毎月のガス料金の請求額を見て、高いと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか 。特にプロパンガス(LPガス)は、料金設定がわかりにくく、知らず知らずのうちに相場より高い料金を支払っているケースが少なくありません。
しかし、プロパンガス料金は適切な方法を知ることで、相場より安くできる可能性があります。
この記事では、プロパンガスに関する専門的知見から、ご家庭のプロパンガス料金が高いのかを判断する方法、料金が高くなる仕組み、そして具体的に料金を安くするための手順まで、分かりやすく解説します 。この記事を読めば、ガス料金に関する悩みを解決し、光熱費を賢く節約する方法がわかります。
この記事で分かること:
- 自宅のプロパンガス料金が「適正価格」と比べて高いか安いか
- プロパンガス料金が高くなりやすい仕組みとその具体的な理由
- プロパンガス料金を根本的に安くするための最も効果的な方法
エネピ調べによると、プロパンガス料金の月間平均と適正価格は下記の通りです。エネピを利用してガス会社を選んだ場合、月間約1,900~4,600円のガス料金を削減できる可能性があります。
| 平均価格 | 適正価格 | 削減額 | |
|---|---|---|---|
| 北海道 | ¥14,818 | ¥10,419 | ¥4,399 |
| 東北 | ¥17,419 | ¥12,760 | ¥4,659 |
| 関東 | ¥15,129 | ¥10,819 | ¥4,311 |
| 中部 | ¥15,369 | ¥11,340 | ¥4,029 |
| 近畿 | ¥15,595 | ¥12,571 | ¥3,024 |
| 中国・四国 | ¥15,531 | ¥12,551 | ¥2,981 |
| 九州 | ¥15,049 | ¥11,800 | ¥3,249 |
| 沖縄 | ¥11,485 | ¥9,548 | ¥1,937 |
※エネピを利用したユーザー様の削減実績データから算出した料金です
まずは現状把握から!自宅のプロパンガス料金は本当に高い?
ガス料金が高いと感じたら、まずはご自身の料金が客観的に見てどの水準にあるのかを把握することが重要です。「ガス代が高い」という漠然とした感覚を、「いくら過剰に支払っているのか」という具体的な数字に変えることが、問題解決の第一歩です。ここでは、ご家庭のガス料金が適正かどうかを正確に診断する方法を解説します。
検針票を活用:重要な2つの数字を見つけ出す
まず、お手元にプロパンガスの「検針票(ガスご使用量のお知らせ)」をご用意ください。比較のために重要なのは、請求総額そのものではなく、その内訳を構成する2つの料金です。
- 基本料金: ガスの使用量にかかわらず、毎月固定で請求される料金です。ガスの保安・管理費用などが含まれます。
-
従量単価: ガスを1㎥使用するごとにかかる単価です。これは検針票に直接記載されていない場合がありますが、以下の簡単な計算で算出できます。
従量単価 = 従量料金 ÷ ガス使用量
この「基本料金」と「従量単価」こそが、あなたのガス料金が地域の相場と比較して高いか安いかを判断するための重要な指標となります。
料金チェック:自分は本当に払い過ぎているのか?
プロパンガスの料金は地域によって異なりますが、信頼できる公的なデータや、競争市場における適正な価格水準は存在します。ここで、ご自身の料金がどのレベルにあるのかを客観的に比較してみましょう。
信頼性の高い情報源として、経済産業省所管の日本エネルギー経済研究所石油情報センターが公表している都道府県別の平均価格データがあります。これは、各地域のガス会社が実際に請求している価格の平均値です。
一方で、ガス会社比較サイトなどが提示する「適正価格」は、健全な価格競争が行われた場合に実現されるべき、より安価な料金水準を示しています。
以下の表は、石油情報センターが公表する「平均価格」と、消費者が目指すべき「適正価格」を並べて比較したものです。ご自身の基本料金と従量単価を、お住まいの都道府県の欄と見比べてください。
| 都道府県 | 平均基本料金 | 適正基本料金 | 平均従量単価 | 適正従量単価 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 2241円 | 2000円~2100円 | 910.8円 | 400円~450円 |
| 青森県 | 2110円 | 1900円~2000円 | 879.4円 | 380円~430円 |
| 岩手県 | 2089円 | 1900円~2000円 | 830.0円 | 380円~430円 |
| 宮城県 | 1941円 | 1900円~2000円 | 731.9円 | 330円~380円 |
| 秋田県 | 2059円 | 1900円~2000円 | 814.4円 | 380円~430円 |
| 山形県 | 2098円 | 1900円~2000円 | 832.2円 | 380円~430円 |
| 福島県 | 1996円 | 1900円~2000円 | 761.4円 | 330円~380円 |
| 茨城県 | 1845円 | 1500円~1800円 | 668円 | 280円~340円 |
| 栃木県 | 1814円 | 1500円~1800円 | 666円 | 270円~330円 |
| 群馬県 | 1901円 | 1500円~1800円 | 638円 | 280円~340円 |
| 埼玉県 | 1907円 | 1500円~1800円 | 645円 | 260円~320円 |
| 千葉県 | 1872円 | 1500円~1800円 | 639円 | 270円~330円 |
| 東京都 | 1903円 | 1500円~1800円 | 644円 | 270円~330円 |
| 神奈川県 | 1942円 | 1500円~1800円 | 668円 | 280円~340円 |
| 新潟県 | 2109円 | 1800円~1900円 | 740.7円 | 350円~400円 |
| 富山県 | 2217円 | 1900円~2000円 | 791.4円 | 380円~430円 |
| 石川県 | 2054円 | 1900円~2000円 | 773.8円 | 380円~430円 |
| 福井県 | 1962円 | 1900円~2000円 | 761.2円 | 380円~430円 |
| 山梨県 | 1837円 | 1800円~1900円 | 664.3円 | 330円~380円 |
| 長野県 | 1898円 | 1800円~1900円 | 723.4円 | 350円~400円 |
| 岐阜県 | 1929円 | 1800円~1900円 | 693円 | 350円~400円 |
| 静岡県 | 1914円 | 1800円~1900円 | 704円 | 320円~380円 |
| 愛知県 | 1883円 | 1800円~1900円 | 685円 | 350円~400円 |
| 三重県 | 1934円 | 1800円~1900円 | 680円 | 350円~400円 |
| 滋賀県 | 1993円 | 1800円~1900円 | 672円 | 350円~400円 |
| 京都府 | 1995円 | 1800円~1900円 | 675円 | 350円~400円 |
| 大阪府 | 1853円 | 1800円~1900円 | 685円 | 350円~400円 |
| 兵庫県 | 2133円 | 1800円~1900円 | 688円 | 350円~400円 |
| 奈良県 | 1935円 | 1800円~1900円 | 685円 | 350円~400円 |
| 和歌山県 | 2019円 | 1800円~1900円 | 661.1円 | 350円~400円 |
| 鳥取県 | 2079円 | 1900円~2000円 | 788.6円 | 380円~430円 |
| 島根県 | 2182円 | 1900円~2000円 | 808.3円 | 380円~430円 |
| 岡山県 | 2070円 | 1900円~2000円 | 740.4円 | 380円~430円 |
| 広島県 | 2024円 | 1900円~2000円 | 727.9円 | 380円~430円 |
| 山口県 | 2156円 | 1900円~2000円 | 789.8円 | 380円~430円 |
| 徳島県 | 2110円 | 1900円~2000円 | 684.4円 | 380円~430円 |
| 香川県 | 2067円 | 1900円~2000円 | 719.2円 | 380円~430円 |
| 愛媛県 | 1994円 | 1900円~2000円 | 699.8円 | 380円~430円 |
| 高知県 | 2016円 | 1900円~2000円 | 668.9円 | 380円~430円 |
| 福岡県 | 2035円 | 1900円~2000円 | 701.4円 | 380円~430円 |
| 佐賀県 | 2108円 | 1900円~2000円 | 755.1円 | 380円~430円 |
| 長崎県 | 1916円 | 1900円~2000円 | 739.7円 | 380円~430円 |
| 熊本県 | 1859円 | 1900円~2000円 | 708.7円 | 380円~430円 |
| 大分県 | 1914円 | 1900円~2000円 | 712.1円 | 380円~430円 |
| 宮崎県 | 1909円 | 1900円~2000円 | 732.9円 | 380円~430円 |
| 鹿児島県 | 1742円 | 1800円~1900円 | 734.3円 | 380円~430円 |
| 沖縄県 | 1926円 | 1900円~2000円 | 743.9円 | 400円~450円 |
※平均価格は石油情報センターの2025年4月調査データ、適正価格は複数の消費者向け情報サイトのデータを基にした目安です
この表を見て驚かれた方もいるかもしれません。多くの場合、「平均価格」は「適正価格」を大幅に上回っています。これは、プロパンガス市場が健全な価格競争から離れた状態にあるためです。つまり、平均的な料金を支払っている多くの消費者は損をしているのです。もしご家庭の料金が「適正価格」よりも高い場合、見直しの余地があると考えられます。
シミュレーション:適正価格による節約効果を計算する
では、実際にどれくらいの節約が見込めるのでしょうか。以下の簡単な式で、年間の潜在的な節約額を計算できます。
年間節約額 = (現在の従量単価−適正従量単価) × 月平均使用量 × 12ヶ月
具体的なイメージを持つために、東京都在住の4人家族を例に見てみましょう。
前提条件: 東京都在住、4人家族
冬場の平均ガス料金: 19,436円
現在の従量単価(平均): 613円/㎥
目指すべき適正単価:300円/㎥
単価差額:313円/㎥
冬場の平均使用量:26.3㎥
もしこの家庭が適正価格のガス会社に切り替えた場合、
月間節約額 = 313円/㎥ × 26.3㎥ = 8,231.9円
これは冬の1カ月だけの計算ですが、年間を通じて平均すると、年間5万円以上の節約も決して非現実的な数字ではないことがわかります。エネピでは、毎月の検針票から使用量や請求金額を入力するだけで、ガス代をいくら減らせるか金額の目安を出すことができます。ぜひこの機会に試してみてください。
なぜこんなに高い?プロパンガス料金の知られざるカラクリ
次は、プロパンガスの料金がなぜ高くなりやすいのか、その仕組みについて解説します。
理由①:公共料金とは違い、言い値で決まる「自由料金制」
電気や都市ガスとは異なり、プロパンガスの料金は国の認可が不要な「自由料金制」です。つまり、ガス会社がそれぞれ独自の裁量で価格を設定できるため、同じエリアであっても会社によって料金が大きく異なる場合があります。
理由②:「無償貸与契約」という見えない縛り
新築や引っ越しの際に、ガス会社が給湯器などの設備費用を負担する代わりに、10年~15年といった長期間の契約を結ぶ「無償貸与契約」という慣行があります。この設備費用は、実は月々のガス料金に上乗せして回収されているため、結果的に相場より高い従量単価になっているケースが多く見られます。
ただし、この「無償貸与契約」は法改正により賃貸住宅では2024年7月から、戸建住宅等でも2025年4月から禁止されました。今後はガス関連設備の費用は原則としてオーナーまたは入居者が契約時に明示された形で負担します。
理由③:気づかぬうちに少しずつ値上げされている
契約当初は安くても、その後、原料価格の変動などを理由に少しずつ値上げされ、気づいた頃には相場よりかなり高い料金になっていることも少なくありません。また、原料価格が下がった時に値下げが行われることは稀で、値上げだけが一方的に積み重なっていくケースがほとんどです。
今すぐできる!プロパンガス料金を安くする具体的アクション
料金が高い原因がわかったところで、具体的な解決策を検討してみましょう。
方法1:現在のガス会社に値下げ交渉する
適正価格などを根拠に、現在契約しているガス会社に値下げを交渉する方法があります。ただし、一時的に値下げに応じてもらえても、しばらくして再び値上げされる可能性も否定できず、根本的な解決になりにくい場合があります。
方法2:ガス会社を切り替える【根本的な解決策】
より安く、料金体系が明瞭なガス会社へ切り替えることは、ガス料金を継続的に安くするための最も効果的で根本的な解決策です 。現在は多くの会社がプロパンガス事業に参入しており、消費者にとって選択肢が広がっています。
ガス会社の切り替えは、以下の簡単なステップで進めることができます。
1. 新しいガス会社を探し、見積もりを依頼する
まずは、複数のガス会社から見積もりを取り、料金を比較します。その際、複数の会社へ一括で見積もり依頼ができるエネピのようなサービスを活用すると、手間をかけずに最適な会社を見つけやすくなるためおすすめです。
2. 新しいガス会社と契約する
料金やサービス内容に納得できる会社が見つかったら、契約手続きを進めます。面倒な現在のガス会社への解約連絡は、新しいガス会社が代行してくれるのが一般的です。
3. ガスボンベ・メーターの交換
新しいガス会社の担当者が訪問し、ガスボンベやメーターの交換作業を行います。作業は1時間程度で完了し、その日から新しい会社のガスが利用できます。
これで安心!ガス会社切り替えの不安・疑問をすべて解消
ガス会社の切り替えを検討する際に、多くの方が抱く疑問にお答えします。
Q1. 違約金や解約金を請求されない?
A. 「無償貸与契約」が残っている場合、解約時に設備費用の残債を請求されることがあります。しかし、新しいガス会社がその残債を肩代わりしてくれる「乗り換えサポート」を提供している場合も多いため、見積もり時に確認してみましょう。
Q2. 手続きは面倒?時間はかかる?
A. 申し込みの多くはWebや電話で完結します。現在のガス会社への連絡も不要なため、手間はほとんどかかりません。申し込みから切り替え完了までは、最短で1週間~2週間程度です。
Q3. 新しい会社の工事って何をするの?費用は?
A. 主にガスボンベとメーターの交換作業となり、立ち会いが必要な場合もあります。この交換費用は原則無料です。
Q4. 安い会社は安全面やサポートが心配…
A. プロパンガスの保安基準は法律で厳しく定められており、どの会社も同じ安全基準を満たさなければなりません。緊急時の対応なども含め、契約前にサポート体制を確認しておくとよいでしょう。
Q5. 賃貸アパートやマンションでも切り替えできる?
A. 賃貸物件の場合、大家さんや管理会社の許可が必要になります。まずは一度、管理会社などに相談してみてください。
まとめ
この記事で解説した重要なポイントを整理します。
- プロパンガス料金は、検針票の料金と適正価格を比較することで、高いかどうかの判断ができます。
- 料金が高くなる背景には、「自由料金制」や「無償貸与契約」といったプロパンガス業界特有の仕組みがあります。
- ガス料金を根本的に安くするには、現在のガス会社との交渉よりも、信頼できる適正価格のガス会社への切り替えが最も効果的です。
- ガス会社の切り替えは、Webで簡単に手続きができ、不安な点も事前に確認することで解消できます。
毎月の固定費であるガス料金を見直すことは、家計の節約に大きく貢献します。何から始めればよいか迷う場合は、まずは複数のガス会社の料金を比較することから始めてみてはいかがでしょうか。
エネピの一括見積もりサービスなら、お住まいのエリアで供給可能なガス会社の料金を手軽に比較し、最適なプランを見つけることができます。ぜひ一度、ご家庭のガス料金がいくら安くなるのか、チェックしてみてください。
