかるかと思います。
一方で、電気料金に関しては、シンガポールは日本と同じで発電のための燃料を輸入に頼っているので、周辺各国と比べて高い水準にあります。しかし、その電気料金も近年の天然ガス価格の低下を受け、2015年に入って低下傾向にあります。シンガポールの発電燃料は天然ガスが大部分を占めているため、天然ガス価格の影響を大きく受けるのです。
現在は部分的な自由化が行われている
シンガポールにおける電力自由化は2001年より部分的に始まっています。その対象は、2015年6月までは月4MW(メガワット)以上の需要家に限られていましたが、同年7月に2MW以上に拡大され、約9万軒となっています。MWという単位はイメージがしづらいかもしれませんが、1MWは1,000kW(キロワット)のことで、日本の一般家庭の標準的な電力消費量は月約300kWなので、シンガポールで電力自由化が適用されているのは毎月一般家庭6軒分以上の電力を使用している需要家となります。月2MWの電気料金は450シンガポールドル(約4万円、2015年11月時点)程度となります。
他方、130万軒の小規模需要家(主に一般家庭)はまだ自由化の対象となっておらず、シンガポール最大の電力・ガス会社であるSingapore Power傘下のSP Servicesから四半期ごとに見直される認可料金に基づいて電力を購入しています。2018年にシンガポールは全面自由化へ
2015年10月、シンガポールは2018年下半期に電力小売市場を全面自由化することを発表しました。完全自由化されたあとは、一般家庭を含むすべての消費者が自由に電力小売事業者や料金プランを選ぶことができるようになります。これからシンガポールにおける一般家庭向けの電力小売事業の動きが活発化することが予想されます。日本での電力自由化の動きへの影響も考えられますので、シンガポールの動向にも注目していきたいですね。
ところで、電力会社に頼らない手段として「太陽光発電」や「蓄電池」が注目されています。
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