中部電力の電気代が高い！と感じる方へ。原因と効果的な節約方法、新電力への切り替えも解説

「中部電力の電気料金、最近なんだか高い気がする…」と感じていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。毎月の請求額を見て、ため息をついている方も少なくないかもしれません。

この記事では、中部電力の電気料金が高いと感じる原因や、具体的な料金の仕組みについて、専門的な知見を交えながら分かりやすく解説します。さらに、電力会社の切り替えという選択肢についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

電気料金が高くなる背景には、様々な要因が考えられます。まずは、電気料金がどのように構成されているのか、その内訳から見ていきましょう。

電気料金は主に、以下の項目で構成されています。

• 基本料金: 電力使用量に関わらず、契約アンペア数などに応じて毎月固定でかかる料金です。
• 電力量料金: 使用した電力量に応じてかかる料金で、単価は使用量が増えるほど段階的に高くなるのが一般的です。
• 燃料費調整額: 発電に必要な燃料（原油、LNG、石炭など）の価格変動を電気料金に反映させるためのものです。燃料価格が高騰すると、この調整額も上昇します。
• 再生可能エネルギー発電促進賦課金（再エネ賦課金）: 太陽光や風力など、再生可能エネルギーの買取費用を電気を利用するすべての方で負担するものです。
• 託送料金: 発電所で作られた電気を送るための送配電網の利用料金で、電気料金に含まれています。

近年、特に燃料費調整額の高騰が電気料金を押し上げる大きな要因となっています。世界的なエネルギー需要の増加や国際情勢の不安定化により、燃料価格が大きく変動しているためです。

また、再エネ賦課金も、再生可能エネルギーの普及に伴い、年々単価が上昇する傾向にあります。これらの要素が複合的に絡み合い、電気料金全体の上昇につながっていると考えられます。

他の電力会社との料金比較や、過去の値上げの経緯も気になるところです。お住まいの地域の料金水準や、ご契約中のプランが現在のライフスタイルに適しているかを確認することも重要でしょう。

ここでは、中部電力ミライズが近年実施した主要な料金改定と、その背景にある規制制度の変更について解説します。

2023年4月から、託送料金の算定に新たな規制制度「レベニューキャップ制度」が導入されました。この制度は、送配電事業者が一定の規制期間（通常5年間）に得られる収入の上限（キャップ）をあらかじめ設定し、その範囲内で託送料金が決定される仕組みです。老朽化した送配電網の維持・更新や、再生可能エネルギー導入拡大に必要な系統増強への投資を効率的に促すことを目的としています。

この制度変更に伴う託送料金の変動が、中部電力ミライズの料金改定に繋がりました。例えば、標準的な家庭（従量電灯B、30A契約、月間使用量260kWh）の場合、この改定により月額約109円の負担増になると試算されました。

2024年4月、中部電力ミライズは再び低圧（家庭向けなど）の電気料金を見直しました。この改定は、主に以下の二つの規制制度上の変更を反映したものです。

レベニューキャップ制度の期中調整: 2023年4月に導入されたレベニューキャップ制度について、規制期間の途中で託送料金水準の見直し（期中調整）が行われました。

発電側課金制度の導入: 新たに「発電側課金制度」が導入されました。これは、送電網の利用にかかる費用の一部を、従来の小売電気事業者だけでなく、発電事業者も負担するという仕組みです。発電事業者が負担したコストは、巡り巡って卸電力価格や小売料金に影響を与える可能性があります。

これらの制度変更を受けた2024年4月の料金改定では、多くの主要な家庭向けプラン（従量電灯B、ポイントプラン、おとくプラン、スマートライフプランなど）において、基本料金が値上げされる一方で、電力量料金は若干値下げされるというパターンが見られました。

2025年初頭の時点では、中部電力ミライズは2024年4月の料金改定以降、家庭向けプランの「本体料金（基本料金および電力量料金）」の追加的な値上げは実施していません。しかしながら、本体料金が据え置かれていても、2024年冬から2025年初頭にかけて電気料金の請求額が以前より高くなったと感じた消費者は少なくないでしょう。この主な要因は以下の2点です。

燃料費調整額の変動: 世界的な燃料価格の動向を反映して、燃料費調整額が上昇する局面があったこと。

政府による電気料金負担軽減策の終了・縮小: 2023年から2024年にかけて実施されていた政府の補助金が段階的に縮小または終了したこと。

こうした状況を踏まえ、中部電力ミライズは2025年度（2025年4月～2026年3月）独自の負担軽減策を発表しています。具体的には、家庭向けなどの低圧契約者を対象に、2025年冬期（2025年11月使用分から2026年3月使用分までの5ヶ月間）の電気料金（燃料費調整額、再エネ賦課金は除く）を10%割引するとしています。

電気料金を少しでも安く抑えるために、具体的にどのような対策ができるのでしょうか。ここでは、いくつかの方法を提案します。

現在契約している料金プランが、ご自身の電気の使い方に本当に合っているか確認してみましょう。中部電力ミライズでは、時間帯によって料金単価が変わるプランや、提携企業のポイントが貯まるプランなど、様々な料金プランを提供しています。

現在の契約プランの確認方法: 毎月の検針票（電気ご使用量のお知らせ）や、中部電力ミライズの会員サイト「カテエネ」で確認できます。

ライフスタイルに合ったプランの選び方: 例えば、日中は不在が多く夜間に電気をよく使うご家庭であれば、夜間の電気料金が割安になるプランが適している場合があります。ご自身の生活パターンを把握し、最適なプランを検討してみましょう。

2016年の電力小売全面自由化以降、私たちは電力会社を自由に選べるようになりました。「新電力」と呼ばれる新しい電力会社も数多く登場し、それぞれが特色ある料金プランやサービスを提供しています。

新電力とは？: 大手電力会社（中部電力など）以外の電気事業者のことです。ガス会社や通信会社など、様々な業種の企業が参入しています。

メリット・デメリット:
・メリット: 現在の契約よりも電気料金が安くなる可能性がある、独自のポイントサービスやセット割引がある場合がある、など。
・デメリット: 契約期間や解約金が設定されている場合がある、倒産のリスクがゼロではない（ただし、その場合もすぐに電気が止まるわけではありません）、など。

料金比較のポイントと注意点: 単純な料金単価だけでなく、契約期間、解約金の有無、ポイント制度、サポート体制などを総合的に比較することが大切です。

乗り換え手続き: インターネットや電話で簡単に申し込める場合が多く、原則として工事の立ち会いや費用は発生しません。

後悔しないためのチェックリスト:
・料金プランは本当に自分の使い方に合っているか？
・解約金や違約金はないか？
・サポート体制は信頼できるか？

エネピでは、お住まいの地域や電気の使用状況に合わせて、最適な電力会社や料金プランを比較・検討することができます。 面倒な手続きもサポートしており、スムーズな切り替えをお手伝いします。ぜひ一度、料金シミュレーションを利用してみてください。

中部電力ミライズが提供する主要な家庭向け料金プランについて、それぞれの特徴や料金体系などを詳しく解説します。

これらのプランは、電力小売全面自由化以前から提供されている伝統的な料金メニューであり、多くの家庭で利用されている基本的な選択肢です。

◆従量電灯B
一般家庭向けの最も標準的なプランで、契約アンペアが60Aまでの場合に適用されます。電力量料金は使用量に応じて3段階に設定されており、使用量が増えるほど単価が上昇します。

重要な点として、このプランには通常、燃料費調整額（FCA）に上限が設けられています。 これにより、燃料価格が急激に高騰した場合でも、電気料金の上昇がある程度抑制されるというメリットがあります。一方で、燃料価格が安定または下落している状況では、上限のない自由料金プランの方が安くなる場合もあります。

つまり、従量電灯Bは、極端な料金変動リスクを避けたい消費者にとっては魅力的な選択肢ですが、常に絶対的に最も安価なプランであるとは限りません。またこのプランは、他の多様なプランと比較する上での基準点として捉えることができます。

基本料金：

電力量料金：

◆従量電灯C
一般家庭に加えて、電力使用量の多い家庭や小規模な商店など、契約容量が6kVA以上の利用者に適しています。基本料金は契約容量(kVA)に基づいて計算されますが、電力量料金の段階設定は従量電灯Bと同一です。また従量電灯Bと同様に、このプランにも燃料費調整額に上限が設けられています。

基本料金：

電力量料金：

電力小売全面自由化以降に登場したこれらのプランは、多様な特典や料金設定が特徴です。これらのプランの多くに共通する特徴として、中部電力ミライズの会員向けウェブサービス「カテエネ」と連携していることや、燃料費調整額に上限が設けられていないことが挙げられます。

◆ポイントプラン
比較的電力使用量が少ない、契約アンペアが10Aから30Aまでの利用者を対象としています。基本料金および電力量料金の段階設定は、利用可能なアンペア範囲（10A～30A）において従量電灯Bと同一です。電気料金の支払額に応じてカテエネポイントが付与されます。

このプランの魅力はカテエネポイントの付与にありますが、その代わりに燃料費調整額の上限設定という安定性を手放すことになります。200円につき1ポイント（還元率0.5%）というポイントの価値と、燃料費調整額の上昇リスクを比較検討する必要があります。

基本料金：

電力量料金：

◆おとくプラン
電力使用量が中程度から比較的多めの、契約アンペアが40A、50A、60A、または契約容量が6kVAの利用者を対象としています。基本料金および電力量料金の段階設定は、利用可能なアンペア/kVA範囲において従量電灯B（またはC）と同一です。

おとくプランは、ポイントプランと同様に従来の従量電灯B/Cの料金体系をベースとしつつ、特典を付加し、燃料費調整額の上限を撤廃したプランです。カテエネ会員は、毎月の料金から153円割引または153カテエネポイント付与のいずれかを選択できます。カテエネ非会員の場合は毎月102円の割引が適用されます。

基本料金：

電力量料金：

◆とくとくプラン
特に電力使用量が多い家庭や小規模事業所など、契約容量が7kVA以上の利用者を対象としています。従量電灯Cと比較して、最初の段階（～120kWh）の単価は若干高いものの、3段階目（301kWh～）の単価が安く設定されており、電力使用量が非常に多い場合に経済的メリットが大きくなります。また、カテエネ会員は毎月153カテエネポイントが付与されます。

基本料金：

電力量料金：

これらのプランは、電気を使用する時間帯や曜日、季節によって料金単価が変動するのが特徴です。主に、夜間の電力消費が多い家庭（オール電化住宅など）や、特定のライフスタイルを持つ家庭（電気自動車所有者など）を対象に設計されています。これらのプランも一般的に燃料費調整額の上限はありません。

◆スマートライフプラン
主にオール電化住宅（エコキュート給湯器などを使用）や、夜間に多くの電力を使用する家庭、夜間に電気自動車（EV）を充電する家庭に適しています。 また、平日の日中は不在がちで、週末に家事をまとめて行うようなライフスタイルの家庭にもメリットがあります。

基本料金：

電力量料金：

◆昼とくプラン
2025年4月1日開始の新しいプランです。 エコキュート、蓄電池、またはEVを所有する家庭を対象とし、特に太陽光発電量が多い春・秋の昼間の電力使用を促すことを目的としています。春・秋の「デイタイム」の電気料金が最も安価で、「ナイトタイム」の料金は、スマートライフプランの「ナイトタイム」と比較して相対的に高めです。

このプランは、EV、スマート給湯器、蓄電池など、電力消費のタイミングを柔軟に調整できる設備を持つ家庭が、昼間の安価な電力を活用することでメリットを享受できるように設計されています。特に、EVや家庭用蓄電池を所有し、日中に「安く充電」できる利用者にとっては非常に魅力的な選択肢となります。

基本料金：

電力量料金 ※春・秋（3月1日～6月30日、10月1日～11月30日）：

電力量料金 ※夏・冬（上記以外の期間）：

◆forAPプラン
中部電力ミライズの対象電気料金プランとAmazonプライム会員資格をセットで提供するオプションサービスです。選択した基本電気料金プランの基本料金に、一定の追加料金（月額455円）が加算されます。例えばポイントプラン10Aの場合、基本料金321.14円にforAP手数料455円が加わり、合計776.14円となります。

さて、中部電力ミライズが提供する家庭向け電気料金プランを、標準的な従量制プラン（従量電灯B・C）、柔軟な特典付きの自由料金プラン（ポイントプラン、おとくプラン、とくとくプラン）、時間帯やライフスタイルに特化したプラン（スマートライフプラン、昼とくプラン）、そして付加価値サービスを組み合わせたプラン（forAPプラン）に分類して解説しました。

これらのプランを差別化する主な要因は、燃料費調整額の上限の有無、時間帯別料金設定の導入、カテエネポイントシステムの活用度合い、そして対象となる電力消費量やライフスタイルです。

なお、電気料金プランの詳細や単価は変更される可能性があります。したがって、実際にプラン変更を検討される際には、必ず中部電力ミライズの公式サイトで最新情報を確認し、ご自身の状況に照らし合わせて慎重に判断することが重要です。

以下は、中部電力ミライズの「従量電灯B」プランにご契約の一般家庭を対象に、2025年5月分の電気料金を世帯人数別に試算したものです。

このシミュレーションから、電気料金の構成要素（基本料金・電気量料金・燃料調整額・再エネ賦課金）が月々の支払額にどのように影響しているのかを、より具体的にご理解いただけると思います。

シミュレーション結果から、いくつかの傾向が読み取れます。まず、世帯人数が増え、使用電力量が増加するにつれて、電気料金は単純な比例関係以上に増加していることが分かります。これは、3段階料金制度により、使用量が多いほど高単価の料金区分が適用されるためです。

また、料金構成要素の割合も変化します。1人世帯では、基本料金（963.42円）が合計請求額（7,380円）の約13%を占めています。一方、6人以上世帯では、基本料金（1605.70円）は合計請求額（20,421円）の約7.9%となり、相対的に電力量料金や調整額・賦課金の割合が大きくなります。これは、使用量が増えるほど、kWhに連動する変動費部分の影響が強まることを示しています。

【ご注意】

• 上記はあくまでシミュレーション結果（概算）であり、実際の請求額とは異なる場合があります。
• 電気料金は、実際のご使用状況、契約内容、燃料費調整額や再エネ賦課金の変動などにより変わります。
• 他社の料金と比較したい場合は、エネピの「でんき料金シミュレーション」をご利用ください。あなたにピッタリの最安値プランをご提案します。

今回は、中部電力の電気料金が高いと感じる原因から、最適な料金プランの選び方、そして電力会社の切り替えという選択肢まで幅広く解説しました。

これらの情報が、皆さまの電気料金に関するお悩みを解決する一助となれば幸いです。

エネピでは、ご家庭に最適な電力会社の料金プランを簡単に比較でき、切り替え手続きもサポートしています。 電気料金の見直しを検討されている方は、ぜひ一度エネピの「でんき料金シミュレーション」を活用してみてください。 賢い選択で電気料金の負担を少しでも軽減し、快適な暮らしを実現しましょう！