電力小売自由化に参入する企業一覧と事業提携の目的

2016年4月から始まる電力自由化に先立って、電力会社の各社と様々な企業との事業提携が報道されています。そこで、本記事では、どういった企業が電力自由化の市場に参入しようとしているのか、そして、電力市場への参入や提携の目的を読み解いてみたいと思います。

まず、どういった企業が小売電気事業者として登録がなされているのかを押さえておきましょう。

また、資源エネルギー庁に提出された情報に基づき、小売電気事業者の分析を行っております。

上記を踏まえた上で、、各電力会社（小売電気事業者）のプレスリリースの情報に基づき、各社の提携状況をまとめました。

都市ガス…昭島ガス、東部ガス、武州ガス、太田都市ガス、坂戸ガス

ところで、なぜこのような提携が可能になったのでしょうか。その背景には、電気事業法の改正があります。

発電・送配電・小売を兼ね備えた、東電・関電などの10電力会社

発電部門。電源開発株式会社、日本原子力発電株式会社の２社

小売部門。六本木エネルギーサービス株式会社、諏訪エネルギーサービス株式会社など

発電・小売部門。いわゆる新電力。丸紅、エネット、エナリスなど、2015年7月13日時点で693社が登録

発電部門。戸建ての屋根に太陽光パネルを設置して、電気を時給する主体

ただ、現行の制度は複雑であり、また地域独占・料金規制を敷いていた一般電気事業者制度が存在しているため、他の事業者にとって自由な競争環境が与えられておらず、また利用者にとっては電気に関するサービス選択の余地が極めて限定的となっていました。

こういった背景のもと、より利用者に便利なサービスを提供できる環境を創り出すため、2016年の電力小売全面自由化後は、一般送配電事業者等の原稿の事業類型は廃止し、事業の特性に応じてそれぞれの組織が役割を分担する、いわゆるライセンス制に移行することが決定しています。

事業者は、以下の３つに分類されます。

自ら維持・運用する発電設備を活用して、送配電事業者や小売電気事業者に対して一定規模以上の電気を供給する事業を展開する事業者です。

需要家に電気を供給する事業者。需要家と電気の供給に関する契約を締結する主体です。

送配電設備を保有し、託送供給などの送配電業務を行う事業者。現状は、いわゆる電線を保有する、東電や関電など一般電気事業者（の送配電部門）が該当します。

冒頭で記した事業提携は、小売電気事業者と、自社サービスの顧客基盤を抱える企業との提携の事例です（下図参照）。もちろん、東電や関電のように、小売電気事業者が発電事業者を兼ねているケースもあります。この他の提携パターンとして、小売事業者同士が提携し、一方の事業者のブランド名を他方の事業者が利用するビジネスモデルの登場も想定されます。

楽天やエネット、JX日鉱日石エネルギーは新電力に登録済であり、また今後小売電気事業者ライセンスを取得する見込みであるため、上の図でいうA社に該当します。一方で、楽天、NTTファシリティーズ、カルチュア・コンビニエンス・クラブは、いずれも自社サービスで多くの顧客基盤を抱えています（上図B社）。

A社としては、B社が抱える顧客に対して電気を販売したいという思惑があり、一方でB社としては、自社サービスの顧客に電気をセットで売る（バンドリングと言います）ことで、自社の収益向上を目論んでいます。その際、たとえば「携帯電話の購入とセットで電力会社との契約も切り替えたら、よりお得なプランになります」というように、私たち電気の需要家に対して、セット売りを展開することが想定されます。

2016年の電気小売の自由化に次いで、2017年には都市ガスの小売全面自由化が控えています。電気とガスのセット売りはもちろんのこと、さらに通信も合わせたパッケージの登場も期待できますね。こうした私たちにとってお得なプランを、今後もウォッチしていきます。

経済産業省 資源エネルギー庁発表の小売電気事業者の分類、およびenepi編集部独自の分析結果を付記します。

小売電気事業者一覧を追記しました。

小売電気事業者数を73社に追記しました。

小売電気事業者数を119社に追記しました。

各社提携の状況を更新しました。

小売電気事業者数を130社に追記しました。

小売電気事業者数を66社に追記しました。

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