電力自由化で停電は起きない?

電力自由化で停電や品質低下の心配は?

海外では停電が増えた事例もある

海外の例で見ると、電力自由化が原因と考えられる停電が、いくつか発生しています。
一番大規模なケースとしては、アメリカのカリフォルニア州で発生した停電で、数百万人に影響が出たとされています。
停電理由としては、発電所の建設に対して州が厳しい環境規制をしたために、新たな発電所の造営・新設が進まなかったこと。
ある新電力会社が制度の欠陥を利用し、電力卸価格をつり上げた上で他の発電所を次々と購入していき、電力供給に制限を加えるという人為的原因などが考えられます。
その上、アメリカで電力自由化が行われた当時は、ITバブルの影響もあって工場での需要が大幅に増え、猛暑の影響で個人消費が増えたことなど、複合的に原因が重なり合って大停電が起きたと推測されています。

日本では大丈夫なのか不安の声も

すでに10年以上前から電力自由化されているところが多い欧米では、カリフォルニア以外でも電力自由化が原因と思われる停電が増えた事例が報告されています。
そのような話を聞くと、当然「日本でも電力自由化されると停電が増えるのでは?」と考えてしまいますよね。
事実、電気料金が今よりも安くなるのに新電力会社へ移行しない理由として、「停電や品質低下の可能性を心配している」という人の割合はいまだに非常に高いのが現状です。

日本の電力自由化で停電は起きない

日本の電力自由化で停電は起きない

停電が起きない仕組み

欧米では早くから電力自由化が始まっていたのに対して、日本では他国の失敗例を十分に考慮して制度を整えるなどの準備期間を経て、電力自由化を開始しました。
現時点で自由化されているのは電力を「作る発電」と、その電力を「販売する」部門のみで、送配電線はすべて大手電力会社が所有しています。
つまり、どの会社から電力供給されるにしても、結局は大手電力会社の電線を利用しなくてはなりません。

新電力会社が作った電気を送電するためには、「託送料金」を払って送電線を借りなくてはいけません。
託送料金を支払うことにより、新電力会社は送電網を共同使用できるようになります。送電線の保守管理については、引き続き地域の電力会社が行います。

万が一新電力会社の発電所にトラブルが発生したり、大きな災害が発生したりしても、新電力会社は大手電力会社とバックアップ契約を結んでいるので、停電にはなりにくい仕組みが構築されています。
さらに一部の地域で電力がひっ迫するような事態になったときは、電力に余裕のある地域から融通できるシステムも作っており、停電を未然に防ぐための万全な体制が整っています。

電線や電柱などの設備が故障した場合

例えば、大手電力会社を解約して新電力会社に切り替え契約してから、電線や電柱などの設備が故障した時はどうなるのでしょう?
前述の通り、電線や電柱などといった送電用の設備はすべて、大手電力会社が変わらずメンテナンスしていきます。
新電力会社が託送料金を払い、大手電力会社の電線を借りて送電するだけなので、従来通りに大手電力会社が電線・電柱を修復します。

契約した新電力が倒産したら

現在契約している新電力会社が倒産する可能性は、ゼロではありませんよね。
しかし何らかの理由で新電力会社が送電できなくなっても、常時「バックアップ」システムによって、大手電力会社が継続して送電してくれます。

もう少し詳しくお話しすると、新電力会社は、地域の大手電力会社と「バックアップ契約(最終補償約款)」を締結し、電力が不足した際には必要量の電力を借りることができることになっているのです。
つまり、どの会社と契約しても、東京電力や関西電力などが機能してさえいれば電力供給は安定し続けるというわけですね。

災害の場合

このようなバックアップのおかげで、もし新電力会社との契約後に災害に見舞われたとしても、今までと同様に大手電力会社のサポートを受けることが出来ます。
万が一、新電力会社の発電所が災害時に被害を受けたとしても、送電網さえ生きていれば電気を使い続けられるのです。
災害によって送電網自体が寸断されてしまった場合には、ベテランの大手電力会社が早急に復旧作業を実施します。

日本の電力自由化において、新電力会社への切り替え・契約による停電や品質低下の問題はないと言えます。

まとめ

日本の電力自由化は、海外の失敗例を参考にして準備を進めてきただけに、停電や電力不足などに対しては、充実した制度を作り上げてきています。
それだけに、海外の電力自由化のような停電トラブルが起きる可能性は低いですが、それだけでは完璧とは言い切れません。
本格的に電力自由化は始まったばかりで、多様な契約内容やサービス・情報がありますから、契約者側がしっかりと正しい知識を持って、今後の動向を見ていくことが大切です。