LPガス元売仕切の算出方法は?最新のCP動向と併せて解説
LPガス輸入元売メーカー各社は毎月、プロパン、ブタンの仕切価格を特約店に通知するとともに大手各社ではWebサイトで前月比の変動幅も公表しています。

現在のような毎月の仕切改定は、1990年の湾岸戦争(イラクがクウェートに侵攻)によりサウジアラビアの輸出価格が急騰したのを契機に始まりました。

当時サウジアラビアの対日LPガス輸出価格(FOB)は原油(アラビアンライト)の熱量ベースから算出されていましたが、1992年からのサマレクプライス(SP)を経て1994年10月から現在においてはCP(コントラクトプライス)へと変遷しています。

このような元売仕切はどのように算出されているのでしょうか?

元々はサウジアラビアのLPガス輸出価格CP(FOB)と為替レート(TTS)で決められていましたが、2017年から米国の「モントベルビュープロパンスポット価格」が加味されるようになりました。

これは米国がシェール革命により世界一のLPガス産出国となり、現在の日本のLPガス輸入量の7割以上のシェアを占めるに至ったことが背景にあります。


次項で現行の仕切改定の計算方法について更に詳しく見ていきましょう。

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LPガス元売各社の仕切改定の計算方法

LPガス元売各社の仕切改定の計算方式は各社によって異なりますが、主に以下のような要素を基に計算されています。

・サウジアラビアのCP価格
・米国モントベルビュープロパンスポット価格
・為替レート(TTS)
・フレート(タンカー運賃)

①CP価格

CPについては、各社共通で二か月の移動平均で計算されます。

例えば、9月仕切を算出する際は8月と9月のCP平均、プロパンは8月の370㌦/㌧と9月の350㌦/㌧の平均で360㌦/㌧となり、これを前月(7月と8月のCP平均372.5㌦/㌧)と比較することになります。
従来は単純に単月の前月比で求められていましたが、価格変動が大きくなったため、二か月の移動平均が採用されるようになりました。

なお、中東産ガス国のほとんどがCPにリンクした価格設定をしているため、仕切改定の計算においてはCPが最も大きな指標とされています。

②米国モントベルビュープロパンスポット価格

米国モントベルビュースポット価格については、プロパン仕切にだけ利用され、ブタン仕切には使われていません。

これは米国からのLPG輸入のほとんどがプロパンで占められているためですが、米国からのプロパン輸入量(2018年は7割超のシェア)に対して仕切算出には、サウジアラビアCPを70~75%、米国産を25~30%と輸入実績よりも米国産の割合を少なく見積もっているのが特徴です。

また、モントベルビュープロパンスポット価格の算出はOPIS社(石油関連情報会社)から提供されている毎月の平均価格を基に行われています。

例えば9月仕切では8月平均価格(218㌦/㌧)となります。

なお、米国エネルギー情報局(EIA)が毎日発表しているモントベルビュープロパンスポット価格と比較すると、大きな差異が生じる場合がありますので注意が必要です。

③フレートとバンカーサーチャージ等

フレート価格については、近年、変動が激しいことから、CP価格などと異なり毎月の仕切で改定が行われています。

また、中東~日本と米国~日本ではタンカーの運航日数が異なるため、米国産プロパンのフレートは中東産フレートに更に1.5~1.6の係数を乗じて計算しています。

この結果、米国産が加味されるプロパンと中東産だけで計算されるブタンではフレートも異なることになります。

なお、アストモスエネルギーは米国産プロパンの調達諸経費の中にフレート格差も算入しているため、バンカーサーチャージ(プラッツ社発表シンガポールC重油)の変動を毎月の仕切改定で加算しています。

④米国物流経費(ターミナルフィー・パナマ運河通峡料等)

米国産プロパン契約では、モントベルビュースポット価格をベースに基地経費(ターミナルフィー)が加算されます。

元売各社でターミナルフィーが異なるようですが、仕切改定では米国産プロパンを算定する際に米国物流経費として加算されています。
米国物量経費は原則1年ごとに見直されることになっています。

なお、新パナマ運河が運開され、昨今の米国産LPガスは出荷基地のメキシコ湾岸~喜望峰周りのルートからパナマ運河を通って運ばれるルートが増えているので、元売各社は米国物流経費のなかにパナマ通峡料をコストに転嫁することで対応しています。

⑤為替レートと石油石炭税

LPガス元売各社の仕切改定では為替レートの変動も重要になります。

LPガスのほとんどが輸入の上ドル建てで取引されているので、円・ドル相場が仕切に大きく反映されることになります。

使用される為替レートはTTS(対顧客電信売相場)です。
これは日経新聞等で毎日掲載されているので誰でも確認することができます。

なお、テレビ等で紹介される為替レートは外国為替市場における銀行間直物取引相場で、その中心値は財務省通関課税換算レートの算定に使用されているものです。

TTSとは異なる(1円/㌦ほど円安)ので、混同しないよう注意が必要です。

仕切改定で使用される為替レートは各社で算定期間が異なりますが、多くの場合前月月間平均または前々月21日~前月20日までのTTS平均が採用されています。

9月仕切を例にすると、7月21日~8月20日平均、8月1~31日平均となります。
 
石油石炭税は平成24年10月から従来の1,080円/㌧から「地球温暖化対策のための課税特例」として段階的に引き上げられ、平成28年4月以降は1.860円/㌧が課税されています。

平成28年度以降変更されていませんので、仕切価格には反映されてはいるものの、現在の仕切改定時の変動要素とはなっていません。

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2019年9月の仕切改定状況とプロパン料金への影響

それでは、2019年9月の仕切改定状況のプロパン料金への影響を見てみましょう。

9月サウジアラビアCPはプロパン350㌦/㌧、ブタン360㌦/㌧で前月比プロパンは20㌦の下落、ブタンは横ばいとなりました。

米モントベルビュープロパンスポット8月平均価格は218㌦/㌧で前月比10㌦の下落です。

一方、為替レートは7月21日~8月20日平均(108.20円/㌦)、8月1~31日平均(107.32円/㌦)となり、フレートは各社で算定方式が異なりますが、400~700円/㌧の下落となりました。

これらの諸要素から元売各社の9月仕切改定は前月比プロパン2,070円~2,600/㌧、ブタン420円~1,100円/㌧のそれぞれ下落となりました。

【LPガス元売仕切改定状況(単位・円/㌧)】
4月 5月 6月 7月 8月 9月 上期計
ジャパンガスエナジー 3,900 1,480 -4,530 -8,980 -2,270 -2,070 -12,470
4,570 940 -6,860 -10,420 -3,050 -420 -15,240
アストモスエネルギー 3,200 1,000 -5,300 -9,000 -1,800 -2,400 -14,300
4,100 800 -7,700 -10,500 -2,600 -900 -16,800
ENEOSグローブ 3,800 1,800 -5,400 -8,700 -2,100 -2,600 -13,200
4,400 1,300 -7,700 -10,200 -2,700 -1,100 -16,000
ジクシス(Gyxis) 3,500 1,500 -5,300 -8,900 -1,900 -2,500 -13,600
4,300 1,200 -7,700 -10,400 -2,700 -900 -16,200
9月仕切改定を受けたプロパン料金への影響をみると、原料費調整制度を導入している事業者は、毎月改定の場合で1㎥当たり4.3~5.4円の下落となります。

なお、4~9月累計では3月と比較し25~30円/㎥の下落となりそうです。

まとめ

今回はLPガス元売仕切の算出方法と直近の仕切改定状況をお伝えいたしました。

ガス会社の皆様もすでに御存知の通り、ただいまCPの下落によりプロパンガス料金の卸売価格がかなり下がっています。

上昇にしろ下落にしろ、価格の変動があれば顧客の移動も起こるのが常です。

自社の顧客離れの防止はもちろん、新規顧客の獲得のためにも競合に先駆けて手を打ちましょう。


また、今回のこともそのうちの一つではありますが、市場の最新情報を仕入れていくのはとても重要です。

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