電力会社の料金プランの1つである「深夜電力」と「夜得プラン」をご存知でしょうか?皆さまのライフスタイルにもよりますが、使い方次第では年間数千円以上の節約も可能になります。それでは、深夜電力と夜得プランとは何か、その違いについても見ていきましょう。
深夜電力とは?料金プラン誕生の背景
そもそも、深夜電力の深夜という時間帯はいつなのでしょうか?
電力会社が定める電気料金プランの深夜とは、午後11時から翌日午前7時までの時間帯を指します。そして、その時間帯に適用される電気料金のことを深夜電力料金と呼び、深夜電力料金は昼間の電気料金の水準の5割以下に設定されていることが多いです。ただし、深夜の電気を使用するタイプの電気温水器等を利用する方むけのプランとなります。
なぜ電力会社は、このような料金設定をしているのでしょうか?ここには、法律上の背景があります。
東京電力をはじめとする各電力会社は一年を通じて国民の基本的インフラである電気を安定的に供給することを義務付けられています。
特に電気需要がピークとなる夏の昼間に合わせて、原子力発電、火力発電、あるいは水力発電などの発電設備をうまく組み合わせて配備しています。そのため、秋冬の電気需要が下がる時や夜に工場の稼働が止まったり、家庭で多くの人が寝ている夜の時間帯でも急に発電を落とすことができないのです。
電気は基本的に貯められないので、使われなかった深夜の電気はそのまま捨てられることになります。しかしそれでは電力会社としてもせっかく発電しても収入にもならないので、いろいろな生活スタイルに合わせた料金プランを用意することで、需要家である会社や個人に深夜電力を使ってもらおうとしているのです。上記のように、電力会社としては、昼間より夜間に多くの電力を使ってもらいたいため、昼間の電気料金を割高に設定する一方、深夜の電気料金を割安に設定しています。
また昼間でも電気の多く使う事業所や家庭では、利用料に応じて、段階的に電気代が高くなる金額設定にしていますので、これも間接的にはできるだけ昼の電気使用を夜にシフトさせる工夫と言えます。
しかし、寡占化が進んでいた電力業界も電力自由化の潮流の中で、新電力のような競合他社が出てきて新たなサービスを打ち出す中、よりきめ細かい料金プランの構築に乗り出さざるを得なくなったことを背景に、深夜電力とは別に、新たな料金プランが生まれています。
夜間時間を有効活用する、夜得プラン
深夜電力プランとは別に、夜間時間の電気料金が割安になる料金プランが生まれています。
従来の深夜電力プランは、床下暖房機などの夜間蓄熱式器機とか電気温水器を利用する方だけが対象でしたが、新たに生まれた料金プランでは、全ての電気機器が対象になり、電気料金を安く利用できるようになりました。
この動きに合わせて、以前は昼間(午前7時~午後11時)と深夜(午後11時~翌日午前7時)というシンプルだった二つの時間帯区分が、より細分化され、夜間(午前0時~午前7時)、朝(午前7時~午前9時)、昼間(午前9時~午後5時)、夕(午後5時~午後11時)、夜間(午後11時~午後24時)の5つに区分けされ、それぞれにあわせて割高あるいは割安の電気料金が設定されて、個々の需要家の生活スタイルに合わせた電気プランが組まれるようになりました。
料金プランの名称は、各電力会社によって様々で、たとえば東京電力は夜得プランですが、関西電力は時間帯別電灯、といった具合です。
なお、現在では朝得プラン(午前1時から9時までお得な夜間料金が適用される)や夜得プラン(午後21時から翌朝5時までお得な夜間料金が適用される)、あるいは土日お得プランなど、割安な夜間料金を利用するプランが次々と生み出されてきており、料金プランの活用次第では、電気の需要家にとってよりお得になる状況になっています。