冬になると、暖房器具を買い足そう、あるいは買い替えようと考える方は多いと思います。ただ、量販店や通販を見ると、さまざまな暖房器具が並んでいるため、迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。たとえば「ヒーター」ひとつとっても、「セラミックファンヒーター」「オイルヒーター」「カーボンヒーター」など、いろいろな種類があります。
そこで今回は、ヒーターの種類ごとにメリット・デメリットを解説しています。
ちなみに、各ヒーターの1カ月あたりのランニングコストを比較すると、以下の結果となりました。
1カ月のランニングコスト | |
---|---|
セラミックファンヒーター | 約5,136~8,804円 |
オイルヒーター | 約3,668~8,804円 |
パネルヒーター | 約7,339円 |
ハロゲンヒーター | 約5,869円 |
カーボンヒーター | 約4,402円 |
石油ファンヒーター | 約2,417~2,451円 |
ガスファンヒーター | 約5,640~8,520円 |
それでは、各ヒーターの特徴を詳しく見ていきましょう!
セラミックファンヒーターのメリット・デメリット
セラミックファンヒーターは、電気によって特殊加工されたセラミックスを発熱させ、温風を吹き出す暖房器具です。そのため、電気ファンヒーターとも呼ばれます。
ちなみに、加湿機能や空気清浄機能を備えたタイプもあり、暖房以外の用途にも利用できる便利なヒーターでもあります。
メリット
セラミックファンヒーターは電源を入れるとすぐに温風を吹き出すので、早く暖まりたいときは特にありがたい暖房器具です。
またコンパクトで軽量なタイプが多いので、いろいろな設置場所が考えられます。たとえば、トイレや脱衣所などにも設置しやすいでしょう。
デメリット
セラミックファンヒーターは比較的狭い空間しか暖められないので、エアコンのように部屋全体を温めたい場合は不向きかもしれません。
また温風を吹き出すことで埃をたててしまったり、室内を乾燥させてしまったりする点も、セラミックファンヒーターのデメリットといえます。
セラミックファンヒーターの電気代
セラミックファンヒーターの消費電力を700~1,200W、料金単価を1kWhあたり30.57円で計算すると、1時間あたりの電気代は約21~37円となります。
さらに1日8時間の使用を想定した場合、1カ月あたりの電気代は約5,136~8,804円となります。
オイルヒーターのメリット・デメリット
オイルヒーターは、密閉されたパネル内で、電気によって温めたオイルを循環させることによって放熱する暖房器具です。
ちなみに、オイルヒーターは気密性が高い住宅に適しています。そのため、レンガの家が多いヨーロッパを中心に普及してきました。が、近年は日本でも高断熱の住宅が増えてきたので、オイルヒーターの需要も高まっています。
メリット
オイルヒーターは火を使わないので一酸化炭素や二酸化炭素を発生する心配がなく、室内の空気をきれいに保つことができます。また風を発生させることもないので、音も静かで、埃をたてることもありません。
このように、オイルヒーターはとてもクリーンで安全な暖房器具なので、子ども部屋に設置してもよいでしょう。
デメリット
オイルヒーターは熱量が大きいわけではなく、温められる範囲も決して広くありません。そして、その割に消費電力が大きく電気代が高い傾向にあります。
また、電源を入れてから放熱するまで時間がかかります。そのため、タイマー機能をうまく活用するとよいでしょう。
オイルヒーターの電気代
オイルヒーターの消費電力を500~1,200Wで計算すると、1時間あたりの電気代は約15~37円となります。なお料金単価についてはセラミックファンヒーターと同様です。
さらに1日8時間の使用を想定した場合、1カ月あたりの電気代は約3,668~8,804円となります。
パネルヒーターのメリット・デメリット
パネルヒーターは、名前の通りにパネルのような薄い形状の暖房器具です。最近の主流は、電気を使用する遠赤外線タイプです。
薄型でコンパクトなので、トイレや脱衣所などの狭い空間でも難なく設置できるでしょう。
メリット
パネルヒーターは、電気で稼働する無風の暖房器具なので、空気が乾燥したり汚れたりする心配がありません。
また、遠赤外線効果によって、身体の芯まで温めてくれます。
また、コンパクトで軽量なので、その人の生活やその家の環境にあわせて自由に移動できる点も魅力です。
デメリット
パネルヒーターは熱量が比較的小さいため、一般に補助的な暖房器具として利用されます。エアコンやホットカーペットのように、部屋全体に熱を行き渡らせることは難しいです。
また、温められる範囲が狭い割に、電気代は決して安くはないため、コストパフォーマンスの面でも優れているとは言えません。
パネルヒーターの電気代
パネルヒーターの消費電力を1,000Wで計算すると、1時間あたりの電気代は約31円となります。なお料金単価についてはセラミックファンヒーターと同様です。
さらに1日8時間の使用を想定した場合、1カ月あたりの電気代は約7,339円となります。
ハロゲンヒーターのメリット・デメリット
ハロゲンヒーターは、ニクロム線に電気を通すことで発熱し、近赤外線と遠赤外線の両方を発生させる暖房器具です。
ちなみに、ハロゲンヒーターという名称は、同ヒーターの発熱体である「ハロゲンランプ」に由来します。
メリット
ハロゲンヒーターは数あるヒーターの中でも特に即効性が高く、電源を入れてから数秒で熱を感じることができます。
また、電気を動力源とするため、燃焼による炭素排出を起こしません。クリーンな空気を維持できるので、頻繁に換気を行う必要もないでしょう。
また、ほかのヒーターと比べて価格帯が低く手軽に購入できる点も大きな魅力でしょう。
デメリット
ハロゲンヒーターは遠くまで熱を届かせることが難しいため、比較的狭い部屋や、脱衣所や洗面所といった空間でしか十分な暖房効果を得られません。広いリビングなどにおいては、あくまで補助的な暖房器具として扱われます。
また、空気を乾燥させてしまうので、長時間の稼働には加湿が欠かせません。
また、消費電力も比較的高いので、電気代の負担も気になるところです。
ハロゲンヒーターの電気代
ハロゲンヒーターの消費電力を800Wで計算すると、1時間あたりの電気代は約24円となります。なお料金単価についてはセラミックファンヒーターと同様です。
さらに1日8時間の使用を想定した場合、1カ月あたりの電気代は約5,869円となります。
カーボンヒーターのメリット・デメリット
カーボンヒーターは不活性ガスの中に炭素繊維を入れた石英管を使用した暖房器具です。ちなみに石英管とは耐熱性にすぐれたガラス管です。
カーボンヒーターは、ほかのヒーターと比べて、赤外線領域から放出されるエネルギーが多い点が特徴です。これにより、同じ消費電力でもより暖かく感じるのです。
メリット
カーボンヒーターは、ほかの電気ヒーターと同様、「すぐに放熱できる」「空気を汚さない」「移動が簡単」といったメリットがあります。
そしてカーボンヒーターの最大のメリットは、「熱効率が高い」「遠赤外線の放出量が多い」という2点です。これらの性能により、カーボンヒーターは遠くまで熱を届け、また消費電力を抑えることができるのです。
とはいえサイズがコンパクトであるぶん、暖房範囲には限界があります。やはりエアコンなどのハイパワーの暖房器具との併用がおすすめです。
デメリット
カーボンヒーターは、ほかのヒーターと比べて、価格帯が高めです。ランニングコストは低めですが、初期費用がかさむ点はネックの一つかもしれません。
また、石油ストーブなどと比べると暖房範囲は狭いです。単体で部屋全体を温めることは難しいでしょう。
カーボンヒーターの電気代
カーボンヒーターの消費電力を600Wで計算すると、1時間あたりの電気代は約18円となります。なお料金単価についてはセラミックファンヒーターと同様です。
さらに1日8時間の使用を想定した場合、1カ月あたりの電気代は約4,402円となります。
石油ファンヒーターのメリット・デメリット
石油ファンヒーターは、本体内部で灯油を燃焼させ温風を放出する暖房器具です。なお熱源は灯油ですが、送風ファンや動作制御のために電気も使用します。
主な取り扱いメーカーは、「コロナ」「ダイニチ」「トヨトミ」「サンポット」などです。
メリット
石油ファンヒーターは熱量が大きいため、リビングなどの広い部屋でも熱を行き渡らせることができます。
また、安価な灯油を燃料としている点も大きなポイント。電気ヒーターと比べてランニングコストを抑えることができるでしょう。
デメリット
石油ファンヒーターは室内の空気を使って灯油を燃焼させるため、定期的な換気が必要となります。
また、灯油を補給する手間もかかります。電気ヒーターのように、家の中で簡単に動力源を確保できるわけではありません。なお夏などの休止期間は、灯油をきちんと抜いておくなどの注意も必要です。
石油ファンヒーターの電気代、灯油代
石油ファンヒーターの消費電力を0.90~5.65W、1日8時間使用で計算すると、1カ月あたりの電気代は約7~41円となります。なお料金単価についてはセラミックファンヒーターと同様です。
また、灯油タンクの容量を7.2L、灯油価格を2,008円/18L、1カ月の給油回数を3回で計算すると、灯油代は約2,410円となります。
したがって、石油ファンヒーターの1カ月あたりのランニングコストは、約2,417~2,451円となります。
出典:
コロナ/石油ファンヒーター FH-WZ5722BY
経済産業省資源エネルギー庁/石油製品価格調査(2022年10月)
ガスファンヒーターのメリット・デメリット
ガスファンヒーターは、本体内部でガスを燃焼させ温風を放出する暖房器具です。ガスを取り込むため、ホースを接続します。
なおガスファンヒーターは、ガスの種類にあわせて機種が用意されています。都市ガスに対応しているのか、プロパンガスに対応しているのか、よく確認してから購入してくださいね。
メリット
ガスファンヒーターはとりわけ吹き出す風の温度が高いため、比較的短い時間で部屋を温めることができます。
また、温風とともに水蒸気を発生させるので、部屋の中が乾燥するのを防いでくれます。
また、石油ファンヒーターように燃料を補給する手間はかかりません。家の中のガス栓と接続すればいつでも稼働できます。
デメリット
ガスファンヒーターはガス栓から離れた場所では使用できないため、設置できる場所は限定されてしまいます。
また、ガスを燃焼させているので換気も必要です。安全に使用するためには1時間に1~2回は換気すべきですが、外から冷気が入ってきてしまうのは辛いですよね。
ガスファンヒーターの電気代、ガス代
ガスファンヒーターの消費電力を17Wで計算すると、1時間あたりの電気代は約0.5円となります。なお料金単価についてはセラミックファンヒーターと同様です。
また、都市ガスの1時間あたりの使用量を0.126m3で計算すると、ガス代は約23円となります。
したがって、1日8時間の使用を想定すると、都市ガス対応のガスファンヒーターの1カ月あたりのランニングコストは、約5,640円となります。
また、プロパンガスの1時間あたりの使用量を0.058m3で計算すると、ガス代は約35円となります。
したがって、1日8時間の使用を想定すると、プロパンガス対応のガスファンヒーターの1カ月あたりのランニングコストは、約8,520円となります。
出典:
リンナイ/ガスファンヒーター RC-U5801PE
東京ガス/東京地区等/一般契約料金/B表/22年11月検針分
セラミックファンヒーターとエアコンの電気代比較
ここまで、さまざまなヒーターの電気代およびランニングコストを比較してきました。
ところでヒーターの電気代は、ほかの暖房器具と比較すると高いのか、それとも安いのか、気になりませんか?
本項では、セラミックファンヒーター・エアコン・ホットカーペットの電気代を比較してみたいと思います!
暖房器具 | 1カ月のランニングコスト |
---|---|
セラミックファンヒーター | 約5,136~8,804円 |
エアコン(10畳用) | 約6,084円 |
ホットカーペット(195×235cm) | 約5,282円 |
出典:
ニトリ/Wi-Fi エアコン
ニトリ/ホットカーペット
このように、セラミックファンヒーターは他の暖房器具と比べても決して電気代が安いとはいえません。
ただし、今回は消費電力を一定として電気代を計算しています。しかし実際は、設定温度などによって消費電力は変化します。
そのため、上記の金額はあくまで目安として参考にしてくださいね。
セラミックファンヒーターの節電方法
セラミックファンヒーターのランニングコストは、エアコンやホットカーペットと比べても、決して安くはないことが分かりました。
そこで、セラミックファンヒーターなどの電気ヒーターの節電方法を紹介します!
おすすめの方法は次の3つです。
- 設定温度を低めに設定する
- 狭い部屋でピンポイントに使用する
- ほかの暖房器具を併用する
電気ヒーターの設定温度を低くすれば、消費電力も下がります。そして設定温度を多少下げても、狭い部屋やスペースで使用するのであれば暖房効果を維持できます。もし広い部屋を温めたいのであれば、エアコンなどを併用した方が暖房効果は上がりますし、全体の消費電力も抑えられるでしょう。
ところで、ヒーターのなかにはガスを使用するタイプもありますよね。
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まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
セラミックファンヒーターの電気代はいくら? |
---|
セラミックファンヒーターの1時間あたりの電気代は約21~37円。1日8時間の使用を想定すると、1カ月あたりの電気代は約5,136~8,804円です。ただし機種によって消費電力および電気代は変わります。 |
セラミックファンヒーターのメリットとデメリットは? |
セラミックファンヒーターのメリットは、電源を入れてから放熱するまでの時間が短いこと。一方デメリットは、温風によって埃をたてたり、空気を乾燥させたりすることです。 |
冬の暖房代を節約する方法は? |
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