冬になると暖房器具を買い足そう、あるいは買い替えようと考える方は多いと思います。ただ、暖房器具の種類は様々で、どれを選ぶか迷ってしまうかもしれません。そこで今回は「ヒーター」の種類について解説します。各種ヒーターの電気代やメリット・デメリットを比較していますので、自分に合うものを探してみてください。また、ヒーター以外の暖房器具との比較も紹介しますので、あわせて参考になさってください。
セラミックファンヒーターの特徴と電気代

セラミックファンヒーターは電気によって特殊加工されたセラミックスを発熱させ、温風を吹き出す暖房器具です。電気ファンヒーターとも呼ばれます。ちなみに加湿機能や空気清浄機能を備えたタイプもあり、暖房以外の用途にも利用できる便利なヒーターでもあります。
メリット
セラミックファンヒーターは電源を入れるとすぐに温風を吹き出すので、早く暖まりたいときは特にありがたい暖房器具です。またコンパクトで軽量なタイプが多いので、いろいろな設置場所が考えられます。たとえば、トイレや脱衣所などにも設置しやすいでしょう。
デメリット
セラミックファンヒーターは比較的狭い空間しか暖められないので、エアコンのように部屋全体を温めたい場合は不向きかもしれません。また温風を吹き出すことで埃をたててしまったり、室内を乾燥させてしまったりする点も、セラミックファンヒーターのデメリットといえます。
セラミックファンヒーターの電気代
セラミックファンヒーターの消費電力は700~1,200W※です。料金単価を1kWhあたり31円(家電公取協より)で計算すると、1時間あたりの電気代は21.7~37.2円となります。
(700 ÷ 1000) × 31 = 21.7
(1200 ÷ 1000) × 31 = 37.2
よって1日に8時間使用する場合、1カ月あたりの電気代は5,208~8,928円となります。
オイルヒーターの特徴と電気代

オイルヒーターは密閉されたパネル内で、電気によって温めたオイルを循環させることによって放熱する暖房器具です。オイルヒーターは気密性が高い住宅に適しているため、レンガの家が多いヨーロッパを中心に普及してきました。ただ、近年は日本でも高断熱の住宅が増えており、オイルヒーターの需要も高まっています。
メリット
オイルヒーターは火を使わないため一酸化炭素や二酸化炭素を発生する心配がなく、室内の空気をきれいに保つことができます。また風を発生させることもないため音も静かで、埃をたてることもありません。オイルヒーターはとてもクリーンで安全な暖房器具のため、子ども部屋に設置してもよいでしょう。
デメリット
オイルヒーターは熱量が大きいわけではなく、温められる範囲も決して広くありませんが、その割に消費電力が大きく電気代が高い傾向にあります。また電源を入れてから放熱するまで時間がかかります。そこでタイマー機能をうまく活用するとよいでしょう。
オイルヒーターの電気代
オイルヒーターの消費電力は500~1,200W※です。同様に計算すると、1時間あたりの電気代は15.5~37.2円となります。
(500 ÷ 1000) × 31 = 15.5
(1200 ÷ 1000) × 31 = 37.2
よって同様に使用する場合、1カ月あたりの電気代は3,720~8,928円となります。
パネルヒーターの特徴と電気代

パネルヒーターは名前の通りにパネルのような薄い形状の暖房器具です。最近の主流は電気を使用する遠赤外線タイプです。薄型でコンパクトなためトイレや脱衣所などの狭い空間でも難なく設置できるでしょう。
メリット
パネルヒーターは電気で稼働する無風の暖房器具なので空気が乾燥したり汚れたりする心配がありません。また遠赤外線効果によって身体の芯まで温めてくれます。またコンパクトで軽量なため、その人の生活やその家の環境にあわせて自由に移動できる点も魅力です。
デメリット
パネルヒーターは熱量が比較的小さいため一般に補助的な暖房器具として利用されます。エアコンやホットカーペットのように部屋全体に熱を行き渡らせることは難しいです。また温められる範囲が狭い割に電気代は決して安くなく、コストパフォーマンスの面でも優れているとは言えません。
パネルヒーターの電気代
パネルヒーターの消費電力は1,000W※です。同様に計算すると、1時間あたりの電気代は31円となります。
(1000 ÷ 1000) × 31 = 31
よって同様に使用する場合、1カ月あたりの電気代は7,440円となります。
ハロゲンヒーターの特徴と電気代

ハロゲンヒーターはニクロム線に電気を通すことで発熱し、近赤外線と遠赤外線の両方を発生させる暖房器具です。ハロゲンヒーターという名称は同ヒーターの発熱体である「ハロゲンランプ」に由来します。
メリット
ハロゲンヒーターは数あるヒーターの中でも特に即効性が高く、電源を入れてから数秒で熱を感じることができます。また電気を動力源とするため燃焼による炭素排出を起こしません。クリーンな空気を維持できるため頻繁に換気を行う必要もないでしょう。また他のヒーターと比べて価格帯が低く、手軽に購入できる点も大きな魅力です。
デメリット
ハロゲンヒーターは遠くまで熱を届かせることが難しいため、脱衣所や洗面所といった比較的狭い空間でしか十分な暖房効果を得られません。広いリビングなどにおいては補助的な暖房器具として扱われます。また空気を乾燥させてしまうため長時間の稼働には加湿が欠かせません。また消費電力も比較的高く、電気代の負担も気になるところです。
ハロゲンヒーターの電気代
ハロゲンヒーターの消費電力は800W※です。同様に計算すると、1時間あたりの電気代は24.8円となります。
(800 ÷ 1000) × 31 = 24.8
よって同様に使用する場合、1カ月あたりの電気代は5,952円となります。
カーボンヒーターの特徴と電気代

カーボンヒーターは不活性ガスの中に炭素繊維を入れた石英管を使用した暖房器具です。石英管とは耐熱性にすぐれたガラス管です。カーボンヒーターは他のヒーターと比べて赤外線領域から放出されるエネルギーが多いため、同じ消費電力でもより暖かく感じます。
メリット
カーボンヒーターは他の電気ヒーターと同様「すぐに放熱できる」「空気を汚さない」「移動が簡単」といったメリットがあります。そして最大のメリットは「熱効率が高い」「遠赤外線の放出量が多い」という2点です。これらの性能により遠くまで熱を届け、また消費電力を抑えることができます。ただしサイズがコンパクトであるぶん暖房範囲には限界があります。そこでエアコンなどハイパワーの暖房器具との併用がおすすめです。
デメリット
カーボンヒーターは他のヒーターと比べて価格帯が高めです。ランニングコストは低めですが、初期費用がかさむ点はネックとなります。また石油ストーブなどと比べると暖房範囲は狭いです。単体で部屋全体を温めることは難しいでしょう。
カーボンヒーターの電気代
カーボンヒーターの消費電力は450~900W※です。同様に計算すると、1時間あたりの電気代は13.95~27.9円となります。
(450 ÷ 1000) × 31 = 13.95
(900 ÷ 1000) × 31 = 27.9
よって同様に使用する場合、1カ月あたりの電気代は3,348~6,696円となります。
石油ファンヒーターの特徴と電気代

石油ファンヒーターは本体内部で灯油を燃焼させ温風を放出する暖房器具です。熱源は灯油ですが、送風ファンや動作制御のために電気も使用します。主な取り扱いメーカーは「コロナ」「ダイニチ」「トヨトミ」「サンポット」などです。
メリット
石油ファンヒーターは熱量が大きいためリビングなどの広い部屋でも熱を行き渡らせることができます。また安価な灯油を燃料としている点も大きなポイントで、電気ヒーターと比べてランニングコストを抑えることができるでしょう。
デメリット
石油ファンヒーターは室内の空気を使って灯油を燃焼させるため、定期的な換気が必要となります。また灯油を補給する手間もかかります。電気ヒーターのように家の中で簡単に動力源を確保できるわけではありません。なお夏などの休止期間は灯油をきちんと抜いておくなどの注意も必要です。
石油ファンヒーターの電気代、灯油代
石油ファンヒーターの消費電力は5.65W※です。よって同様に使用する場合、1カ月あたりの電気代は42円となります。
また、灯油の平均価格は2,097円/18L(石油製品価格調査より)です。灯油タンクの容量は7.2L※、1カ月の給油回数は3回とすると、灯油代は2,516円となります。
(2,097 ÷ 18) × 7.2 × 3 = 2,516.4
以上より、石油ファンヒーターの1カ月あたりのランニングコストは2,558円となります。
ガスファンヒーターの特徴と電気代

ガスファンヒーターは本体内部でガスを燃焼させ温風を放出する暖房器具です。ガスを取り込むためホースを接続します。なおガスファンヒーターはガスの種類にあわせて機種が用意されています。都市ガスに対応しているのかプロパンガスに対応しているのか確認してから購入してください。
メリット
ガスファンヒーターは吹き出す風の温度が高く、比較的短い時間で部屋を温めることができます。また温風とともに水蒸気を発生させるため部屋の中が乾燥するのを防いでくれます。また石油ファンヒーターように燃料を補給する手間はかからず、家の中のガス栓と接続すればいつでも稼働できます。
デメリット
ガスファンヒーターはガス栓から離れた場所では使用できないため、設置できる場所は限定されてしまいます。またガスを燃焼させているので換気も必要です。安全に使用するためには1時間に1~2回は換気すべきですが、外から冷気が入ってきてしまうのは辛いところです。
ガスファンヒーターの電気代、ガス代
ガスファンヒーターの消費電力は18W※です。よって同様に使用する場合、1カ月あたりの電気代は134円となります。
また、ガス使用量(都市ガス)は5.81kW※です。よって同様に使用する場合、1時間あたりのガス代は73.4円、1カ月あたりのガス代は17,616円となります。
(5.81 ÷ 12.79) × 161.55 ≒ 73.4
以上より、ガスファンヒーターの1カ月あたりのランニングコストは17,750円となります。
その他暖房器具との電気代比較
ここまで様々なヒーターの電気代を紹介してきました。とろこでヒーター以外の暖房器具の電気代も気になると思います。そこでヒーター・エアコン・ホットカーペット・こたつの電気代を比較します。
暖房器具 | 1日の電気代 |
---|---|
ヒーター | |
(セラミック) | 173.6~297.6円 |
(オイル) | 124~297.6円 |
(パネル) | 248円 |
(ハロゲン) | 198.4円 |
(カーボン) | 111.6~223.2円 |
こたつ | |
(弱) | 10.8円 |
(強) | 33.6円 |
エアコン | |
(6畳用) | 103.2円 |
(10畳用) | 199.2円 |
ホットカーペット | |
(176×176cm) | 115.2円 |
(195×235cm) | 172.8円 |
このように、電気ヒーターは他の暖房器具よりも電気代が高くなる場合があります。なお、今回は消費電力を一定として計算していますが、実際は気温や使用方法などにより変動します。そのため、上記金額は目安として参考にしてください。
電気ヒーターの節約方法
電気ヒーターの主な節約方法は次の3つです。
- 設定温度を低めに設定する
- 狭い範囲でピンポイントに使用する
- 他の暖房器具を併用する
電気ヒーターの設定温度を低くすれば消費電力も下がります。そして設定温度を多少下げても狭い部屋やスペースで使用するのであれば暖房効果を維持できます。もし広い部屋を温めたいのであればエアコンなどを併用した方が暖房効果が上あがり、また消費電力を抑えられるため効率的です。
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まとめ
ここまでの内容について、簡単に整理しておきましょう。
セラミックファンヒーターのメリットとは? |
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セラミックファンヒーターのメリットは電源を入れてから放熱までの時間が短いことや、コンパクトで持ち運びしやすいことです。ただしリビングなど広い空間全体を暖めるのには適しません。 |
セラミックファンヒーターの電気代とは? |
セラミックファンヒーターの電気代は1時間で21.7~37.2円、1カ月で5,208~8,928円が目安となります。ただし使用機種・条件によって電気代は変動します。 |
セラミックファンヒーターの節電方法とは? |
セラミックファンヒーターの消費電力を抑えたい場合は、設定温度を低めに設定し、狭い範囲でピンポイントに使用してください。また、エアコンと併用することで広い部屋でも効率的に暖房を行えます。 |