飲食店を開業しようと考えている方は調理器具をどのように調達すればいいのでしょうか。

購入だけでなくリースという形での導入も可能ですが、一体どちらが良いのでしょうか。

それぞれのメリット・デメリットを、紹介していきます。

飲食店開業の手引き~調理器具はリースと購入どっちが得?

飲食店の開業を考えられている方にとって、大きな出費の一つが必要な調理器具の購入です。

業務用の冷蔵庫になると、安いものでも10~20万円してしまいます。

調理器具は保健所の認可を受ける上で必要とされているものなので、衛生面がきっちりしていないものだと認可が通らない恐れもあります。

しかも、お客さんから見える場所に置くものは中途半端な物も買えません。

では、調理器具はどうやって手に入れるのがお得なのでしょうか。

そもそも「レンタル」と「リース」の違いって?

事前調査をされている方は、レンタルやリースという言葉をお聞きだとおもいます。

レンタルとリースの違いをザクッと言うと、レンタルは物を借りる、リースは借金です。

レンタルは、レンタルカーと同じで必要な時に必要な物を借り、レンタル料金を支払います。

比較的短期間の使用を想定していますので、長期間の使用には適していません。

飲食店の場合、調理器具が壊れた時などの一時レンタルがオススメの活用方法です。

リースは、好きなメーカーやモデルを導入することができます。
その購入代金を借金してリース料率とリース期間(5~6年が一般的)で計算した手数料を支払て使用します。

新品を導入できるので、開業時には基本的にレンタルよりリースを選択することが自然となります。

リースで借りることができるもの

リースできる器具は、

・冷蔵冷凍庫

・食洗器

・ガスコンロ

・ラック

などの什器系といった一般的な物から、

・麺系店舗用の製麺機

・ゆで麺機

・洋菓子店舗のクリーム充填機

・餃子店舗用の餃子ロボット

など、ありとあらゆる物品がリースできます。

ただし、一つのリース会社がすべての物品を取り扱っているわけでもありません。

店舗設計を外注でお願いしているときは、設計会社がいろいろなリース会社を知っているので一括相談できます。

自分でお店作りをされている人は、製造メーカーや販売店の人に相談すれば、

購入したい物品を取り扱っているリース会社を紹介してくれます。

リースのメリット

【メリット1:購入資金を調達できる】

一番のメリットは銀行からの融資枠を使わずに、
購入資金を調達できるというポイントです。

リースで購入した器具の所有権はリース会社が持っているので、
リースは器具を担保にした借金と言えます。

飲食店を運営し始めると、トラブルなどで急な出費が必要になることも考えられるので、
できるだけ手元資金と銀行の融資枠は残して置いたほうが安心です。

【メリット2:税金の申告が不要】

次に大きいのは、固定資産税の申告を行わなくて良いという点です。

10万円以上で購入した物品は基本的に固定資産と扱われ、税金がかかります。

しかも、税金を計算する固定資産の評価額は毎年再計算が必要で、
会計の知識も必要になります。

リースにした場合は、所有者のリース会社が税金を払う義務を持ちますので、
こうした手続きを行わなくてよくなります。

【メリット3:月々の支払いが明確なので計画が立てやすい】

毎月決められたリース料金を支払うだけなので、
資金計画が立てやすくなります。

【メリット4:不要になった時に処分しなくて良い】

リース期間が終了すれば、調理器具は契約した会社が引きとるので、
不要になっても処分費用がかかりません。

ただ、これは契約が満了すれば返さなければならないというデメリットにもなります。

リースのデメリット

【デメリット1:総支払額が膨らむ】

例えば、50万円の、2%の料率で、5年契約した場合、月1万円、トータル60万円の支払いになります。
2割がいわば利息となってしまいます。

【デメリット2:中途解約ができない】

5年のリース契約を結んだ場合は、5年間同じモデルを使用し続けるしかありません。

リース契約を結ぶ場合は、どの程度使用するかという事も考慮に入れてリース期間を設定しましょう。

流行り廃りのあるような器具は、できるだけ短い期間でリース契約を結んだ方がいいかもしれません。

ただし、リース期間が短くなると、月々のリース料金の支払いは増えるので注意です。

また、リースが終わったからといって自分の物になるとは限らないというポイントが大きいです。

【デメリット3:】審査がある

リース契約は審査に合格しなければ、結ぶことができません。

クレジットカードの支払い状況などが審査の対象になることが多いようです。

また、個人でのリースの場合は連帯保証人が必要になる場合があります。

【デメリット4:再契約、即買取に応じてくれない場合がある】

リース終了後も同じ物品を使用し続ける場合は、再リースと言ってリース期間より安い金額(リース期間の1/10が相場のようです)でリース契約を結ぶか、買い取らないといけませんが、即買取に応じてくれないリース会社もあります。

筆者が一度、クリーム充填機のリースを検討したことがあったのですが、
「5年リースのあと3年再リースの後買い取り、という条件でないと採算が合わない」
と言われたことがあります。

長年大切に使用する機材であれば、支払いがそれだけ増える可能性があるので注意です。

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購入のメリット

【購入のメリット1:長期的に見ると安くあがる】

購入のメリットは、
余計な手数料を支払う必要がないので、
トータルで見ると割安になるという点です。

【購入のメリット2:値下げ交渉や支払い方法を柔軟に対応してくれる可能性がある】

現金に余裕があって一括で現金支払いをする場合は、
値下げを交渉に応じてくれる可能性があります。ダメもとで聞いてみましょう。

また高額商品を購入する場合、メーカーによっては月賦で販売してくれる場合もあります。

その場合、購入金額のいくらか頭金を納入し、
残額を1~2年程かけて分割で払うといった条件になります。

利率がかからない条件の場合は資金繰りと総費用から考えてベストな選択といえます。

購入を検討する場合は月賦が可能かどうか必ず確認しましょう。
購入は総額の支払いを圧縮できるのが最大のメリットとなります。

【購入のメリット3:自分のものになるので自由に扱える】

調理器具を購入する場合は所有権も自分のものとなるので、
移動や売却なども自由にできるのもメリットになります。

購入のデメリット

【購入のデメリット1:購入のための資金調達が必須】

購入のデメリットは、やはり自己資金が必要になる点です。

このデメリットを補填する手段としては、
政策金融公庫などの創業者向け事業ローンを活用する方法があります。

通常のローンと比べて利率は低くなりますが、
ある程度の自己資金と事業計画書などの書類を作成して審査を受けなければなりません。

【購入のデメリット2:物件や税金の手続きを自分で行う】

そして、固定資産となる物件の手続きを自分で行い、
税金を納めなければならない点です。

例えば、50万円の冷蔵庫を7月に購入した場合、
次の年の1月に減価償却資産税として約6000円かかる計算になり、
その後計6年かけて合計約16000円支払う必要があります。

銀行の事業ローンを利用する場合は、ローンの利息の支払いに加えて税金も支払う必要があります。

リースの場合、この税金はリース会社が支払うことになるので、
リースの支払いに含まれていると考えることができます。

まとめ

調理器具と購入方法の選択は内装工事などにも関わることなので、
物件の状態や長期的なメンテナンスの事も見越した選択が必要です。

例えば居抜き物件の場合、ガスの配管が思った位置にない場合は
プロパンのガスコンロという選択肢もあると思います。

そうして総合的な判断ができないと、せっかく買った調理器具を十分に活用できないという事も考えられます。

また、ランニングコストをきちんと見積もることも大事です。

最近では電気の販売自由化によって電力会社も選べますし、
ガスも都市ガスだけではなくプロパンガスという選択肢もあるので、選択肢の幅が広いです。

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今村 一優の写真

エネルギー事業部責任者

今村 一優

新卒で太陽光発電事業を行うベンチャー企業に入社。商社部門の仲卸営業として、国内外の太陽光発電メーカーの商品を取り扱い、全国の販売施工会社を担当。その後、太陽光発電の一括見積もりサイト運営にも携わる。
2015年にはプロパンガス料金比較サービスenepi(エネピ)の立ち上げを行い、数万人のプロパンガス代削減のサポートをするサービスへ成長させる。
エネルギー領域で10年以上携わった経験と知識を活かして、じげんエネルギー事業のマネージャーにて事業開発を行なっている。

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ライター

藤巻 創

電気・プロパンガスに関する記事のライティングを担当。
制作ポリシーに基づいてエネルギー全般の記事作成・管理を行う。