「東京ガスから切り替えると安くなるらしい」 そう聞いて調べてみたものの、会社が多すぎて「結局どこがいいの?」と迷っていませんか? 「数百円の節約のために手続きが面倒なのは嫌だ」「安すぎて安全性が落ちるのは怖い」といった不安もあるでしょう。
本記事では、複雑なガス会社選びを「世帯人数」と「現在の電気契約」の2軸でシンプルに整理しました。 一人暮らしからファミリー世帯、床暖房の有無まで、ライフスタイルに合わせた「失敗しない乗り換え先」を解説します。自分にぴったりの会社を見つけて、賢く固定費を削減しましょう。
この記事でわかること
- 都市ガスの切り替えに関する不安や誤解への回答(品質の安全性、工事の有無、違約金について)
- 世帯人数やライフスタイルに合わせた「失敗しない選び方」(電気セット割か、ガス単体契約か)
- 東京エリアでおすすめの都市ガス会社3社の特徴(CDエナジー、レモンガス、東京電力EPのメリット・比較)
- 「床暖房」を利用している家庭が乗り換えで損をしないための注意点
- 申し込みから供給開始までの具体的な切り替え手順
まずは不安解消!都市ガス切り替えの「3つの誤解」

「安い会社に変えると、何か裏があるのでは?」 そう心配される方も多いですが、都市ガスの切り替えには大きな誤解があります。まずはここを解消しましょう。
1. ガスの品質・安全性は「完全に同じ」です
もっとも多い懸念が「火の勢いが弱くなる」「災害時の復旧が遅れる」といった品質面です。 しかし、どの会社と契約しても、ガスは既存の大手(東京ガスなど)の導管を通って供給されます。 品質や災害時の対応、安全性はこれまでと全く同じです。「安かろう悪かろう」ではないのでご安心ください。
2. 工事の立ち合いは「原則不要」です
切り替えにあたって、大掛かりな工事や立ち合いは基本的に不要です。 スマートメーターが未設置の場合のみ交換作業が発生しますが、それも原則無料。「ネットで申し込んで待つだけ」で完了するケースがほとんどです。
3. 「初期費用0円・違約金なし」が主流です
携帯電話のような「2年縛り」や高額な違約金を心配する必要はありません。 現在の都市ガス自由化市場では、初期費用0円、解約時の違約金なしとする会社が主流です。万が一合わなければ、すぐに元の会社に戻せる仕組みになっています。
失敗しない選び方!重視するのは「セット割」か「単体」か?
東京エリアで都市ガス会社を選ぶ「正解ルート」は、「現在の電気の契約状況」と「世帯人数」で決まります。
Aルート:電気+ガスをセットにする(利便性重視)
- おすすめ: 請求を一本化したい方、電気代もあわせて見直したい方
- 特徴: 一人暮らしや二人暮らしなど、ガスの使用量がそれほど多くない世帯でも「セット割」の恩恵を受けやすいのがメリットです。
Bルート:ガス単体で契約する(削減額重視)
- おすすめ: すでに電気は「Looopでんき」などの格安新電力を使っている方
- 特徴: ガスの使用量が多いファミリー世帯の場合、セット割にこだわらず「ガス単体の割引率が高い会社」を選ぶ方が、トータルの削減額が大きくなる傾向があります。
【タイプ別】東京のおすすめ都市ガス会社3選!
数ある会社の中から、特徴が明確で信頼性の高い3社を厳選しました。
東京ガス:信頼と安定の主要会社
東京ガスは、首都圏における圧倒的なインフラと顧客基盤を持つリーディングカンパニーです。同社の特徴は、価格競争に巻き込まれることを避けつつ、付加価値(保安体制、機器メンテナンス、デジタルサービス)で顧客を繋ぎ止める点にあります。
2025年12月の料金水準:2025年12月検針分の一般契約料金は、原料費調整制度に基づき、前月比で1m³あたり0.9円の引き下げが実施されました。
| 料金表 | 適用区分(1ヶ月の使用量) | 基本料金 (円/月) | 調整単位料金 (円/m³) |
|---|---|---|---|
| A表 | 0m³ から 20m³ まで | 759.00 | 169.09 |
| B表 | 20m³ をこえ 80m³ まで | 1,056.00 | 154.24 |
| C表 | 80m³ をこえ 200m³ まで | 1,232.00 | 152.04 |
| D表 | 200m³ をこえ 500m³ まで | 1,892.00 | 148.74 |
| E表 | 500m³ をこえ 800m³ まで | 6,292.00 | 139.94 |
| F表 | 800m³ をこえる場合 | 12,452.00 | 132.24 |
この料金表は市場のベンチマークとなっており、他のすべての事業者はこの価格を基準に「いかに安く見せるか」を競っています。東京ガスの強みは、この価格に「上限キャップ(限度額)」という保険料が含まれている点にあります。
東京ガスと「パッチョポイント」:また、東京ガスは電気とガスのセット契約を促進するために「パッチョポイント」を展開しています。同ポイントはdポイント、Ponta、楽天ポイント、WAONポイントなど主要な共通ポイント全てと交換可能であり、特にAmazonギフトカードへの交換は実用性の高さを決定づけています。
CDエナジーダイレクト:中部電力・大阪ガス連合の競合社
CDエナジーダイレクトは、中部電力と大阪ガスというエネルギー界の大手が共同出資して設立した企業です。両社の調達力とノウハウを背景に、首都圏市場においてアグレッシブなシェア拡大を図っています。
「ゆかぽかガス」と設備連動型割引:同社の最大の差別化要因は、家庭内のガス設備に応じたきめ細やかな割引制度である。特に床暖房を使用する家庭向けの「ゆかぽかガス」プランは、東京ガスの「暖らんぷらん」に真っ向から対抗する商品設計となっています。
| 期別 | 階層 | 基本料金 (円/月) | 基準単位料金 (円/m³) | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|
| 冬期 (12-4月) | 21-80m³ | 1,265.00 | 119.90 | 暖房需要期に安価な単価設定 |
| 81m³以上 | 2,145.00 | 108.90 | 大量消費時の限界単価が低い | |
| その他期 (5-11月) | 21-80m³ | 1,056.00 | 130.35 | 通常期の単価 |
注目すべきは、この基本構造に加えられる「オプション割引」です。
- 浴室暖房割:3%
- エコ給湯器割:3%
- ダブル割(上記両方):6%
例えば、月額ガス料金が20,000円に達する冬場のヘビーユーザーの場合、ダブル割の適用で月額1,200円、ワンシーズン(12月~4月)で約6,000円の節約効果が見込まれます。これは単価差以上のインパクトを持つでしょう。
CDエナジーと「カテエネ」ポイント:また、CDエナジーは中部電力の「カテエネ」基盤を活用し、電気・ガス料金の支払いやコラム閲覧などでポイントが貯まる仕組みを取り入れています。貯まったポイントはTポイント(現Vポイント)やdポイントに交換可能であり、ポイ活ユーザーにとっての魅力は高いです。
独自のリスクとメリット:また、CDエナジーの強みは「電気・ガスセット」における柔軟性にもあります。シングル層向けの「シングルでんき」、ファミリー向けの「ベーシックでんき」など、ライフスタイルに合わせた電力プランとガスを組み合わせることで、年間を通して光熱費全体の削減を狙えます。ただし、「燃料費調整額の上限なし」というリスク要因は、契約者が常に意識しておくべき事項です。
レモンガス:LPガス由来の低価格会社
レモンガスは首都圏で強固なLPガスネットワークを持つ事業者であり、都市ガス自由化以降、その物流コストの低さと無駄のない経営体質を武器に「単純明快な安さ」を訴求しています。
「わくわくプラン」の料金競争力:レモンガスの「わくわくプラン」は使用量が増えるほど割引メリットが拡大する設計です。2025年12月度の適用単位料金(原料費調整額込み)を見ると、その競争力が明らかになります。
| 料金表 | 適用区分 | 基本料金 (円/月) | 12月度単位料金 (円/m³) | 東京ガス(B表基準)との比較 |
|---|---|---|---|---|
| A表 | 0-20m³ | 759.00 | 161.82 | 東京ガスA表(169.09)より -7.27円 |
| B表 | 20-80m³ | 1,041.13 | 147.72 | 東京ガスB表(154.24)より -6.52円 |
| C表 | 80-200m³ | 1,208.99 | 145.62 | 東京ガスC表(152.04)より -6.42円 |
このデータが示す通り、レモンガスは全ての階層において東京ガスよりも安い単価設定を実現しており、特にB表(一般家庭のボリュームゾーン)において、基本料金で約15円、従量料金で約6.5円/m³の差をつけています。
仮に月間50m³を使用する家庭であれば、
の削減となり、年間で約4,000円のメリットが生じます。これはポイント還元などの複雑な手続きなしに享受できる「現金メリット」であるため、シンプルさを好む層からの支持が厚いです。
都市ガス・LPガスの垣根を超えた展開:レモンガスは既存のLPガス顧客を都市ガスエリアへの引っ越し時に自社都市ガスプランへ誘導するなど、顧客のライフサイクルに沿ったクロスセルを行っています。また、同社のWebサイトでは料金体系がPDFで詳細に公開されており、原料費調整額の計算プロセスも透明性が高いと言えます。
結局おすすめはどこ?ユーザータイプ別に解説!
家庭によって多様なライフスタイルが存在するため、万人に共通する「正解」は存在しません。以下に、代表的な4つのユーザータイプを設定し、2025年の市場環境における最適な選択肢を紹介します。
- 月間ガス使用量:10m³ ~ 20m³(主にシャワーと調理)
- 特徴:使用量が少ないため、従量料金の差よりも基本料金の差や、セット割引の有無が総額に影響する。
-
分析:
東京ガス:基本料金759円、単位料金169.09円。月額約2,450円〜4,140円。
レモンガス:基本料金759円、単位料金161.82円。東京ガスより月額70円〜140円程度安い。
CDエナジー:電気(シングルでんき)とのセット割(100円/月など)を適用すれば、レモンガスと同等以上のメリットが出る可能性がある。 - おすすめ戦略:ガス単体の切り替えメリットは極小のため、電気料金プランの見直しとセットで行う「事務処理コストの最適化」を主目的とします。Amazonプライム付帯などの特典がある電力会社(例:東京電力やCDエナジー)にまとめるのが合理的です。
- 月間ガス使用量:30m³ ~ 50m³(毎日のお風呂、調理)
- 特徴:ガス料金が家計の中で存在感を増してくる層。レモンガスの料金メリットが明確に出始める。
- 分析:月間40m³使用時、東京ガスは約7,225円。レモンガスは約6,950円。差額は約275円/月。年間では3,000円強の差となる。
- おすすめ戦略:レモンガス、またはCDエナジーが有力候補です。特に電気の使用量も多い家庭であれば、CDエナジーで電気・ガスをまとめて「ポイント還元率」を高める戦略が有効でしょう。現金の支出を減らしたいならレモンガス一択となります。
- 月間ガス使用量:冬期 100m³ ~ 150m³、夏期 30m³
- 特徴:冬場のガス代が2万円~3万円に達する。従量料金の単価差と、設備割引の適用有無が数万円単位の年間差額を生む。
-
分析:
東京ガス(暖らんぷらん):既存契約。安定しているが割引率は標準的。
CDエナジー(ゆかぽかガス):浴室暖房とエコジョーズがあれば「ダブル割(6%)」が適用される。月額25,000円の場合、1,500円の割引が毎月発生する。これは単価差によるメリットをさらに増幅させる。 - おすすめ戦略:経済合理性だけで言えば、CDエナジーダイレクトの「ゆかぽかガス」が第一候補です。ただし、使用量が多いため将来的に燃料調整額が上限を突破した際のリスクも発生するため、リスク許容度が高い家庭向けです。
- 特徴:わずかな節約よりも、将来的な値上げリスクや解約の手間を嫌う層。
- おすすめ戦略:東京ガスの継続利用。特に2025年は中東情勢や為替の変動が激しく、いつ「調整上限」が発動するかわかりません。限度額がある安心感として、他社との差額(月数百円)を許容するという考え方は、ファイナンスの観点からも合理的と言えます。
【要注意】「床暖房」を使っている家庭の選び方
ここで一つ、非常に重要な注意点があります。 ご自宅で「ガス温水床暖房」を使用している場合です。
【警告:プラン選びを間違えると高くなります】東京ガスには「暖らんぷらん」などの床暖房向け割引プランがあります。 乗り換え先の会社に同様のプランがない場合、一般的な高い料金単価で計算されてしまい、逆にガス代が高騰するリスクがあります。
床暖房をお使いの方は、必ず「床暖房プラン」を用意している会社(レモンガス、東京電力EPなど)を選んでください。申し込み前に「床暖房プラン適用条件」の確認は必須です。
実際の切り替え手順(3ステップ)

手続きは驚くほどシンプルです。面倒な電話連絡などは必要ありません。
1. 検針票(またはWeb明細)を用意する:現在契約しているガス会社の「お客様番号」や「供給地点特定番号」が必要です。
2. 公式サイトから申し込み:入力はスマホで5分〜10分程度。
※重要: 現在のガス会社への解約連絡は乗り換え先の会社が代行してくれます。自分でする必要はありません。
3. 供給開始を待つ:申し込みから約1ヶ月〜2ヶ月後の検針日に、自動的に切り替わります。
まとめ:シミュレーションで「ご自宅の正解」を確認しましょう
東京エリアでの都市ガス会社選びのポイントをおさらいします。
- 一人暮らし・二人暮らし: 電気とのセット割(CDエナジーなど)
- ファミリー世帯: 使用量が多いなら単価の安い会社(レモンガスなど)
- 床暖房ユーザー: 必ず「床暖房プラン」がある会社を選ぶ
| 会社名 | 向いているタイプ | ポイント |
|---|---|---|
| CDエナジー | 一人〜二人暮らし | 電気・ガスセットで管理も楽に |
| レモンガス | 3人以上のファミリー | 使用量が多いほどお得さを実感 |
| 東京電力EP | 大手志向・特典重視 | 加入時のキャンペーンが魅力 |
「自分の使用量だと、具体的に月いくら安くなるの?」「他の会社とも比較したい」 そう思ったら、一度詳細なシミュレーションをしてみることをおすすめします。
電力・ガス比較サイト「エネピ」なら、検針票の情報を入力するだけで、あなたに最適なプランを一括で無料診断できます。 まずは現状を把握して、賢いガス会社選びを実践してみてください。
[エネピでガス料金をシミュレーションしてみる]
