令和元年10月1日より、消費税率が現在の8%から10%に引き上げられることが正式に発表されました。
今回の消費税の改正に伴い、国税庁・経済産業省からはいくつかの特例ルールも併せて公表されました。
本記事ではその中でも特に、ガス会社さんが確認すべき「消費税率引き上げに関する経過措置」「キャッシュレス・消費者還元事業」の2点について国税庁HP経産省HPを基に解説しています。
スムーズな新税率移行とお得な制度活用のために、今一度重要ポイントを確認しましょう。

ポイント① 経過措置とは?

概要

【国税庁の発表内容】
旧税率(8%)が適用される31年施行日以後に事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについて、経過措置を適用する

簡単に言うと、旧税率時に契約を結び、新税率適用後に対価を受ける権利が確定するものなどについて、特例として旧税率の消費税で請求するルールです。
電気・ガスなど、請求額が月内に確定しないサービス等における新税率への移行をスムーズにするため、国内の一律ルールとして定められています。
これまで過去二回の消費税の引き上げ時にも同様の措置が用意されたため、ガス会社様では、ご存じの方が殆どかもしれません。

対象

「消費税引き上げに関する経過措置」が適用されるのは下記の10の項目です。
【消費税率に関する経過措置対象】
1.旅客運賃等
2.電気料金等
3.請負工事等
4.資産の貸付
5.指定役務の提供
6.予約販売に係る書籍等
7.特定新聞
8.通信販売
9.有料老人ホーム
10.特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に規定する再商品化等
ガス料金は2.電気料金等に含まれるため経過措置の適用対象となります。
また、リフォーム工事などを請け負われている場合には、3.請負工事等にあてはまるため、こちらにも同様の措置が適用されます。

適用の期間的条件

2.電気料金等
継続供給契約に基づき、31年施行日前から継続して供給している電気、ガス、 水道、電話、灯油に係る料金等で、31年施行日から平成31年(2019年)10月 31日までの間に料金の支払を受ける権利が確定するもの
ポイントは、「31年施行日前から継続して供給している」という点です。
10月1日以降に供給がスタートしたガス料金については、10月内に消費者への請求を行っても経過措置は適用されません。

3.請負工事等
26年指定日(平成25年10月1日)から31年指定日(平成31年(2019年)4月1日)の前日までの間に締結した工事(製造を含みます。)に係る請負契約(一定の要件に該当する測量、設計及びソフトウェアの開発等に係る請負契約を含みます。)に基づき、31年施行日以後に課税資産の譲渡等を行う場合における、当該課税資産の譲渡等
3は平成25年10月1日から令和元年10月1日の期間内に契約が締結されたもののみに適用されます。
継続供給であれば契約の開始時期に縛りのない2に対し、こちらは適用期間の開始・終了の両方が明確に定められているため、混同しないよう注意が必要です。

経過措置は必ず取らなければならないのか

ガス会社さんの中には、「請求金額の管理が面倒だから、いっそ経過措置を取らずに、10月1日以降の請求書はすべて消費税率を10%にしたい」と考えられる方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、「消費税率引き上げに関する経過措置」は令和元年10月1日より施行される消費税法附則抄第一条〜第十条に定められた法令のため、経過措置を行わないことは法律違反になってしまいます。

参考:消費税法附則抄

なお、経過措置を行うにあたって法律の適用関係の疑問がある場合には、国税庁にて公開されている詳細パンフレットのダウンロードがおすすめです。

平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【基本的な考え方編】(平成30年10月)(PDF/435KB)

平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】(平成30年10月)(PDF/210KB)
\ 新規顧客獲得を頑張るなら!! /
【無料】エネピ資料請求 ▶

ポイント② キャッシュレス・消費者還元事業とは?

ポイント② キャッシュレス・消費者還元事業とは?
「消費税引き上げに関する経過措置」に加えてもう一つ、ガス会社さんに知っておいて頂きたい、10月1日スタートの制度があります。
それは、「キャッシュレス・消費者還元事業」です。

概要

「キャッシュレス・消費者還元事業」は、消費税率引き上げに伴う消費者負担の増加を国が条件付きで補填し、税率上昇による景気の悪化を防ぐねらいで設定されました。
概要を説明すると、「補助対象の中小・小規模事業者にてキャッシュレス決済を行った消費者に対し、国が5%のキャッシュバックを行う」というもの。
ガス会社さんの規模によっては、この補助対象の中小・小規模事業者に当てはまる場合があります。

制度を利用するメリット

この制度を利用すると、ガス会社さんには下記の3つのメリットがあります。
①消費者に対しガス会社さん側の手出しなしで5%のキャッシュバックを行える
②決済サービスの導入費用が無料になる
③決済事業者へ支払う加盟店手数料が3.25%以下になる
まだキャッシュレス決済に対応していないガス会社様にも、既に導入済みのガス会社様にもメリットのある制度なので、ぜひこの好機会を逃さずに活用しましょう。

さらに詳細を知りたい方は、「キャッシュレス・消費者還元事業」について詳しくまとめた下記リンクもぜひ参考にしてください。


また、enepiでは上記制度の活用に向けて、ガス会社様向けのセミナーの開催を予定しております。
当日は、株式会社クラブネッツの高垣氏をお招きし、LPガス事業者として取り組むべきキャッシュレス化とその具体的な方法までを解説させて頂くほか、ご希望者様にはキャッシュレス導入のための個別相談会も実施予定です。

ご参加は無料となりますので、奮ってご参加ください。
(※申し込み締切り 2019/8/23)

まとめ

まとめ
以上のように、10月1日以降の消費税の税率引き上げに伴い、ガス会社様においては「経過措置」の実施が不可欠になります。

請求関連の面倒な手続きなども多々ありますが、消費税率の引き上げは、普段あまり出費について敏感でない消費者の意識が高まり、高額なガス料金のガス会社様から適正なガス料金へのガス会社様への切り替えを検討するタイミングでもあります。

今回の消費税引き上げは「キャッシュレス・消費者還元事業」という新規顧客獲得に役立てられる制度も同時に公表されているので、制度を最大限活用することで自社の顧客を効率的に増やしていきましょう。

\インターネット集客なら/
エネピ資料請求 ▶

今村 一優の写真

エネルギー事業部責任者

今村 一優

新卒で太陽光発電事業を行うベンチャー企業に入社。商社部門の仲卸営業として、国内外の太陽光発電メーカーの商品を取り扱い、全国の販売施工会社を担当。その後、太陽光発電の一括見積もりサイト運営にも携わる。
2015年にはプロパンガス料金比較サービスenepi(エネピ)の立ち上げを行い、数万人のプロパンガス代削減のサポートをするサービスへ成長させる。
エネルギー領域で10年以上携わった経験と知識を活かして、じげんエネルギー事業のマネージャーにて事業開発を行なっている。

藤巻 創の写真

ライター

藤巻 創

電気・プロパンガスに関する記事のライティングを担当。
制作ポリシーに基づいてエネルギー全般の記事作成・管理を行う。